京浜急行線のトイレについて

1. はじめに

 今回の研究では、京浜急行線(以後京急線と省略)のトイレの需要と供給について研究していきたいと思います。主に、トイレの需要についての考察や、京浜急行線内でのトイレ事情についても考察していきたいと思います。


2.駅内トイレの需要・必要性の高


①圧倒的な設置数

日本の多くの鉄道駅には、トイレが設置されています。田舎にある利用者数の非常に少ない駅を除いてほぼ設置されていると言えるほど、トイレのない駅は珍しいのではないでしょうか。これほど多くのトイレがあることから、それらを利用するだけの利用者数があるということがわかり、需要が高いことがわかります。


②朝夕混雑時の行列

 首都圏では、朝夕のラッシュ時において、トイレの利用者数が多いことから、トイレ待ちの列ができている様子を時々ではなく頻繁に目にすることがあります。優等列車などが停車してしばらくすると、降車してきた人が同じタイミングでトイレに向かおうとするため、利用者を一回でさばききることはできず、待ちの行列を生み出してしまうほどにトイレの利用者数は多く、需要が高いことがわかります。


③体調不良者が原因の救護解消

 電車を利用していると、時々、「体調のすぐれないお客様の救護のため、この電車は〇分の遅れがでています…」といったアナウンスが流れることがあります。そういった電車の遅延にもなりかねない利用者の救護を未然に防ぐため、体調不良者には自らお手洗いを利用してもらうということが考えられるので、トイレの必要性は高いといえます。


3.品川駅~上大岡駅間トイレ利便性ランキング

 上記で述べたように、駅内のトイレの需要・必要性は高いです。そのため、京浜急行線の品川~上大岡駅間における、駅のトイレの数、種類、バリアフリーを備えた駅をリストアップし、点数をつけ、ランキングをつけてみました。点数配分としては、トイレ一か所で3点、ホームとの距離が近い、または改札との距離が近いと2点、ベビーシートありで1点、トイレの種類が多機能トイレだと2点追加となっています。下記のものが、合計点のトップ3の駅となっています。


新馬場駅 駅構内図(京浜急行HPより引用)

三か所にそれぞれまとまって設置されたトイレは圧巻


一位が新馬場駅、二位が横浜駅、三位が上大岡駅となりました。新馬場駅のトイレの数は圧倒的で、ダントツの一位となっています。新馬場駅では、南口改札と北口改札の両方にトイレが設置されているうえ改札内にもトイレが設置されていて、トイレの数が非常に多くなっています。以下の二位の横浜駅、三位の上大岡駅は京浜急行線の中でも非常に利用者数が多い駅となっていて、これほどのトイレがあるのも納得です。


4. トイレランキングワースト


 3において作成したランキングの最下位は二つの駅が同率となりました。井土ヶ谷駅と生麦駅です。これらの二つの駅に共通して言えることとしては、ベビーシートが多機能トイレのみにしかないということです。ベビーシートが男子トイレもしくは女子トイレにあったとすると順位は変わっていたでしょう。


5. トイレの質

 3や4におけるランキングを作る際で考慮していなかった重要な点に、トイレの質があげられます。トイレを利用するにあたって、トイレのきれいさだったり、質だったりはとても重要な要素になるため、上記の基準のみでは本当に“いいトイレ“というのは決めることはできないと思います。しかし、トイレの質の調査は非常に困難であるため、今回の研究では考慮することができませんでした。


6. 駅内だけじゃないトイレの設置場所


トイレ付の新1000形1890番台(写真内右側四両)

※現在は5編成が運行中


2021年春より、京浜急行線ではトイレ付の新1000形を導入しました。その新1000形は、自動回転式シート(L/C腰掛)を採用しており、座席を回転させクロスシートにして、ウィング号としての運用が可能です。その際、長時間ウィング号に乗車し続けることになりますが、電車の中にトイレを設置したことで安心、快適に利用することが可能となります。二号車にバリアフリー対応の洋式トイレ、三号車に男性用トイレを設置し、だれでも利用できるようになっているので、非常に便利ではないでしょうか。首都圏のJRのある程度長距離を走る路線の多くにはトイレが設置されていたのに対し、京急には設置されていなかったため、JRに比べて不便でしたが、まずはウィング号での長時間乗車の際はその不便さは解消されるようです。


7. トイレの需要と利便性


上の表は、3で記したランキングで出た合計点数を一日当たりの乗降客数で割ったあと一万をかけたもので、トイレの需要と利便性について点数化されたものになっています。点数が高いほどトイレは充実していますが、高すぎるとトイレ側の利便性の供給が過剰であるといえます。たとえば、神奈川駅の点数は45.00となっていて、乗降客数の割にトイレの設備が充実しすぎているといえると思います。反対に、品川駅や横浜駅などの多くの乗降客数を抱える駅では、トイレの充実度が足りていない可能性が高いです。



 前の表の点数ごとの駅数をまとめたものです。点数が一桁の駅数が多いことが一目でわかると思います。40点の駅がちらほらあり、それらが目を引いているものの、一方で供給が需要に追い付いていないものが多いということがわかります。ただし、この中の点数が高いものは決して“トイレが多い”から点数が高くなっているわけでもなく、乗降客数が極端に少ないだけで、最低限のトイレ設備があるだけで点数が高くなっているというものがあり、決して供給が潤沢にあるがために点数が高くなっているとは言えません。


8.まとめ

・京急線でトイレが一番充実しているといえるのは新馬場駅。

・京急線でトイレが一番充実していないといえるのは生麦駅と井土ヶ谷駅。

・京急では車内にトイレを設置した新型車両を導入済み。

・全体的に供給が需要に追い付いていない傾向があり、増やす必要がある。


9.終わりに

 今回は、この研究をご覧いただきありがとうございました。「お前は結局何が言いたかったの?」というように思われる方が多いかもしれません。しかしながら自分的には、何とかして表や図を挿入して、鉃道研究部の研究っぽく見えるように、外側だけでも取り繕うとがんばったつもりです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。また、約二年半の間、自分の研究の校閲だったり、その他いろいろな手伝いだったりをしてくれた部員の方々、ありがとうございました。


10.参考文献

・京浜急行HP

https://www.keikyu.co.jp/

・乗り物ニュース

https://trafficnews.jp/

・J-CASTニュース

https://www.j-cast.com/

おことわり:Web公開のため一部表現を変更させていただきました。掲載されている情報は研究公開当時のものです。現在とは若干異なる場合があります。

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