東海道線の夜間ダイヤについて

1.はじめに

 こんにちは。高校一年の*です。

 さて、今回は、東海道線の夜間ダイヤについて考えていきたいと思います。タイトルでは結構長い研究だと思う人もいるかもしれませんが、まったくそんなことはないので、気軽に読んでいただければな、と思います。

 なお、こちらが現在東海道線で使用されているE233系3000番台と、E231系1000番台の写真です。


E233系3000番台


E231系1000番台

2.現在の東海道線夜間ダイヤ

 次の路線図1は、現在の東海道線のものです。小田原駅から先と特急列車は割愛しています。

 路線図1 現在の東海道線の路線図

 現在、夜間の東海道線では、普通列車の運行が主で、ほかに快速「アクティー」や湘南新宿ラインの快速が運行されています。また、平日では、通勤客向けの特急「湘南」も運行されています。

 2021年3月に実施されたダイヤ改正前までは、平日には快速「アクティー」ではなく通勤快速が運行され、また特急「湘南」ではなく、通勤ライナーの「湘南ライナー」が運転されていました。

 ダイヤ改正前の路線図は、路線図2の通りです。こちらの路線図も、特急列車や湘南ライナーは割愛しています。なお、ダイヤ改正前、土休日では現在と同じように快速「アクティー」が運転されていて、一方通勤快速や湘南ライナーは運転されていませんでした。


 現在の平日夜間ダイヤを時間別に見ていきます。なお、時刻の区切りは大船駅を基準としています。


 まずは、18・19時台についてですが、この時間帯では普通列車の運転が中心になっていて、そのほかには東海道線内で各駅に停車する湘南新宿ラインの快速(大船以西は各駅に停車する)や、特急「湘南」も運転されています。なお、特急「湘南」のうち、新宿駅から運転されるものは大船駅を通過するので、上の時刻表には表示されていません。

 20・21時台では、東京始発で2本だけ運転される快速「アクティー」も運転されます。特急「湘南」や湘南新宿ラインの快速も引き続き運転されています。

 22・23時台になると、運転本数が減ってきて、快速「アクティー」の運転も終了しています。

 0時台では普通列車のみが運転されています。

 続いて、土休日ダイヤについてみていきます。


普通列車の運転が中心で、一部大船以西では各駅に停車する湘南新宿ラインの快速も運転されます。平日ダイヤとは異なり、特急「湘南」の運転はありません。快速「アクティー」は、平日と同じく2本のみが運転されています。

3.現状の夜間ダイヤの問題点

 現状のダイヤの問題点として、今回は快速「アクティー」について取り上げていきたいと思います。快速「アクティー」は、先ほどあげた路線図からもわかるように、通過駅は辻堂駅、大磯駅、二宮駅、鴨宮駅の4駅のみと、快速列車の中ではかなり通過駅の少ない列車になっています。2021年ダイヤ改正以前は日中および土休日の夜間に運転されていましたが、ダイヤ改正後は日中の運行を取りやめ、平日・土休日いずれも夜間のみに運転されています。

 では、現状で快速「アクティー」の運行で利便性はどのくらい向上しているのでしょうか?

 筆者は、快速「アクティー」はほとんど利便性向上に貢献していないと思います。理由としては、

ⅰ)利用者数の多い駅を通過している
ⅱ)ややこしい
ⅲ)国府津駅で緩急接続をする

という3点があげられます。それぞれについてみていきます。

ⅰ)利用者の多い駅を通過している

 次の表3は快速「アクティー」が通過運転をしている東海道線の大船駅~小田原駅の区間の各駅の乗車人員数をランキング化したものです。なお、このデータは2020年度のものです。


 辻堂駅の乗車人員が、快速「アクティー」が停車する茅ケ崎駅や国府津駅よりも多いことがわかります。また、そのほかの3駅も国府津駅より乗車人員が多いこともわかります。

 特に、辻堂駅と二宮駅は通勤時間帯に運転される特急「湘南」の一部列車が停車するなど、通勤需要の高い駅です。これら2駅を、通勤客の多い夜間の列車が通過するのは妥当ではないと思います。


ⅱ)ややこしい

 快速「アクティー」は、1日に2本だけ運行されます。運行頻度の低い種別の停車駅は認知されにくいですから、乗り間違いが発生しやすくなります。また、仮に乗り間違い対策で駅での案内を増やしたとしても、それはJR側にとっては面倒なことですし、乗客側にとっても案内がややこしくなります。そのため、快速「アクティー」は運行のわかりやすさという観点ではあまり便利であるとは言えません。

ⅲ)国府津で緩急接続をする

 快速「アクティー」は、通過駅が少ないですが、速達性がないわけではありません。次の時刻表3は快速「アクティー」と、とある普通列車のもの(平日)です。


 いかがでしょうか。所要時間にかなり差があることがわかります。というのも、快速「アクティー」はもともと通勤快速だった列車を置き換えた形で登場していますので、もともと前後に余裕のある大船駅から先の区間ではかなりの速達性を発揮します。

 そのため、途中駅での普通列車の追い抜きも発生します。次の時刻表5は、快速「アクティー」と、その前後を走行する列車を掲載したものです。

時刻表5


 1639E普通列車は国府津駅で、1933E普通列車は平塚駅で快速「アクティー」の待ち合わせをしています。平塚駅は普通列車が到着するのと同じホームの向かい側の線路に快速「アクティー」が到着するので、乗換はそこまで大変ではなく、あまり不便ではありません。

 しかし、国府津駅では、平塚駅と同じようには乗り換えることができません。というのも、国府津駅では普通列車の到着ホームと、快速「アクティー」の到着ホームの移動には階段を使用する必要があります。

 この時点でかなり不便なのですが、さらに国府津駅で待ち合わせをすることの不便さを上げるとするならば、それは待ち合わせをなくせば普通列車が小田原駅に先に到着できるということです。

 具体的には、時刻表5の1639Eは国府津駅で6分間停車して快速「アクティー」の待ち合わせをしていますが、もし仮にここで待ち合わせをしないのであれば、小田原駅に21時02分に到着します(なお、この時刻は単純計算で求めただけの時刻であり、前後の列車の事情は考慮していません)。これは本来ならば1本で小田原駅まで先着できていたにもかかわらず、実際は快速「アクティー」に乗り換えるために階段を渡って乗り換えなければいけないという、かなり不便なダイヤ設定になっています。

 さらに、国府津駅での待避をなくすことで、鴨宮駅へも早く移動できるようになり、鴨宮駅の利便性も向上できます。


国府津駅の乗り換えイメージ

4.解決策

 先ほどあげた問題点の解決策を考えていきましょう。解決策としては、

Ⅰ.快速「アクティー」と前後の列車のダイヤを微調整し、利便性を向上させる
Ⅱ.快速「アクティー」自体を廃止する

の2つが考えられます。

 筆者は、Ⅱ.の、快速「アクティー」自体を廃止するという方法が良いのではないかと思います。Ⅰ.の方法では、確かに階段を利用する国府津駅での乗り換えをなくすことはできるかもしれませんが、一方で快速「アクティー」の存在がややこしいことや、辻堂駅や二宮駅をはじめとした通勤客の多い駅を通勤客の多い時間帯に通過するなどといった問題は解決されません。国府津駅での乗り換えが不便であるということよりも、どちらかというとこれらのほうが問題として大きいと思います。よって、Ⅰ.の方法では十分に問題が解決されるとは言えません。

 一方で、Ⅱ.の方法をとると、夜間に東海道線で運転される種別は、普通、湘南新宿ライン快速、特急「湘南」の3種類のみになり(さらに、普通と湘南新宿ライン快速の停車駅は横浜以西の区間では全く同じですから、実質的には2種類のみになります)、とても分かりやすいダイヤになります。加えて、ほかの課題も解決されますので、快速「アクティー」は廃止にしてしまうのが良いのではないのでしょうか。

5.おわりに

 かなり短い研究になってしまいました。まあ、高等学校総合文化祭で自由研究発表に参加したので、それで罪滅ぼしということで。

 今回は鉄研の研究にしては珍しく、否定する方向の内容になりました。正直、いろいろ考えて肯定するような内容になるとは限らないので、まあ、いいんじゃないでしょうか。

 研究が書けるのも、残りわずか2回ですね。より良い研究が書けるように頑張っていきたいと思います。

6.参考

・JR東日本

https://www.jreast.co.jp/

おことわり:Web公開のため一部表現を変更させていただきました。掲載されている情報は研究公開当時のものです。現在とは若干異なる場合があります。

浅野学園鉃道研究部 『停車場』アーカイブ

浅野学園の鉃道研究部が発行する部誌『停車場』のアーカイブサイトです。過去に発行された『停車場』を自由に閲覧することが出来ます。

0コメント

  • 1000 / 1000