多摩モノレールの延伸について

1.はじめに

 こんにちは。中学3年の○○です。これが中学生活の中では最後の停車場となるのですが、読みづらさなど未だに改善できない点があるというのが悩みです。さて、今回は初めて未成線に関する研究をしようと思います。テーマは多摩モノレールです。よろしくお願いします。

2.多摩モノレールとは

 まずは延伸関係の話の前に多摩モノレールについての説明をします。

 多摩モノレールは東京都多摩市の多摩センター駅から同東大和市上北台駅まで約16kmを結ぶ路線です。1998年に立川北駅~上北台駅間が開業し、2000年に多摩センター駅~立川北駅間が開業して現在に至ります。途中多摩センター駅・多摩動物公園駅・高幡不動駅・立川南駅・立川北駅・玉川上水駅で他のJR線や私鉄線と乗り換えができます。

多摩モノレールの路線図

 沿線には大学や研究所・行楽施設・ショッピングセンターなどが多く存在し、平日の朝夕ラッシュ時や休日の日中は混雑します。

多摩モノレールで開業時から運用されている1000系

3.延伸構想について

 そもそも多摩モノレールは町田駅~箱根ヶ崎駅を結ぶ南北軸と八王子駅~是政駅を結ぶ東西軸のほか八王子駅~箱根ヶ崎駅・甲州街道駅の約90kmを結ぶ構想がありますが、先述の通り現時点で開業しているのは南北軸の一部である多摩センター駅~上北台駅のみとなっています。また、他にも上北台駅~箱根ヶ崎駅は2020年に事業化に着手することが発表されている他、町田駅~多摩センター駅と八王子駅~多摩センター駅も着工に向けて検討が進められていますが、ほかの区間はまだ構想段階にとどまっています。

多摩モノレールの延伸計画・構想

実線が既設区間、太破線が検討区間、細破線が構想区間


 この研究では説明において便宜上

①:上北台駅~箱根ヶ崎駅

②:町田駅~多摩センター駅

③:八王子駅~多摩センター駅

④:八王子駅~箱根ヶ崎駅

⑤:八王子駅~甲州街道駅

⑥:唐木田駅~是政駅

とします。また、各項目の路線図において、立川北駅・立川南駅は「立川」駅に、小田急多摩センター駅・京王多摩センター駅は「多摩センター」駅に、小田急永山駅・京王永山駅は「永山」駅にそれぞれまとめてあります。


①上北台駅~箱根ヶ崎駅

 既設区間の終点である上北台駅から八高線と接続する箱根ヶ崎駅までを結ぶ路線で、2020年2月に東京都によって事業化に着手することが発表され、2032年度の開業を目指すとされています。上北台駅までの既設区間は芋窪街道の上空を走行していますが、駅北側の駐輪場などを経由する形で進行方向を西に変え、新青梅街道を進む計画となっていて、7駅を設置する計画になっています。この区間を建設することで現在は鉄道が全く走っていない武蔵村山市に初めてとなる鉄道が開業します。

 事業費は約800億円と試算されています。

延伸区間の起点となる上北台駅

延伸時はこの交差点を向かって右側に進むことになる

②町田駅~多摩センター駅

 既設区間の終点である多摩センター駅から、JR横浜線・小田急小田原線と接続する町田駅までを結ぶ計画の路線です。小山田緑地・小山田桜台団地・都道47号線を経由する計画で、都道47号線などでは上部空間の確保が進んでいる一方、多摩センター駅付近では道路を建設する計画すらない部分もあります。事業費は約1700億円と試算されています。

③八王子駅~多摩センター駅

 ②と同じく既設区間の終点である多摩センター駅から、小田急多摩線の唐木田駅、京王相模原線の南大沢駅、JR横浜線の八王子みなみ野駅、京王高尾線の京王片倉駅などを経由して、JR中央線・横浜線・八高線の八王子駅に至る計画です。

 八王子市では、市内の交通を改良する目的で、LRT(次世代型路面電車)の建設も検討されていましたが、勾配が多いなどの理由で断念した経緯があり、期待が高まっています。事業費は約1900億円と試算されています。

④八王子駅~箱根ヶ崎駅

 ③の終点となっている八王子駅からさらに北に延伸し、青梅線の羽村駅を経由して箱根ヶ崎駅に至るまでの構想で、現在のJR八高線の少し西側を通る構想となっています。既設区間と①、③、④を組み合わせると環状線を形成することになります。

⑤八王子駅~甲州街道駅

 八王子駅からJR八高線の小宮駅やJR中央線の日野駅を経由して甲州街道駅に至る構想です。八王子駅から中央自動車道の八王子IC付近までは④と線路を共用する構想となっています。

⑥唐木田駅~是政駅

 ②の途中駅となっている唐木田駅から京王相模原線の若葉台駅やJR南武線の南多摩駅を経由して、西武多摩川線の是政駅に至る構想です。

4.問題点

(1)全ての計画に該当するもの

・事業費が高い

 モノレールは、基本的に高架線を走行する他、一部の計画では丘陵部・山間部を走行するためトンネルの建設も必要になり、事業費が高額になってしまいます。

 また上記のグラフの通り、多摩モノレールは、2007年まで赤字となっていました。この赤字は、東京都による財政支援を受けたため解消していますが、2019年からは既存施設の経年劣化による設備修繕のための費用が増加しているほか、新型コロナウイルスの影響も計り知れないため今後の財政状況も見通せないうえ、今後再び自治体による財政支援を受けて経営改善を迫られるような状況も避けなければなりません。よって今後も、事業費をどこから出すのかという点は問題となります。

(2)一部の計画・構想に該当するもの

・既存の路線網で十分である

 具体的には③・④などが該当します。

 たとえば、③は既存のJR横浜線や京王相模原線と並行しているため、わざわざ新線を建設する必要があるかどうかという点も怪しくなっています。

・受け入れ道路の幅員が不足している・受け入れ道路が存在しない

 具体的には②~⑥が該当します。

 延伸計画では主に既存の道路の上空に軌道を設置することで検討されているため新たに用地買収をする必要がほとんどない反面、道路の幅をある程度確保する必要があります。また、一部の区間では現時点ではそもそも受け入れ道路が存在しないため、そのような区間では延伸に向けた道路整備などが必要となっています。

5.改善策

(1)全ての計画に該当するもの

・事業費が高い

 この問題についてですが、上下分離方式を導入するべきだと思います。上下分離方式とは、軌道や駅設備は自治体が保有し、運行を鉄道会社が行うというものです。これを導入することで、多摩モノレールは延伸が完成するまでの間は既存区間の運行や設備修繕に専念することができ、建設費用は自治体が負担します。ただし、建設費用の一部は多摩モノレールに負担させても良いと思います。

(2)一部の計画・構想に該当するもの

・既存の路線網で十分である

 私は①と②のみ建設するべきだと思います。その他の計画・構想では既存の鉄道路線の駅を拠点としたBRTの整備を行うに留めるべきだと思います。BRTとは、「bus rapid transit」の略で、速達性・定時性・輸送能力に優れたバスシステムのことです。これを導入することにより速達性や定時制などに優れていない通常の路線バスに代わることができるほか、新たにモノレールを建設するよりも安価に実現できるという特徴があります。

・受け入れ道路の幅員が不足している・受け入れ道路が存在しない

 これについては地道に解決する必要があると思います。また、十分な幅の道路を建設するのがどうしても厳しい場合にはほかの場所に橋脚を設置して軌道を通すなど、柔軟な対応が必要だと思います。

6.結論

①「上北台駅~箱根ヶ崎駅」と「多摩センター駅~町田駅」の2区間のみ建設し、ほかの区間はBRTを整備する。

②「多摩センター駅~町田駅」については受け入れ道路の整備・拡幅を進め、困難な区間については、それ以外の場所にも橋脚を設置する。

③建設に際し、上下分離方式を導入して自治体が建設をすべて担う。

7.おわりに

 今回は自分としては初めての未成線に関する研究だったので図は多めにしたつもりですが少し読みにくかったところもあるとは思います。

 最後になりますが、ここまで拙い文章を読んでいただき

本当にありがとうございました!

8.参考資料

鉄道計画データベース

https://railproject.tabiris.com/

多摩モノレール

https://www.tama-monorail.co.jp/

乗りものニュース

https://trafficnews.jp/


おことわり:Web公開のため一部表現を変更させていただきました。掲載されている情報は研究公開当時のものです。現在とは若干異なる場合があります。

浅野学園鉃道研究部 『停車場』アーカイブ

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