京急新子安駅の危険性について

1. はじめに

 皆さんこんにちは。高校一年の○○です。今回は、我らが浅野の最寄り駅、京急新子安駅のホームの狭さによって生じる危険性について研究していきたいと思います。最後までお読みいただければ幸いです。(今回の研究では危険性の解消の話のみを行うため、費用対効果などについては考えないものとします。)

2.実体験で感じた京急新子安駅の危険性

 私が在学している浅野高校へは多くの生徒が鉄道を利用して登校しています。浅野高校の最寄り駅は、京浜東北線の新子安駅、京急線の京急新子安駅となっています。そのうちの私が利用している京急新子安駅のホームは非常に狭くなっていて、非常に危険です。

 その京急新子安駅で感じた危険な出来事について例を挙げていきたいと思います。

京急新子安駅のホーム(撮影日:2021/11/6)

①混雑時に押し出される危険性

 ホームが狭いことで、ホーム上で待っていられる人数が非常に少なくなってしまいます。ラッシュ時や、および近くにあるJR新子安駅に停車をする京浜東北線などの横浜を通るJRの路線の振替輸送を委託された際には、おびただしい数のJR線利用者が流れ込み、大変な混雑になります。特にラッシュ時は多くの人が急いでいる時間のため、電車へは人を外から押し込んで無理やり乗車する様子が見受けられます。そのような状況に陥るほどの混雑度のとき、ホームに立つ人数も多く、押されたら線路上に落ちてしまうこともあるのではないかと思うほどです。

②通過列車が近いことで生じる強い風圧

 京急新子安駅では、ホームの幅が一番狭い場所は幅が2mも無い場所があるなど、全体的にホームが狭くなっています。また、京急新子安駅を通過する快特、特急列車は場合にもよりますが時速100kmほどで通過していくこともあります。そのため、電車通過時の風圧がとても強いです。その風圧により、勉強中の学生のプリントが風によって飛ばされている様子を見たことがあります。

3.ホームが狭いことの利点と欠点

 上記のような危険やリスクを感じる経験があったのにもかかわらず、なぜホームはあれだけ狭いままなのか、それには欠点を上回るほどの理由があるのではないかと思ったため、自分が思いつく限りの範囲で利点と欠点について挙げ、利点が欠点を上回るのかどうか考えてみたいと思います。

①利点

 ホームが狭いことの利点は、用地が小さくて済むということです。利用人数の比較的少ない駅に関しては、あまり多くの人数が同時にホーム上で待機することがないため、ホームを狭くしてもいいと思います。

 また、新たに駅を建設するということになった時、駅建設予定地を確保する際に立ち退き用の費用が多くかかってしまいます。しかし、できるだけ駅舎建設に必要な用地を狭めることで、立ち退きを要請する建物の数が減るという利点があります。

 さらには、ホームが小さくなることで相対的に駅全体のサイズも小さくなり、駅全体の管理費、維持費が減少することもあります。

②欠点

 一つ目は、2.の①で述べたように、危険であるということです。もちろん、人がホームに落下することで、人命に影響を及ぼしたり、ダイヤの遅延につながったりすることがあれば、ほぼ鉄道会社が責任をとることになってしまいます。そのため、利用客にとっても、鉄道会社にとっても、ホームが狭いことは非常に危険なものになってしまいます。

 二つ目は、落とし物によって生じるリスクについてです。ホームが狭いと、線路上に物を落としてしまう可能性が増加します。ホーム上に落としたものが転がって線路上に落ちてしまった場合、駅員に要請をすれば、マジックハンドで拾ってもらうことはできますが、手間がかかります。また、近年増加しているワイヤレスイヤホンの落とし物は小さく、マジックハンドではとりにくいので、さらに多くの手間がかかってしまいます。しかし最近になって、線路上に落とした落し物を磁力によって吸着し、拾い上げるといった新しいマジックハンドの導入もされています。それでもなお、線路上の落し物回収には手間がかかり、運行の妨げになってしまう可能性もあるため、狭いホームの駅に比べ、広いホームの駅のほうがこの点においては優れているといえるでしょう。

4. ホームの狭さや、それに伴う危険性の解消方法

 3.ホームが狭いことの利点と欠点において述べた欠点と利点を比較した場合、欠点のほうが利点よりも大きいと感じました。そのため、以下の記述においては、欠点を解消するための手段について考えていきたいと思います。

①ホーム拡張工事

 ホームの狭さ解消法としてまず一つ挙げられるのは、ホーム拡張工事です。ホーム拡張工事を行う際、基本的に余剰スペースとなっている用地があることが大前提となり、下記の図『2021年10月22日~10月25日に実施された山手線渋谷駅ホーム拡幅工事』のように線路の位置をずらすなどして余剰スペースを拡張用に使います。しかし、京急新子安駅は相対式ホームなのですが、相対式でもしやすいようなホーム拡張工事をするスペースを確保しにくくなっています。また、周囲には住宅や寺(墓地あり)があり、それらが密集しているため幅が広い車道はなく,重機の頻繁な出入りも厳しくなっています。また、外側に拡張するスペースも確保できないほど狭くなっているため、ホーム拡張という案はあまり現実的ではありません。

2021年10月22日~10月25日に実施された山手線渋谷駅ホーム拡幅工事

(将来的には両ホームを島式一本に統一する予定)

拡張工事不可能な京急新子安駅

②瞬間的にホームに滞在する客数を減らす

 京急新子安駅において、ホームの狭さの危険性が身に沁みて感じられる瞬間は、ラッシュ時、または他の路線からの振替輸送を行っているときの混雑時です。そのため、瞬間的にホームに滞在する人数を減らすべきなのではないかという考えに至りました。しかしながら、この問題点について解決するにあたって考え付いた方策は、

・列車本数を増やす

・八両編成も停車できるようにすることでエアポート急行も停車できるようにする

といった方策が思いつきましたが、列車本数を増やすにしても需要が低く、また、八両編成などを停車できるようにするには、拡張用の用地がありません。そのため、これらの案は現実的ではないと思われます。

③ホームドア設置

 ホーム上の危険度を減らすために最初に思いつく施策は、ホームドア設置であると思います。 近年、駅のホームからの飛び込み事故が起こるたびに、「ホームドアの設置が遅れている」というような指摘を受けている様子が多くみられます。しかしホームドアを設置することによってすべて危険性が取り除かれるというわけでもなく、ホームドアと列車の隙間に巻き込まれる事故が京浜急行線上大岡駅で生じることがありました。けれども、ホームドア設置によってホームへの飛び込みもしくは落下などの人身事故を多く防ぐことができ、多くの場所でホームドア設置が進んでいます。

京急蒲田駅ホームドア 京浜急行HPから引用

 上の写真のように、ホームドアは黄色い線よりも線路側に設置されるため、現状のホームの狭さに大きな影響を及ぼすほどの幅をとるということはなさそうです。

 また、ホームドア設置の際には、ホームドアの重量を支えるためにホームの補強工事を必要とすることが多いですが、ホーム補強工事に関してはあまり大規模にならないため、心配する必要はないようです。

 しかし、ホームドアを設置した場合、ある程度の幅を占有してしまいます。その結果、ホームを利用する際に、車いすが通りにくかったり、一度に通れる人数が少なかったりといった不便な点が発生する可能性もあります。そのため、もしホームドアの設置を計画するとなった場合、車いすなどが通れるのかどうかを精査する必要があります。そのため、もしかするとホームドアすらも設置できない可能性があります。

5. まとめ

 今回の研究を通して出た結論は以下の通りです。


・京急新子安駅において、現状ではホーム拡張工事はほぼ不可能で、ホーム拡張という面での問題解決は困難であるということ

・列車のキャパシティを大きくすることは、京急新子安駅の危険性解消のためだけでは非現実的だということ

・設置した場合のホームの幅が、狭すぎないようにホームドアを設置することが現実的かつ容易であるということ


6. おわりに

 読んでいただきありがとうございます。今回の研究は自分にとっては三作目になりました。しかし、研究を行うターゲットを絞りすぎたせいか、これ以上に話題を展開することが困難になり、字数が二作目に比べて二分の一強となってしまいました。けれども今回は、自分では初めてのちょっとした図形をインターネットのサイトを参考に作成したり、実際の様子を自らの足を運んで写真を撮りに行ったりしてみました。今回に限らず、次回以降もこうした図や写真を使っての説明をし、今回以上に内容の詰まった研究が書けるように精進していきたいと思っています。ありがとうございました。

7. 参考文献

・京浜急行HP

https://www.keikyu.co.jp/

・JR東日本HP

https://www.jreast.co.jp/

・東洋経済オンライン

https://toyokeizai.net/

・国土交通省

https://www.mlit.go.jp/


おことわり:Web公開のため一部表現を変更させていただきました。掲載されている情報は研究公開当時のものです。現在とは若干異なる場合があります。

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