江ノ島電鉄線を考える

1、まえがき

 はじめまして。中学1年の**です。今回が初めての執筆となりますが、気を引き締めて書いていこうと思います。さて、今回は鎌倉・江ノ島観光の交通網の要、江ノ島電鉄線(以後、江ノ電と表記します)について研究していこうと思います。

 拙い文章ですが、最後までお読みいただければ幸いです。

2、「江ノ電」の概要

①「江ノ電」とは?

 研究の前にそもそも江ノ電とはどんな鉄道会社かということに焦点を当てていこうと思います。

 江ノ電は、「株式会社江ノ島電鉄」が運行する鉄道路線です。藤沢駅〜鎌倉駅の総距離およそ10kmを結んでおり、前記の通り観光の要として活躍しています。また、沿線には稲村ヶ崎や七里ヶ浜を始めとする多くの住宅地が存在しており、通勤・通学ラッシュ時には通勤電車としての役割も果たしています。

 続いて、江ノ電の歴史についてです。江ノ電の前身となる、「江之島電気鉄道」が運行開始したのは1902年、その後車両増備や延伸を行い1928年に「江ノ島電気鉄道」として営業運転を開始しました。

①車両紹介

↑10系

↑20系

↑300系

↑500系

↑1000系

↑2000系

 現在運用されているのは先頁の6種類の車両です。中でも300系はこの中で1編成(2両)しか残っていないため貴重な車両と言えます。

 さて、説明はこのくらいにして次章から本題に入っていこうと思います。

3、江ノ電の問題点

 さて、この章では江ノ電が抱える様々な問題をピックアップしていこうと思います。

この研究で取り上げるのは以下の三点です。

①高額な運賃

 江ノ電が抱える問題点として一番に挙げられるのは運賃についてではないでしょうか。

料金設定、区間距離、1kmあたりの運賃を他社と比べてみました。(表1)

<表1>

 以上から江ノ電の料金設定が高いことがお分かりいただけたと思います。

 上記のように江ノ電が結んでいる鎌倉〜藤沢間はJR線でも行くことができるうえ、あまり料金が高いと小田急電鉄江ノ島線や湘南モノレールなど、他の鉄道路線との競合が見込まれます。

 高い運賃を徴収し続ける今の状態には是正が求められると思います。

②災害への対策

 続いて災害対策の観点から江ノ電をみていきましょう。

 江ノ電は一部海に面した区間が存在するうえ、路線のほとんどが低海抜な場所に立地しています。首都圏「大地震で津波が来る駅」ランキング(東洋経済調べ、表4)では、トップ25に6つの駅がランクインしています。大勢の観光客、つまり土地勘のない人たちも多く利用することを踏まえると安全面を考慮した対策が必要だと思います。

<表4、ランキングの中で江ノ電沿線の駅をピックアップ>

江ノ電と海(鎌倉高校前駅)

③車両設備の老朽化

 本稿で取り上げる最後の問題点は「車両設備の老朽化」についてです。特に300系は製造初年が1956年の古い車両であり、もうメーカーも部品の製造を行っていないことから、修理のための部品は特注するか自社製造するしかなく、高額な資金が必要となります。

 ②とも繋がってきますが、安全性の確保も難しくなっていくのではないかと思います。早急に新型車両と置き換えることが必要です。

4、解決に向けて

 この章では、第3章で挙げた問題点について、その解決策を考えていこうと思います。

①高額な運賃

 運賃を安くするためには人件費の削減やたくさんの人に利用してもらうことが大切だと思います。ここでは、たくさんの人にアピールし、利用客数を増やす方法を考えていきます。

Ⅰ周辺の自治体や公共交通機関との連携

 周辺の他路線との連携を図ることで江ノ電を利用する人が増えるのではないでしょうか。JRと競合するのではなく、協力することで互いに利益は出ます。他にも、江ノ電や小田急江ノ島線、湘南モノレールなど、周辺の私鉄が全て割引になるといったパスを販売することで、「江ノ島に行くついでで江ノ電にも乗ってみようか」といったお客さんが増える可能性があります。また、周辺の自治体の掲示板にポスターなどを掲示してもらうことで、江ノ電自体の認知度を上げることもできるのではないかと考えます。

Ⅱ割引イベントの実施

 割引イベントなどを含む、様々なイベントを実施するのはどうでしょう。筆者が考えたのは、各駅を巡ってスタンプラリーをすると、周辺の観光施設、飲食施設などで割引を受けることができるようにする、というものです。スタンプラリーなら小さいお子さんも楽しめますし、飲食施設で割引が受けられれば、「一石二鳥」なのではないでしょうか。このようなイベントを実施しますよ、といった情報をネットで拡散すれば、利用客数を大幅に増やすことができるのではないでしょうか。

②災害への対策

Ⅰ新型車両を導入する

 新型車両を導入することで安全性の向上が図れると思います。災害時の音声案内が容易になり、避難誘導を行う人員を多く割くことが可能です。災害というカテゴリーの中に車両の異常による事故を含むとすれば、新型車両の導入は車両の安全性の向上にもつながりますから、早期に車両の代替えを行うべきだと思います。具体的に言えば、最古の車両である300系は廃止し、最新車両である500系を代替すべきです。

Ⅱ災害時誘導の強化

 これは、社内で定期的に避難訓練を行って社員が迅速な避難誘導を可能にするものです。土地勘のない観光客を誘導するためには、練習が必要だと思います。ですから、「練習の場」を設けるというものです。

③車両設備の老朽化

 この問題に関しては正直言えることはあまりありません。というのも、解決策は古い車両を新しい車両に代替するしか方法がないからです。

5、将来へ向けて(まとめ)

 以下がこの研究のまとめです。

・江ノ電の認知度を上げることで利益を上げ、運賃を下げる。
・割引チケットの発売
・災害時の避難を短時間で行うため、避難訓練を実施する。
・新型車両を導入し、車両自体の安全性の向上を図る

 この章のタイトルは「将来へ向けて」であるということで、上記の4点が実施されているのかを紹介しようと思います。

 まず、認知度の向上へむけた対策という観点ですがすでに達成されていると考えます。なぜなら、アニメや映画などに江ノ電沿線を舞台とする作品が多くあり、国内はもちろん、国外の人にも広く知られるものとなっているからです。

 割引チケットの発売については、これも達成されていると考えます。みなさんは「鎌倉・江の島フリーパス」という割引チケットをご存知でしょうか。これは、JR東日本が発売しているフリーパスなのですが、鎌倉、江の島周辺の3路線、つまりJRの鎌倉~大船~藤沢の各区間と、湘南モノレール、江ノ電が乗り放題になるというパスです。

 以上から、近い将来運賃が安くなるのではないかと筆者は睨んでいます。

 つづいて避難訓練ですが、これはあまり達成されているとは言えないでしょう。江ノ島電鉄株式会社は「災害時非難ハンドブック」というものを発行していますが、定期的な避難訓練は行われていないと言わざるを得ません。

 最後に車両設備の老朽化に伴う新型車両導入についてですが、あまり現実的とは言えません。というのも前社長である深谷研二さんが否定的な見解を示していることが根拠です。以下は東洋経済オンラインに掲載されている深谷さんのコメントです。(リンクは参考文献をご参照ください。)

<中略>
実は、私たち江ノ電では、電車そのものをエンターテインメント化し、楽しんでもらうことを、意図的に進めているのです。江ノ電が好ましいイメージを持っていただいているのは、たぶん、昔の遊園地や動物園の「おさるの電車」と同じだと思うのです。
<中略>
今でも半世紀前の車両が現役で走っています。先人が努力してメンテナンスを続けてきたおかげで、古い車両が今なお現役で使える状態を維持してきました。その努力を無にしたくないという思いもあって、使い続けているわけです。古い車両が走ると、お客様も喜んでくださいます。現在、305系と355系という半世紀前の車両が一編成だけ、毎日走っているのですが、わざわざそれに乗りたいと、遠方から来てくださるファンもおられます。私たちとしても、そうしたお客様の声に応えるためにも、できるかぎり長く、先人の遺産ともいうべき車両を走らせるつもりでいます。

 少なくとも、300系が廃車になるのはまだまだ先になりそうです。

6、あとがき

 いかがでしたか?初めて書いたとはいえ、内容が薄くなってしまったなと感じています。とにかく、江ノ電は今後も鎌倉を観光する皆さんの足として役立つことでしょう。ところで、筆者が実地調査をした際に鎌倉高校前で多くのスラムダンクファンの外国人の方が交通ルールを無視して写真を撮っていたのが気になりました。せめて交通ルールは守ってほしいですね。

 最後まで読んでくださった方、本当にありがとうございました!

7、参考文献

・株式会社江ノ島電鉄ホームページ

https://www.enoden.co.jp/

・江ノ電グループ決算資料

https://www.enoden.co.jp/corporate/company/book/pdf/11.pdf

・相鉄線運賃表

https://www.sotetsu.co.jp/train/search/pdf/fares.pdf

・京急線運賃表

http://www.keikyu.co.jp/file.jsp?assets/pdf/train-info/tetsudoueigyou/tetsudoueigyou_13_14.pdf

・京王線運賃表

https://www.keio.co.jp/train/ticket/fare_chart/index.html

・東洋経済オンライン「江ノ電が50年前の車両も使いつづけるワケ」

https://toyokeizai.net/articles/-/74336

・東洋経済オンライン「首都圏『大地震で大津波が来る駅』ランキング」

https://toyokeizai.net/articles/-/222714

・東洋経済オンライン「古都・鎌倉に若手起業家が続々移住するワケ」

https://toyokeizai.net/articles/-/29445

・江ノ電災害時避難ハンドマップ

https://www.enoden.co.jp/train/page/evacuation-area/pdf/disaster-hadbook2.pdf

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