JR横浜線の快速運転について

1.はじめに

 みなさん、こんにちは。中学2年の〇〇です。私にとっては初めての文化祭号となりますので、ベストを尽くして書いていこうと思います。

 さて、今回の研究ではJR横浜線(以下横浜線)について書いていこうと思います。2回目となるこの研究は、まだまだ拙い文章ですが、最後までお読みいただけたらと思います。


2.概要

図1 横浜線の路線図(横浜駅~大船駅間は割愛)


 横浜線は、東日本旅客鉄道(通称JR東日本)の路線で、京浜東北線と接続する東神奈川駅から中央線、八高線と接続する八王子駅を結んでいます。路線ナンバリングはJHで、運行車両のカラーは黄緑と緑となっています。八王子駅方面下りの一部の列車は終点の八王子駅だけでなく、橋本駅、町田駅、などといった途中の駅が行先となる場合もありますが、基本的には八王子駅行きか橋本駅行きとなっています。一方、東神奈川駅方面上りの列車は横浜線内最後の駅となる東神奈川駅を終着駅とする場合と、一部の列車は京浜東北・根岸線に直通して東神奈川駅から先の桜木町駅、磯子駅、大船駅を終着駅とする場合があります。また、乗換駅も多くあり、多くの主要路線と接続しています。平日の昼時間帯と土曜・休日の朝昼時間帯には快速が運行されており、それ以外はすべて各駅停車となっています。

写真1 横浜線内を走るE233系快速


3.快速運転について

 先ほど述べたとおり、横浜線では快速運転が行われています。しかし私は、これについていくつか問題があると考えます。私が考える問題点は以下のものです。

(1)快速の需要が少ない

 まず、八王子駅~桜木町駅間の周囲の路線状況を見ていきます。これを見ると、いくつかの駅でほかの路線と乗り換えができています。表1を見ると、横浜駅に乗り入れている割には長距離にわたって競合している路線がなく、わずかに新横浜駅~横浜駅で東急東横線・横浜市営地下鉄ブルーラインと競合しているのみとなります。

表1 横浜線及び根岸線内の乗換駅と乗換先

 なお、表1において、東神奈川駅では京浜東北線と乗り換えとしていますが、実際は同じホームで接続しています。


 また、快速の需要が少ない理由は、横浜線の路線の位置も関係しているといえます。

 図2を見ていただくと分かるように、小田急線や京王線、京浜東北線、東急田園都市線といった路線は、東京駅、渋谷駅、新宿駅などといった東京都心の駅まで接続しています。これらは、住宅地が立地する郊外から都心へ繋がる路線であり、多方面から多くの路線が存在しています。そのため、周囲に競合路線が多く、優等種別の設置や料金を下げるなどといった、利用客を獲得するための策が必要となります。しかし、横浜線は東京都心方面への路線ではなく横浜方面の環状路線であるため、競合する路線が少なくなります。このような特徴を持つ横浜線では、速達性に関してはあまり気にする必要はないことになります。

表2 新横浜駅~横浜駅間の各路線の所要時間と運賃(乗換時間は考慮していない)


 先ほどあげた新横浜駅~横浜駅間の競合路線と比べると、東神奈川を経由している分所要時間では劣るものの、所要運賃では最も安くなっており、またこの表にない乗換時間を含むと、場合によっては直通している横浜線快速は、菊名駅で乗り換えが必要となる東急東横線より速達性も増すうえ、町田駅や中山駅から横浜駅を利用する場合は乗換が必要でかつその所要時間が長い横浜市営地下鉄よりも速くなることも考えられます。

 しかし、それを考えると、快速は大口駅しか通過せず、そのほかに違いのない各駅停車と2分しか変わらなくなっています。

表3 横浜線と周辺路線の速達列車の停車率の比較

(2)停車駅

 停車駅に関しても問題があります。図1を見ていただくと、横浜線の快速停車駅は比較的多く、停車駅が連続してある場合もあります。また、表3も見ていただくと、周辺路線に比べて総停車駅数に対する快速停車駅数の割合が圧倒的に多くなっています。このことから、周辺路線の速達列車に比べて速達性に欠けているといえます。

(3)運行時間帯

 そもそも速達列車というのは、速達性を求める利用客のニーズがあるからこそ運行されるものです。ゆえに、優等種別のある路線のほとんどが朝夕、特に朝のラッシュ時間帯において速達列車を運行しています。しかし、ラッシュ時間帯には横浜線に速達種別はありません。京浜東北線にもラッシュ時間帯の速達列車はありませんが、それは東海道線が快速の役割を果たしているからであり、決して速達性がないわけではありません。一方で、横浜線には併走路線がないため、ラッシュ時間帯には速達路線はありません。そのため、ラッシュ時間帯には速達列車は完全に存在していません。ただ、横浜線は乗換駅が多いものの通勤・通学でそれ以外の駅を目指す利用客も多いため、ラッシュ時間帯に優等種別は運行する必要はないと考えることもできます。

 以上のように、横浜線の快速運転にはいくつか欠点があり、需要があるか怪しいところとなっています。そのため、存続するかどうかも含めて、現在の運行状況を見直す必要があるのではないでしょうか。


4.変更案

 これまで取り上げてきた快速運転の問題点を踏まえ、変更案をいくつか挙げ、その中で実現する可能性が高いものはどれか検討していきます。

(1)停車駅の変更

 これは題名の通り、停車駅を増やす・減らすといった変更をすることです。

表5 2021年度における横浜線内の乗降者数が多い駅ランキング上位10位

 表5を見ていただくとわかるように、相模原駅以北を除くすべての快速停車駅が10位以内に入っていることが読み取れます。また、菊名駅と中山駅の乗降客数の差が開いています。このことを踏まえ、停車駅の変更を考えていきましょう。

(i)停車駅を増やす

この場合は、乗降客数が快速通過駅の中で最も多い淵野辺駅を入れるのがふさわしいでしょう。これ以上増やすのであれば、快速の廃止が考えられますが、これは別途考えていきます。淵野辺駅に停車することによって、所要時間は長くなりますが、多くの人を運ぶことができるようになります。しかし、それによって快速に利用客が集中してしまう可能性もあります。しかし、現状ラッシュ時間帯に快速運転は行われていないため、駆け込み乗車などといった遅延の要因を作ることはあまりないと思われます。各駅停車との接続でも、八王子駅から東神奈川駅の間に接続するものは最大2回であるため、ダイヤ改正は簡単にできると思います。

(ii)停車駅を減らす

 これは、かつて横浜線内で運行された特急「はまかいじ」を快速に置き換えるもので、主に停車パターンは2つあると思われます。

<A>「はまかいじ」と同じ停車駅にする


図3 <A>

 これは、かつての「はまかいじ」と同じ停車駅にするもので、速達性に優れています。

 「はまかいじ」は運行を終了しましたが、これは京浜東北線内の横浜駅に設置されたホームドアによるものだったため、通勤型電車であり、横浜線で使用されているE233系を利用すればホームドアにも対応しているため問題はないと思います。ただ、これのみでは需要が見込みづらいため、何らかのPRが必要となります。

 しかし、ここまで速くなると、特急列車として特別料金のかかる列車として設定することも考えられるでしょう。この際は、休日における特急利用客の行先である山梨県・東京都西部または帰省と快速利用客の行先である横浜方面の観光・ショッピングという棲み分けができるため、快速はほかのケースに変更してよいと思います。

 ただ、JRとしては、ホームドアに対応している8両以下の特急を使用することが必要となってきます。これには新型特急用車両のE257系を一部のドアのみ使用という形で使用するか、新たに横浜線用の特急を新造することになりえますが、E257系では非効率であり、新型車であれば新車導入の費用がかかるうえ需要が見込めるとは限らないため、特別料金のかかる列車として運用するのは厳しいと思います。そのため、快速として運行することにはなるのではないでしょうか。

写真3 かつて「はまかいじ」に使用された185系

<B>乗降客数の多い駅を停車駅とする


図4 <B>

 こちらは、<A>より停車駅が増し、多くの駅から乗車ができるもので、<A>に比べ各駅停車との停車駅の差がないため夏休みやゴールデンウィークといった大型休みにおいてもあまり集中乗車が起きないでしょう。また、利用客の多い駅が停車駅となっているため、需要も高くなるのではないでしょうか。快速として速達性も上がり、十分に有効な改善方法となります。しかし、八王子駅~町田駅間で追い越すことが可能な駅が橋本駅だけであるうえに、橋本駅も上り線は追い越すことができないため接続できず、後続列車に接続する都合上横浜線の本数が減少してしまいます。そのため、この<B>に変更することは厳しいものと考えられます。

 ここまで、変更する場合の候補として停車駅の増加をあげましたが、現在快速が停車している八王子駅~橋本駅の区間を通過しているため、接続する各駅停車との時間調整は困難なのではないでしょうか。

(2)快速の廃止

 速達性に欠け、ラッシュ時間帯に運行されていない快速を廃止することも考えられます。こうした場合、すべて各駅停車となり、現在よりもダイヤは単純になりますが、八王子駅から東神奈川駅まで行くとき、所要時間がかなりかかってしまうため、ラッシュ時間帯にないとはいえ、土日の需要はいまだあるため、単純に廃止することは厳しいと思います。

(3)現状の一部改善

 これは、停車駅や種別に変更を設けず、できるだけ速達性を上げるものです。現状改善できる点として挙げられるのは、快速の運行時間を変更することが挙げられます。現在、平日の昼時間帯の快速はさほど混雑していないものの、休日時間帯では比較的混雑しているため、休日ダイヤでのみ快速を運行することも考えられるでしょう。

これらの変更は今まで上げたものに比べ変更が容易でコストもかからないため、最善の方法なのではないでしょうか。


5.まとめ

 結果として、現状から大きく変えることは難しく、停車駅・種別に関しても現状のままでいいと思います。ただ、なるべく速達性を上げるために、JRとしてみたら(3)で挙げたような改善は必要になってくると思います。せめてこれくらいの変更はおこなわないと、快速として存在意義が非常に薄れてしまうことになります。

 また、(ⅰ)のように、速達性には欠けるものの、淵野辺駅に停車し、各駅停車との差をつけないことで分割することも考えられます。より多くの人が利用できるようになるため、需要は十分にあると思います。


6.終わりに

 いかがだったでしょうか。まとめる力に欠け、かなりだらだらとした研究になってしまいましたが、これからもより良い研究をかけるよう、精進してまいります。

 お読みいただきありがとうございました!


7.参考文献

・JR東日本HP https://www.jreast.co.jp/

・路線配図 https://www.haisenryakuzu.net/


おことわり:Web公開のため一部表現を変更させていただきました。掲載されている情報は研究公開当時のものです。現在とは若干異なる場合があります。

浅野学園鉃道研究部 『停車場』アーカイブ

浅野学園の鉃道研究部が発行する部誌『停車場』のアーカイブサイトです。過去に発行された『停車場』を自由に閲覧することが出来ます。

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