フリー切符の今後を考える

1.はじめに

 こんにちは。ついに高校生になってしまいました。何事にも一層気を引き締めて取り組んでいけたらと思います。

 さて、今回はフリー切符について書いていきたいと思います。正直、このテーマでやっていけるかものすごく不安なのですが、頑張っていきます。ただ、単純にフリー切符について書いても行き詰まる気しかしないので、少し焦点を絞って執筆していこうと思います。

 まず、フリー切符の種類などの基本情報を調べていきます。この時、JRと大手私鉄を中心に値段や利便性などを比べていきます。その上で、そのフリー切符の必要性や需要などを考察していきます。そして、利用者が使いやすいフリー切符を比べていきます。今回は都合上、体言止めが多いですが、ご了承ください。

 ゴールが見えませんが頑張ります。最後までお読みいただけますと幸いです。

2.フリー切符とは

 まず、フリー切符の大まかな情報を調べていきます。筆者が思うに、フリー切符はとても身近なもので読者の方も一度は使われたことがあると思われます。フリー切符を使うメリットは特定の区間を普段より安い運賃で移動できることや、特典を受けられることなどがあります。フリー切符はJRから大手私鉄、さらには第三セクターや路面電車まで日本全国津々浦々に存在します。しかし、多少例外はあるものの、大まかに見ると3つに分類することができます。

 まずは観光地までの往復運賃の割引や、観光地での特典を受けられるフリー切符です。今回の研究では「観光地型」と呼称することにします。

 次に特定区間が乗り放題となるフリー切符です。今回の研究では「乗り放題型」と呼称することにします。

 最後に特定のイベントや期間限定で発売されるフリー切符です。今回の研究では「イベント型」と呼称することにします。

①「観光地型」

 先述した通り、観光地で様々なメリットのあるフリー切符です。関東地方で言えば、都心から高尾、秩父、日光、箱根に向かう切符、関西地方で言えば、京阪神から伊勢志摩、高野山に向かう切符などがあります。主なフリー切符をまとめました。

<関東地方の主なフリー切符>

(1)京王電鉄

・京王アミューズメントパスポート

 京王線1日乗車券と京王沿線の遊園地(よみうりランド、東京サマーランド、サンリオピューロランド)のフリーパスがセットで利用することができます。料金は遊園地ごとに異なるため、今回はよみうりランドの場合を見てみます。

 料金はよみうりランドワンデーパス込みで大人5100円。

・高尾山きっぷ

 京王線各駅~高尾山口駅の往復運賃+高尾山ケーブルカー・リフトの料金2割引。1日有効。

(2)西武鉄道

・秩父フリーきっぷ

 西武線各駅~西武秩父駅の往復運賃割引+芦ヶ久保駅~西武秩父駅と秩父鉄道の一部区間2日間乗り放題+約30店の協賛店での割引。料金は池袋駅、西武新宿駅から大人2320円。

(3)東武鉄道

・まるごと日光 東武フリーパス

 東武線各駅~下今市駅の往復乗車券+日光地区の鉄道・バスが4日間乗り放題+協賛店で割引。料金は4~11月に浅草駅、北千住駅から大人4520円。12~3月に浅草駅、北千住駅から大人4150円。

・東京スカイツリーパノラマきっぷ

 東武線各駅~北千住駅の往復割引運賃+北千住駅以南の東武線1日乗り放題+東京スカイツリー天望デッキ日付指定入場券引換券。料金は浅草駅、北千住駅から2560円、春日部駅から3110円。

(4)小田急電鉄

・箱根フリーパス

 小田急線各駅~小田原駅の往復運賃+箱根登山鉄道、箱根登山バス、ケーブルカー、ロープウェイなど乗り放題+約50店の温泉や施設で割引。料金は2日間新宿駅から大人5140円、小田原駅から4000円。3日間で新宿駅から5640円、小田原駅から4500円。

<関西地方の主なフリー切符>

(1)近畿日本鉄道

・伊勢神宮参拝きっぷ

 近鉄線各駅~松坂駅の乗車券・特急券、松坂駅~賢島駅間乗り放題、三重交通バス乗り放題。3日間有効で、料金は、大阪難波駅、京都駅、近鉄奈良駅から6600円、近鉄名古屋駅から5900円。

(2)南海電鉄

・高野山・世界遺産きっぷ

 南海線各駅~高野山駅の往復割引運賃、高野山内バスフリー乗車券、拝観料2割引サービス券、お土産1割引サービス券。2日間有効で、料金は南海なんば駅から2860円。

②乗り放題型

 特定区間が乗り放題になるフリー切符で、我々鉄道ファンにとっても大変ありがたい切符です。

<JRの主なフリー切符>

・青春18きっぷ

 日本全国のJR線の普通、快速列車普通車自由席、BRT、JR西日本宮島フェリーが乗り放題。料金は5回分セットで11850円。

・週末パス

 関東甲信越、南東北地区のJR線、他14の鉄道会社の普通列車が乗り放題のきっぷ。土日祝日の連続2日間有効、料金は8730円。別途で特急券等を購入すれば新幹線や特急列車等にも乗車できる。

<関東地方の主なフリー切符>

・京王線・井の頭線一日乗車券

 京王線全線1日乗り放題、料金は900円。

・東急ワンデーオープンチケット

 東急線全線1日乗り放題、料金は660円。

・東京メトロ24時間券

 東京メトロ全線が使用開始から24時間乗り放題になる。24時間有効なので午前8時に使用を開始したとすると、次日の午前8時まで有効になる。料金は600円。

・東京メトロ・都営地下鉄共通一日乗車券

 東京メトロ、都営地下鉄全線一日乗り放題。料金は900円。

<関西地方の主なフリー切符>

・歩くまち・京都レールきっぷ

 京阪線、JR西日本線、阪急線の一部区間、京都市営地下鉄、嵐電の全区間が1日乗り放題。料金は1300円。

・大阪周遊パス

 京阪線、阪急線、阪神線、南海線、近鉄線の一部区間、大阪市営地下鉄、大阪シティバスの全区間が乗り放題。料金は2500円。

・阪急阪神1dayパス

 阪急線、阪神線、神戸高速全線が1日乗り放題。料金は1200円。

・近鉄週末フリーパス

 近鉄全線3日間乗り放題と葛城ロープウェイが50%割引のきっぷ。ただし、土日を含む開始日から3日間のみ有効で、料金は4100円。

<その他フリー切符>

・JAPAN RAIL PASS(ジャパン・レール・パス)

 JRグループ6社が共同して提供するパス。日本に観光目的で来た外国人限定または海外在住の日本人で一定の条件を満たした者のみ有効。JR6社全線の新幹線(「のぞみ」「みずほ」号は除く)+特急列車+急行列車+快速列車+普通列車+BRTが乗り放題。さらに、東京モノレール、JRバス、JR西日本宮島フェリーも乗り放題。料金は以下の通り。


・電車一日乗車券(土佐電気鉄道)

 とさでん全線が1日乗り放題となる切符。料金は1000円。

・電車一日乗車券(広島電鉄)

 広電全線が1日乗り放題となる切符。料金は600円。

・一日乗車乗船券(広島電鉄)

 広電全線に加え、宮島松大汽船(宮島口~宮島航路)が乗り放題となる切符。料金は840円。

③イベント型

(1)相模鉄道

・ゆめきぼ切符

 2017年12/23(土・祝)~2018年3/31(土)にかけて相模鉄道が発売している切符で、ゆめが丘駅(いずみ野線)~希望ヶ丘駅硬券乗車券を購入できるほか、「オリジナル絵馬」と「ゆめきぼそうにゃんピンズ」が譲与される。この切符は「ゆめ」と「希望」を持つ乗車券として、志望校合格祈願のお守りとして人気が高い。料金は270円。

(2)IRいしかわ鉄道、あいの風とやま鉄道、えちごトキめき鉄道、しなの鉄道(北しなの線)

・4社共同 開業3周年謝恩フリー切符

 上記鉄道会社4社が開業3周年を記念して、2018年3月14日~5月7日限定、数量限定で4社が連続2日間乗り放題となった切符。料金は4000円。

3.フリー切符をまとめると

 では、これまでの情報をまとめて、問題点などを探っていきます。

①「観光地型」

(問題点1)「お得」の程度が分かりづらい

 そのフリー切符がどの程度安くなるのか分かりづらいと思われます。特に、自宅~観光地が遠い場合、フリー切符の金額もそれなりに上昇するので金銭感覚が麻痺し、この金額が高いのか安いのか非常に分かりづらいものとなってしまっています。さらに、観光地でも使える切符がほとんどなので、この切符がどれだけ割引されているのか分かりにくくなっています。

(問題点2)バリエーションが少ない

 フリー切符の効用が1日限定、2日限定のみ発売となると不便だと思われます。

 特に小田急電鉄の「箱根フリーパス」は2日、3日間のみしかなく1日乗車券がありません。確かに、箱根は宿泊施設も充実していて、箱根で一泊や二泊するのがオーソドックスと言えます。しかし今のご時世、新宿駅から箱根湯本駅までわずか約80分で移動できるようになり、日帰り旅行も十分できるようになりました。そのように考えるともう少し便利な切符を販売すべきです。

②「乗り放題型」

(問題点3)乗り放題なのに不便

 乗り放題切符だけだと少々不便な場合があります。

 例えば、小田急線から乗車して、下北沢駅で乗換え、下北沢駅で「京王線・井の頭線1日乗車券」を購入するとします。その時、当然小田急線駅~下北沢駅の運賃も払うことになって、いくら1日乗車券が安くても、どうしても割高になってしまう可能性があります。つまり、その他路線の交通費がかさんでしまうのです。

 このように、単に「乗り放題」と言っても、一概には便利、有能な切符とは言えないことが分かります。

4.よりよいフリー切符は?

 では、先述した問題点の解決策を講じていきます。

(解決策1)「お得」の程度が分かりづらい

 割引額を分かりづらくさせている原因としては、観光地型のフリー切符はほとんどの場合「最寄り駅~観光地最寄り駅往復割引運賃+観光地特典(乗り放題や一部店舗割引など)」というタイプですが、最寄り駅~観光地最寄り駅の往復運賃が駅ごとにまちまちであることが考えられます。当研究ではフリー切符の紹介の際に値段を表示したかったので、主要駅の値段を紹介しましたが、実際は駅ごとに値段を調べる必要があります。

 そこで、駅ごとの割引する割合を統一するというのはいかがでしょうか?今回紹介した中では、京王電鉄の「高尾山きっぷ」です。高尾山きっぷは先述した通り、「京王線各駅~高尾山口駅の往復運賃+高尾山ケーブルカー・リフトの料金2割引」と非常にシンプルかつ分かりやすく、安くなっていると利用者も実感できるようになっています。

(解決策2)バリエーションが少ない

 こちらは1日限定のみならず、2日間有効などと併用して販売すべきだと思います。ただ、高尾山のように、明らかに日帰り向きの観光スポットは1日版のみでも良いかと思われます。大切なのは利用者のニーズにあったフリー切符を販売することです。次の表にフリー切符に登場する観光スポットは何日版のフリー切符の需要が高いと思われるか、さらに現行のフリー切符では何日版が販売されているのかまとめてみました。


◯→需要十分/販売されている △→それなりの需要アリ ×→需要は少ない/販売されていない

 

新たなフリー切符販売を検討すべきなのは、◯/×もしくは△/×のものです。

 よみうりランド、高尾山、東京スカイツリーは都心から1時間以内と近く、観光スポットも少ないため現行通りでいいと思われます。

 秩父は、池袋駅から特急「ちちぶ」で約80分なので、朝一の池袋駅6:50発西武秩父駅8:15着のちちぶ3号、7:30発8:51着ちちぶ5号に乗車すれば、十二分に日帰りできる観光地のため1日版秩父フリーきっぷも販売するといいでしょう。逆に、2016年に運用を開始した、元町・中華街~西武秩父駅間の「S-TRAIN」が秩父方面に走っているように、横浜方面など遠方の観光客のニーズに応えるために、3日版も販売するとさらに良いかもしれません。

 日光は、浅草駅から東武日光駅まで約2時間の旅路で、日光駅からもバスなどの遠距離移動が不可欠であるため、日帰りは難しいです。ただ、筆者の小学生の時の日光修学旅行が1泊2日だったように、2日からの需要はある程度見込めるので、2~5日用のフリー切符販売がいいと思います。都心から遠方で、観光地が多いほど、滞在日数にばらつきが出やすくなるかと思われます。

 箱根は、新宿駅から最速で73分ですから、秩父同様日帰りも十分可能な距離です。ただし、千代田線直通の「メトロはこね号」は北千住駅から120分と遠方の列車も運用されるため、1~3日用が妥当と思われます。

 近鉄特急で行く伊勢・志摩はおおまかな所要時間をまとめました。


名古屋駅~伊勢市駅は比較的近距離でも、賢島駅まで行くとなると遠距離になります。さらに関東地方から向かうとなると東京駅~名古屋駅が「のぞみ」で約100分ですから、さらに遠距離になります。また、伊勢神宮のみ観光するなら一泊でも十分ですが、遠方からの観光客や、鳥羽や賢島方面もみっちり観光したい人には、二泊、三泊が必要になります。よって、多様なニーズに答えるためにも2~4日間を用意するべきでしょう。

新宿駅~高尾山口駅を結ぶ京王電鉄

池袋駅~西武秩父駅を結ぶ西武鉄道

元町・中華街駅~西武秩父駅を結ぶ「S-TRAIN」

浅草駅~東武日光駅を結ぶ東武鉄道

新宿駅~箱根湯本駅を結ぶ小田急ロマンスカー

近鉄名古屋駅、京都駅、大阪難波駅~賢島駅を結ぶ近鉄線


高野山は特急「こうや」で南海難波駅~極楽橋駅が約90分、その後ケーブルカーに乗換ができます。日帰りは微妙ですが、1~3日が妥当と言えるでしょう。

(解決策3)乗り放題なのに不便

 これは2社以上の合同フリー切符を販売すべきだと思います。例としては、「東急東京メトロパス」が挙げられます。この切符は、「東急線発駅往復+東京メトロ1日乗車券」がセットになった切符になります。料金は横浜駅から910円、中央林間駅から1020円です。

 横浜駅~渋谷駅の運賃は片道270円、中央林間駅~渋谷駅の運賃は片道330円、東京メトロ24時間券が600円なので、これだけでも安くなって、かなりお得になっています。これを他の鉄道会社でも活用すべきです。

難波駅~極楽橋駅を結ぶ南海電鉄

「東急東京メトロパス」を販売している東急電鉄

5.結論

6.終わりに

フリー切符は利用者に合うものを販売すべきですし、利用者も自分に合ったフリー切符を購入できるのが一番いいと思います。そのためにも、鉄道会社は分かりやすく宣伝すべきです。双方とも頑張っていただきたいと思います。

今回の研究はかなり苦しいものになってしまったというのが、正直な感想です。次の文化祭号に向けて精進していけたらと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

7.参考サイト

・京王電鉄 https://www.keio.co.jp/

・西武鉄道Webサイト https://www.seiburailway.jp/

・東武鉄道ポータルサイト www.tobu.co.jp/

・京阪電気鉄道株式会社 https://www.keihan.co.jp/

・近畿日本鉄道 www.kintetsu.co.jp/

・南海電鉄 www.nankai.co.jp

・JRおでかけネット https://www.jr-odekake.net/

・東急電鉄 https://www.tokyu.co.jp/

・東京メトロ www.tokyometro.jp/

・阪急電鉄|鉄道 駅ナカ 沿線おでかけ情報 www.hankyu.co.jp/

・ジャパン・レール・パス - Japan Rail Pass japanrailpass.net/about_jrp.html

・とさでん交通株式会社 http://www.tosaden.co.jp/

・広島電鉄 www.hiroden.co.jp/ticket-pass/bargain-tickets/oneday.html

・相鉄グループ www.sotetsu.co.jp/

・しなの鉄道株式会社 www.shinanorailway.co.jp/


おことわり:Web公開のため一部表現を変更させていただきました






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