会津地方を走る私鉄について

第1章 はじめに

 さて、今回の研究の題材ですが、東武鉄道鬼怒川線・野岩鉄道会津鬼怒川線・会津鉄道会津線(只見線の会津若松駅~西若松駅間を含む)の3路線についてです。読者の皆さんは「えっ、3路線も一気に研究するの?」と混乱するかもしれませんが、これらの路線は3路線を合わせて日光・鬼怒川地域と会津地域を結ぶ役割を担っています。なので、どれか1路線について研究するよりも3路線をまとめて研究するほうがこれらの路線に対してより有効な改善案を提示できる、と考えました。

第2章 3路線の概要

 詳しい研究に入っていく前に、今回の研究対象である3路線についての概要を説明していきたいと思います。なお、ここから先、全列車が直通運転を行っている只見線の会津若松駅~西若松駅間は会津鉄道会津線として扱うものとし、会津鉄道会津線は会津鉄道線、野岩鉄道会津鬼怒川線は野岩鉄道線、東武鉄道鬼怒川線は鬼怒川線と表記します。

A 会津鉄道線(会津若松~西若松間)

 3路線の北端に位置する会津若松市は会津地方の中心都市です。西若松駅を発着する会津鉄道線の列車はすべての列車がこの区間の只見線に乗り入れて会津若松駅まで向かうので、この区間は事実上会津鉄道線の一部分のような運行形態になっています。西若松駅を過ぎると会津鉄道線は只見線と別れ、一路南会津・鬼怒川方面へ向かいます。

 この区間では、会津鉄道線の列車は快速「AIZU マウントエクスプレス(以下AME)」を含め、すべての列車が各駅に停車します。

B 会津鉄道線(西若松~会津高原尾瀬口間)

 北側で前述した只見線と接続し、会津若松市と南会津町を結んでいます。また、南部区間では野岩鉄道線・東武鉄道線と合わせて日光・鬼怒川方面や東京方面と南会津町を結んでいます。

 もともと会津鉄道線は国鉄会津線として建設・運営されていた路線で、国鉄分割民営化により一旦JR東日本に継承された後、第三セクターである会津鉄道に経営が移管された路線です。国鉄時代は全線単線・非電化のローカル線で、蒸気機関車が牽引する客車列車が1960年代まで走っているくらいでした。その後、1986年に野岩鉄道線が開通したことで日光・鬼怒川方面との直通運転が可能になり、1990年に会津田島駅~会津高原尾瀬口駅の電化※が完成して鬼怒川線との直通運転も開始されました。

※電化…鉄道の動力を電気にすること。

C 野岩鉄道線(会津高原尾瀬口~新藤原間)

 福島・栃木県境を結ぶ路線で、北側で会津鉄道線、南側で鬼怒川線と接続し直通運転を行っています。「県境」という言葉から察することができるかもしれませんが、この路線の沿線は急峻な山岳地帯であり、人口希薄地帯です。よって、利用者は観光客やこの路線を通過して会津方面や日光・鬼怒川・東京方面へ向かう乗客が多くなっています。人口希薄地帯ではありますが、温泉など、観光客の乗降が見込まれる場所に駅が設置されているため、それぞれの駅での乗降客数は少なくありません。沿線に多数の温泉を抱えているため、「ほっと・スパライン」の愛称がつけられています。

 もともと国鉄野岩線として建設されており、国鉄は北側で会津線、南側で日光線と接続するという目論見だったので、野岩線は鬼怒川線と並行する新藤原駅~日光線今市駅間も建設される予定でした。しかし国鉄の経営悪化により工事は難航し、第三セクターの野岩鉄道として工事が再開、その結果新藤原駅~今市駅までの路線は建設せず、新藤原駅で鬼怒川線と接続することになりました。

 余談として、路線の建設を行った日本鉄道建設公団※により高規格な路線として建設されたため、単線30.7kmのほとんどがトンネル、高架、橋梁による直線区間で構成されており、全駅停車の列車でも全線の所要時間は約35分・表定速度※は約50km/hであり、平地の鉄道と変わらない高速運行が可能となっています。トンネルの数は18、橋梁は64か所にものぼり、踏切は新藤原駅付近の1か所と両端の駅の構内踏切を除いて存在しません。

D 鬼怒川線(新藤原~下今市)

 北端の新藤原駅で野岩鉄道線と接続し、鬼怒川温泉を通り抜けて下今市駅へ向かう路線です。下今市駅では東武日光線と接続し、東武日光線を介して「スペーシアきぬがわ」「きぬ」などの多くの東京方面との直通特急列車が運行されています。野岩鉄道線と比べれば沿線人口は多いほうで、地元の利用者も少なからずいますが、やはり鬼怒川温泉へ向かう観光客が非常に多く、観光客が主な輸送対象となっています。

 野岩鉄道線は高規格な路線であると前述しましたが、この路線はまさに正反対で、もともと発電所工事用の軽便鉄道を改良して開通した路線なので急カーブが連続しており、特急列車も高速運転はできなくなっています。

※日本鉄道建設公団…国鉄の負担を軽減するため、国鉄の鉄道建設業務を引き受けた公団。

※表定速度…ある地点から別の地点までの距離を、移動に要する時間で割って求める速さ。この場合の移動に要する時間には、途中で停止している時間も含まれる。

E 列車種別

 3路線で運行されている列車種別は臨時列車を除くと全駅停車の普通列車・快速「AME」・快速/普通「リレー」・特急「リバティ会津(以下R会津)」・特急「リバティきぬ(以下Rきぬ)」・特急「きぬ」・特急「スペーシアきぬ」・特急「きぬがわ」・特急「スペーシアきぬがわ」の10種類です。

 普通列車は、電化区間の境目である会津田島駅を境に運行形態が分かれています。会津田島駅より北側の非電化区間は会津若松駅~会津田島駅を運行する列車が主体で、南側の電化区間は4路線全線を直通運転する列車もありますが、会津田島駅~会津高原尾瀬口駅、会津高原尾瀬口駅~新藤原駅、新藤原駅~下今市駅などを運行する区間運転列車が主です。

 快速「AME」は、2002年から運行を開始した快速列車です。追加料金の徴収はなく、乗車券のみで乗ることができます。2005年に東京(浅草駅)から会津田島駅までを一本で結んでいた急行「南会津」の廃止により、利便性確保のため運行区間が喜多方駅・会津若松駅~会津田島駅から喜多方駅・会津若松駅~鬼怒川温泉駅に延長されました。その後、一部の列車が東武日光線に乗り入れて東武日光駅まで運転されるようになりました。全列車が鬼怒川温泉駅または下今市駅で浅草方面へ向かう特急電車に接続します。

 快速「リレー」は、後述する特急「R会津」の運行開始に合わせて、「R会津」が向かわない会津若松方面の利便性を高めるために設定されました。すべての「R会津」に対して「リレー」が会津若松駅~会津田島駅間で設定されています。快速運転を行うのは会津田島方面に向かう1本のみで、その他の列車は普通列車となっています。

 特急「R会津」は、2017年に浅草駅~会津田島駅間で運行を開始した特急列車です。会津田島駅~下今市駅間はほぼ各駅に停車しています。運行区間が会津田島駅までという関係上、会津若松方面へは前述したように快速・普通「リレー」が向かっています。

 すでに廃止されてしまいましたが、特急「R会津」の運行開始前、会津田島駅~浅草駅に乗車券のみで乗れる快速列車が運行されていました。この列車の廃止と引き換えに「R会津」が運行開始されたのでこれは鉄道会社側の特急列車への誘導だと考えられます。この快速列車を利用していた乗客への救済措置として、会津田島駅~下今市駅間の区間内のみを利用する場合、特急料金が不要になる特例が設定されています。

 特急「Rきぬ」・「スペーシアきぬ」の3列車は全て浅草駅~鬼怒川温泉駅・新藤原駅間を結ぶ特急列車です。使用する車両によって名称に区別がつけられています。この3列車のうち、「Rきぬ」は前述した「R会津」と同じく鬼怒川線内はほぼ各駅に停車しています。

 特急「きぬがわ」・「スペーシアきぬがわ」はJR新宿駅~鬼怒川温泉駅間を結ぶ特急列車です。JRと東武鉄道が相互直通運転を行っているのが特急「Rきぬ」・「スペーシアきぬ」との相違点です。この2列車も使用する車両によって名称に区別されており、JRの車両を使用する列車には「きぬがわ」、スペーシアを使用する列車には「スペーシアきぬがわ」の愛称がつけられています。

F 利用状況

 鉄道の利用客というのは、定期利用客(地元住民など、日常的に定期券を使用して利用する乗客)と定期外利用客(観光目的などで定期券を使用しない乗客)の2つに分けることができます。

 以下のグラフは3路線の通学定期・通勤定期・定期外の割合を示したものです。


 大部分が観光客である定期外利用客に着目すると、鬼怒川線を利用する乗客が非常に多いのに対し、これは運行本数上仕方のないことなのですが、野岩鉄道線・会津鉄道線を利用する乗客は少なくなっていることがわかります。さらに、野岩鉄道線の利用客数は悲惨なものになっています。野岩鉄道線の利用のほとんどが定期外利用である理由は、前述したように沿線人口が非常に少ないからであると考えられます。野岩鉄道線だけでなく3路線全体でも、専ら定期外利用者が輸送の大半を占めています。

 3路線の定期利用客は、主に通学定期を利用する学生(主に高校生)ということが多くなっています。これは自宅から学校まである程度距離があり、運転免許が取得できないという条件からおのずと通学手段が限られてしまうことが要因です。定期利用客の比率が低い野岩鉄道線は例外として、会津鉄道線・鬼怒川線にとって、高校生の乗客は貴重な収入源となっています。 

  • 3路線とも利用者は定期外利用者(観光客)が多い。
  • 本数が少ない野岩鉄道線・会津鉄道線は、輸送量も低い。
  • 野岩鉄道線の沿線人口は少なく、利用者のほとんどが定期外利用者である。
  • 会津鉄道線・鬼怒川線において定期利用者は一定数存在し、特に会津鉄道線においては比率が高い。貴重な収入源となっている。

第3章 4路線が抱える問題

 地方を走る・本数が少ない・国鉄から第三セクターに転換されたという赤字ローカル線の典型のようなこれらの路線は、やはりたくさんの問題を抱えています。この章では、具体的にどのような問題を抱えているのかを確認していきます。

A 慢性的な乗客減

 これは日本全国の地方路線が抱えている問題です。次のグラフをご覧ください。

注)1986年度の会津鉄道線は転換前のためデータなし。2011年度は東日本大震災の影響で会津鉄道線・野岩鉄道線共にデータなし。

 このグラフは、会津鉄道線・野岩鉄道線の発足時からの年間輸送人員の推移を表しています。発足後しばらくは両路線とも乗客が増えていますが、これは国鉄から転換された地方路線全体に見られたことで、その要因として地元の特性に合わせたダイヤの設定や新型車両の投入が行われたほか、ニーズに合った列車設定などがなされるようになったことが挙げられます。また、地元の請願による新駅の設置、駅舎改良も積極的に実施されたことにより利便性が高まったこと、折からのバブル景気の追い風もあって利用者は増加しました。しかしその後、沿線の過疎化やバブル崩壊※による旅行者の減少により乗客の減少に歯止めがかからない状況となっています。鬼怒川線は年間輸送人員のデータはありませんでしたが、各駅の乗降人員を見ると同様の状況であると推測します。

※バブル崩壊…1991年から1993年にかけての景気の急激な悪化を指す言葉。この後、日本経済は「失われた20年」と呼ばれる不況を迎える。

B 「快速」や「特急」なのに「普通」

 これは、速達種別であってもほぼ各駅停車のようになっている列車がある、ということです。実はこれは地方の鉄道ではよくあることで、なぜこのようなことが起きてしまうのかというと、通過駅の利便性確保と路線全体としての速達性という相反する2つの要素を両立させたからです。地方の鉄道では、列車の本数が1時間に1本かそれよりも少ないというような路線が多く、そのような路線で主要駅のみ停車の快速列車を運行してしまうと通過駅に停車する列車の間隔が大きく開いてしまい、利便性が著しく損なわれてしまうのです。そこで、ほんの少しの駅を通過する列車も「快速列車」ということにして「この路線には快速列車がある」ということをアピールしている、というわけです。「普通列車の本数はそのままにして快速列車の本数を増やせばいいじゃないか」とお思いの方もいるかもしれませんが、列車の本数を増やすには、ダイヤを変更するだけではなくいろいろなことを考えなくてはなりません。例えば、増発した列車に乗務する乗務員の手配についても考えなくてはなりませんし、使用車両についても考えなくてはなりません。これらのことを勘案すると、前述したように地方の鉄道は快速列車を運転しないか、するとしてもほぼ快速運転をしないことが多くなっています。

 しかし、利用者にとって快速列車なのにほぼ普通列車と同じである列車があることは非常にわかりにくいです。日常的に利用している乗客は大丈夫かもしれませんが、そもそもこれらの3路線は主な利用客が観光・保養客などの定期外利用者である、ということを前の章で言及しました。定期外利用者にとって、わかりにくい列車種別・ダイヤはいいものではありません。

C 速達性のなさ

 一般的に、鉄道は自動車と比べて、速達性・輸送量・定時性・安全性に優れる交通機関です。この特性から、都市部では多くの人々が鉄道を利用します。都会の人々が列車を選ぶのは、「クルマより早いし、時間に正確だし、安い」からです。都会は信号が多く、渋滞も頻繁に発生し、クルマに関係ない電気や水道の工事で通行止めや車線減少もあります。そして、訪問先で駐車場を探さなくてはならず、駐車料金は電車賃以上にかかります。それに比べて電車は時間に正確で、乗り遅れても数分以内に次の電車が来ます。ほとんどの地域が駅から徒歩圏内になります。

 しかし、地方の交通機関として列車とクルマを比べたら、クルマのほうが便利です。ドアからドアまで直行できます。他人を気遣う煩しさもなく、道路は赤信号も渋滞も都市部に比べて比較的発生しにくいです。ほとんどの駐車場はタダもしくはタダ同然であり、そもそも駐車禁止区域が無いことが多いです。クルマもある程度の定時性を保つことができます。そしてなによりも、ほとんどの人々にとって最寄駅から離れた地域に住んでいるので、ドアからドアへ直行できるクルマのほうが便利です。

 よって、地方の輸送において鉄道が自動車に勝つためには、安全性はもちろんですが、圧倒的な速達性が必要です。

 しかし、これらの3路線には、速達性がありません。例えば、会津田島駅~下今市駅間を運行する列車は、最も速い「AME」が1時間35分程度で走破しますが、この区間の距離が61.6kmであることを考えると表定速度は38.5km/h程度となります。あまりピンと来ないかもしれませんが、この表定速度はかなり遅いほうで、首都圏を走る在来線の表定速度とほぼ同じです。また、会津若松駅~会津田島駅間でも快速列車で45.1km/hと速いとは言えないダイヤとなっています。

 速達性の問題の原因は、主に設備上の問題と停車駅などの運行上の問題とに分けることができます。設備上の問題について、野岩鉄道は高規格な路線であると前述しましたが、それ以外の2路線はかなり低規格な路線となっています。鬼怒川線は急カーブが連続していて、会津鉄道線は使用されているレールや枕木の規格が低く、高速で走ることができません。

 次に、停車駅などの運行上の問題について、優等列車※のうち、特急「きぬ」・「きぬがわ」・「スペーシアきぬ」・「スペーシアきぬがわ」は鬼怒川線内に通過駅が設定されていますが、快速「AME」や特急「Rきぬ」・「R会津」には鬼怒川線内には通過駅がほぼ設定されておらず、またそのうち快速「AME」と特急「R会津」は野岩鉄道線内でもほぼ各駅に停車する、ということが速達性を損ねています。

第4章 改善策

 前述した問題に対して、どのような対策があるのでしょうか。

A 停車駅の変更

 速達性に関する停車駅の問題があります。これを改善するために、停車駅の変更とダイヤの調整が必要だと考えます。

 前提として、快速「AME」と「R会津」は基本的に全列車全区間で通過運転をさせるべきだと考えます。また、現在リレーは、快速列車と普通列車が混在していますが、混乱を避けるため、思い切ってすべての列車を普通列車として運転したほうがいいと思います。「リレー」が運行されている会津若松駅~会津田島駅間にはすでに「AME」が3往復運行されており、これ以上この区間で速達列車を運行した場合、通過駅の利便性が低下してしまうと考えます。「リレー」の快速運転をやめた場合、会津若松市へ行く場合の「R会津」の利便性が低下してしまうと思われますが、そもそも首都圏から会津若松市に向かう場合、大多数の人が東北新幹線+磐越西線というルートを使うと思われ、「R会津」の利用客の中に会津若松市へ向かう人がそこまでいるとは考えにくいです。裏を返せば、それは大半の乗客が南会津町か、それより少し先の下郷町に用があるということになります。なので、「リレー」の快速運転を取りやめてもそこまで影響はないと思います。

 まず、鬼怒川線内での優等列車の停車駅の問題についてです。前述したように、優等列車のうち、快速「AME」と特急「Rきぬ」・「R会津」は鬼怒川線内のほぼすべての駅に停車するのに対し、それ以外の特急列車は鬼怒川線内のほぼすべての駅を通過します。後者はすべて鬼怒川温泉駅または新藤原駅止まりですが、前者はそれよりもはるかに遠い会津方面へと足を延ばす列車です。「より遠い」ところへ向かう列車に「より多くの」停車駅を設定することで明らかに速達性が損なわれています。

 これは、鬼怒川温泉行きの特急電車に1、2駅に停車させ、より遠くへ向かう「R会津」は鬼怒川線内の停車駅を削減することで解決すると思います。現状では、「途中駅の乗客を運ぶ」ということを「AME」・「Rきぬ」・「R会津」に任せすぎていると感じます。多数の特急列車に少しずつ停車させることによって、ある1列車の停車駅が異様に多くなることを回避できます。この方法をすると、途中駅に停まるのが特急料金を払う必要がある特急列車なので、結局乗客は乗れない(乗りたくない)というような状況になるでしょう。そこで、現在特急「R会津」で行われているように、下今市駅以北の区間内は特急料金なしで乗車できる特例を作ればいいと思います。

 次に野岩鉄道線について、優等列車は、一部のR会津が各駅に停車し、その他の「R会津」と「AME」は男鹿高原駅のみを通過しています。ここでも停車駅を削減する必要があると思いますが、比較的乗客がいる(といっても、周りの駅と比べたらの話だが)各駅の利便性が低くなるのを防ぐため、優等列車が全列車停車する駅と一部列車が通過する駅、全列車が通過する駅を設定し、1本の優等列車に対して一部列車が通過する駅を1駅ずつ設定すればいいと思います。

 会津鉄道線内について、この区間は非常に簡単で、乗客が極端に少ない駅と比較的多い駅にきれいに分かれるため、優等列車は前者の駅は通過してしまってよいでしょう。

 B 運行体系の変更

筆者が問題であると思っているのは2点あります。

まず、野岩鉄道線の普通列車が新藤原駅発着とされていることが多い、ということです。新藤原駅というのは鬼怒川温泉の町の外れにある駅で、町の中心はあくまでも鬼怒川温泉駅周辺です。2駅の乗降人員を見ても鬼怒川温泉駅は新藤原駅の2.5倍ほどあります。これらから、新藤原駅発着ではなく、鬼怒川温泉駅発着にすると乗客が見込むことができると考えられます。

つぎに、「リレー」の接続改善についてです。現在、「リレー」は「R会津」に会津田島駅で接続していますが、それぞれの列車の接続時間は数分から20分程度となっていて、接続時間は隣のホームで乗り換える割には長いものとなっています。接続時間を数分の範囲内にするとよいです。

C 野岩鉄道線の速度向上

 前述したように、野岩鉄道線は高速運行が可能なように設計されていますが、現状は最高速度が80km/hに制限されています。はっきり言って、これでは宝の持ち腐れです。運行されている車両の性能を考慮しても100km/hぐらいに向上させてもよいのではないでしょうか。

D サイクルトレインの導入

 鉄道には常について回る欠点があります。それは「最寄り駅からは歩かなければならない」ということです。自動車は家から目的地まで乗っていくことができますが、鉄道は駅までは何か別の方法で行かなければならないのです。筆者はこの駅までの「心理的な遠さ」が鉄道が敬遠される1つの原因だと思っています。

 そこで、サイクルトレインを導入してみてはどうでしょうか。

サイクルトレインとは、鉄道の車両の中に自転車を乗せられるようにすることです。自転車が積載可能になることによって自宅から駅まで自転車で行き、そこから自転車を車両の中に乗せて目的地の最寄り駅から再び自転車で向かう、というようなことが可能になります。駅までの道のりに自転車が使用可能になることで前述した「心理的な遠さ」が軽減されると思います。

第5章 終わりに

 今回は地方を走る路線を研究しました。そもそもこの路線を研究しようと思ったのは地図を見ていた時の好奇心からでした。研究し終わってみて、ローカル線の典型のような路線に東京への直通特急が走っていることに非常に興味を惹かれました。ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

第6章 参考資料

会津鉄道

www.aizutetsudo.jp/

野岩鉄道

www.yagan.co.jp/

南会津町

www.minamiaizu.org/

東武鉄道

http://www.tobu.co.jp/

浅野学園鉃道研究部 『停車場』アーカイブ

浅野学園の鉃道研究部が発行する部誌『停車場』のアーカイブサイトです。過去に発行された『停車場』を自由に閲覧することが出来ます。

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