房総地方の特急について

1.はじめに

 こんにちは。中学1年の○○です。今回が初めての執筆となりますので、拙い文章ではありますが、どうぞよろしくお願いします。今回のテーマは房総地方の特急についてです。最後まで読んでいただけると幸いです。

2.房総地方の特急の概要

(1)わかしお号(外房線)

 わかしお号は東京駅から京葉線、外房線を経由している特急です。車両はE257系500番台を使っていて、一部列車が255系となっています。行き先は勝浦、上総一ノ宮、安房鴨川行きの3種類によって構成されています。本数は下り、上り列車どちらも12本(1、2時間に1本)となっています。途中の停車駅は、列車によって異なっていますが、わかしお3号を例に挙げると海浜幕張、蘇我、大網、茂原、上総一ノ宮、大原、御宿、勝浦、安房小湊駅となっています。また、新宿駅始発で中央・総武線各駅停車を経由する新宿わかしお号というものが土・休日に運行されています。

(2)さざなみ号(内房線)

 さざなみ号は東京駅から、京葉線から内房線を経由している特急です。車両はわかしお号と同じように255系、E257系500番台となっています。全列車(後述する新宿さざなみ号を除く)が君津行きとなっています。下り列車は夕方に5本、上り列車は朝に3本のみとなっていて、土・休日の運行はありません。そのため、通勤・通学の需要を集めていることが分かります。途中の停車駅は、全列車共通で蘇我、五井、姉ヶ崎、木更津駅となっています。また、わかしお号と同じように、土・休日には新宿駅から中央・総武線各駅停車を経由して、君津駅より先の館山駅まで向かう新宿さざなみ号というものも運行されています。

(3)しおさい号(総武本線)

 しおさい号は東京駅から、総武線快速、総武本線を経由している特急です。車両はすべての運用で255系となっています。銚子(しおさい15号のみ成東駅)行きとなっています。本数は下り、上り列車どちらも7本(1~3時間に1本)とかなり少なくなっています。途中の停車駅はこちらも列車によって異なりますが、しおさい3号だと錦糸町、千葉、佐倉、八街、横芝、八日市場、旭、飯岡駅です。

主にしおさい号で活躍する255系

3.問題点

 このような房総地方の特急ですが、現状どの特急も乗客が少なくなっています。ではなぜそうなってしまったのか、まとめていきたいと思います。

(1)使用している車両の老朽化

 現在使用している車両は第2章でも書いた通り、255系とE257系500番台です。この内、255系は1993年から使用されており、かなり古いことが分かります。また、E257系500番台も2004年からと全体的に老朽化していることが分かります。下の表をご覧ください。

 この表はJR東日本で首都圏発着の特急の車両形式とそのデビュー年をまとめたものです。改造されたものもありますが、それでも房総の特急は古いことが分かります。古い車両では、Wi-Fiやコンセントがないなど設備が劣っているのでサービス低下を招いてしまいます。また、現在JR東日本の多くの関東エリアの特急では、自由席を廃止して、全車指定席にした上で、座席指定券と座席未指定券を販売しています。しかし255系とE257系500番台には、そのための設備がないことで、未だに自由席と指定席という形式を利用しています。この利用形式が混在していることで、予想されるトラブルとしては、東京~佐倉間で並行していて座席指定券、座席未指定券を利用している成田エクスプレスに乗車する際に、自由席券を使ってしまい不正乗車となってしまうケースが挙げられます(逆に座席未指定券を利用して、自由席を利用することは不正乗車とはなりません)。

(2)車両が混在している

 これは前項と重なる点があるのですが、さざなみ号、わかしお号は255系とE257系500番台を混在させています。現在ほとんどの車両がE257系500番台に置き換えられていますが、一部運用のみ、まだ255系を利用しています。車両が違うことの弊害についてですが、座席の配置が違うことで、利用者に混乱を生んでしまう恐れがあります。また、両数も255系は9両でE257系500番台は5両と違うので、システムも複雑化されてしまいます。5両しかないE257系500番台では繁忙期など、需要が高い時期には対応できないのではないかと思った方もいるかもしれませんが、E257系500番台は増結ができ、10両編成化など柔軟な対応が可能なので、2つの形式を混在させる必要はないと感じます。

(3)さざなみ号の利便性悪化について

①自家用車・高速バスの台頭

 東京湾アクアラインや館山自動車道ができたことで、東京湾を避けて進むさざなみ号よりも東京湾を突っ切ることができる自家用車・高速バスの方が早く房総に着くようになっていきました。下の表をご覧ください。

 このように、さざなみ号は大きく車・高速バスに後れを取ってしまっています。

②京葉線経由の弊害

 これに関しては、わかしお号も同じですが、さざなみ号は以前は、総武線の線路を通っていました。しかし、成田エクスプレスの増便により、総武線から京葉線経由になってしまいました。ここでの問題点として、京葉線は他の路線よりもホームが遠いので、東京駅での乗り換えが不便なことや、京葉線は蘇我駅経由のため、県庁所在地の千葉駅を経由することができず、需要を得にくくなってしまう等のデメリットが生じてしまっています。

各ホームからの所要時間 出典:乗換案内NEXT

③観光用としての利便性悪化

 さざなみ号は平日の朝夕の時間帯しか走っていません。その原因として、①でも上げた通り、さざなみ号は高速バス・自家用車と比べて、時間がかかってしまうことで需要が減ってしまったということが挙げられます。しかし、そのせいで休日にさざなみ号は走らなくなってしまい、ますます観光用としての利用がなくなってしまいました。その休日の需要は、現在では新宿さざなみ号で補っています。しかし、新宿さざなみ号も1往復(臨時でもう1往復走ることもあります)しかなく利便性は悪いです。それにより、さらに利用客が少なくなってしまう負のスパイラルに陥ってしまっています。

4.改善策

(1)(2)利用されている車両の老朽化、車両が混在していることの改善について

 この問題はどちらも同じ方法で解決できるので一まとめにしました。

この改善策として255系をE257系500番台に統一したうえで、E257系500番台も置き換えてしまうことです。

 現在、255系は2023年までに房総特急から退くとされています。そして、現在E257系500番台は余剰車が出ていて、E257系500番台で置き換えられることから、この置き換えが順調に進めば、(2)で述べた車両の混在という面は改善できそうです。しかし、問題点で挙げた、座席指定券、未指定券を導入する設備をE257系500番台に付けるとなると、多大なリニューアル費用が掛かってしまいます。

 先ほどの表で書いた通り、E257系500番台は、既に20年近く利用されていることから、リニューアルをしてまで、存続させる意義は少ないと思われるので、既にその設備が整っている既存の車両に一度で置き換えてしまったほうが、無駄も減るのでいいと思います。ここで新車を作ってしまうと、現在房総地方の特急に対する需要はそこまで大きくないことから赤字になってしまうおそれがあります。よって需要が高く新車に変えても元が取れるような路線で走行していて、さらに現在余剰車が出ているE259系で置き換えればいいと思います。またこの方法は、同じく老朽化が進んでいる高崎線系統の651系にも適用できると思いました。

特急あかぎ・スワローあかぎ・草津として使われている651系

(3)さざなみ号の利便性悪化の改善について

①自家用車・高速バスの台頭

 この問題についてですが、むりに対抗しないほうが良いと思います。あまり、速度をだすと、普通電車が追い抜かされてしまい、利便性が悪くなってしまいます。ですので、速度面で勝負するのではなく、鉄道ならではの渋滞しない、シートベルトに拘束されない等といった点を告知することや、問題点で挙げた乗り換えのしやすさを挙げていくほうが良いでしょう。

 また、JR東日本ではサンキュー♥ちばフリーパスという切符を発売しています。このフリー切符では、千葉県のほとんどのJR・私鉄の他に東京湾フェリーが利用でき、宿泊も考慮されているのか2日間の設定となっていて、大人で3970円となっています。しかし、この切符は、11月中のみの設定となっています(その後、1/4~2/28の発売が決まりましたが、新型コロナウイルスの影響によって1/15より発売を停止しています)。千葉県内の鉄道での旅行を推奨するものなのに、このような設定では、非常にもったいないと思うので、同じJR東日本の有名なフリー切符である、休日お出かけパスや、週末パスのように土・祝日限定等といった観光促進に繋がるような設定をすると良いと思います。

②京葉線経由の弊害の改善について

 この問題は、昔のように総武線快速経由にすれば良いと思います。総武線快速のホームも若干遠いですが、地下深くにある京葉線ホームよりは適切でしょう。でも、そんなことができるのだろうかと考えた方もいるでしょう。実際できるのか、ダイヤを組んでみました。

現行のダイヤ(かなり省略しています)(さざなみ3号までしか書いていません)

列車凡例:快速…総武線内快速、内房線内は巌根駅のみ通過

普通:内房線内各駅停車 特急:さざなみ号、成田エクスプレス

 これは、現行の総武線快速と内房線のダイヤです。このダイヤは一部しか書いていませんが、下りのさざなみ号は全部このようなダイヤなので問題はないです。そして、見ての通り京葉線経由なので、内房線内は蘇我駅以南の運用となっています。それでは、改良後のダイヤを見てみましょう。

改善後のダイヤ

 このダイヤでは、東京駅始発にした上で、錦糸町駅、千葉駅に停車したダイヤです。この2つの駅は、それぞれ乗車客数が70000人を超えており、需要が多くなると考えました。

 時間は、同じく総武本線を走っているしおさい号に基づいて作りました。また、2本前の快速に千葉駅で接続できるようにしました。

 このようにすることで、総武線快速経由での運行を可能にしました。

③観光用としての利便性悪化の改善について

 これに対しての対処法ですが、平日には特に新しく特急を増やす必要はないと思います。理由として、平日に観光をするような人が少ないということが挙げられます。もともと通勤用は朝夕用にあるので、問題はないと思います。観光用に適切とされる休日には、既存の新宿さざなみ号を増便させればいいと思います。今、実質的な定期運用(土・祝日のみ)となっている新宿さざなみ1,4号のほかに臨時で走っている新宿さざなみ2,3号も定期運用(名目的には臨時運行です)にするとよいと思います。

新宿さざなみ号の時刻表

5.まとめ

・255系はかなり古い車両で、輸送効率もあまり良くないので、早急にE257系に置き換えるべき。

・E257系500番台には座席指定券、未指定券が設定できる設備が無いので、いずれ他の路線の車両から、一度に置き換えるべき。

・自動車の台頭に関しては、電車ならではのメリットを伝えていくほか、フリー切符が利用できることを強調すると良い。そのため、今発売されている「サンキュー♥ちばフリーパス」の有効期限を土・祝日に増やすとよい。

・さざなみ号(わかしお号)は京葉線ではなく総武線快速経由にすると良い。

・新宿さざなみを土・祝日では2往復運行させる

6.おわりに

 いかがだったでしょうか。字が多くて非常に読みづらい研究であったかと思います。すみません。次回からはもっと写真や表を増やしていきたいです。房総地方の特急は今苦しい状況に置かれていると思います。ですが、いつか昔のような繁栄した特急に戻ってほしいと思います。それでは...

最後までご覧いただきありがとうございました!

7.参考文献

JR東日本      ・https://www.jreast.co.jp/

ジョルダン      ・https://www.jorudan.co.jp/

東洋経済オンライン  ・https://toyokeizai.net/

乗換案内NEXT   ・https://mb.jorudan.co.jp/os/norikae.cgi


おことわり:Web公開のため一部表現を変更させていただきました。掲載されている情報は研究公開当時のものです。現在とは若干異なる場合があります。

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