1.はじめに
みなさんこんにちは。中学2年の〇〇です。文化祭号としては初めての執筆となります。今回は、新型車両の導入や延伸計画で話題となっている横浜市営地下鉄ブルーラインについて書いていこうと思います。どうぞよろしくお願いします。
2.横浜市営地下鉄の紹介
(1)基本情報
横浜市営地下鉄ブルーラインは、藤沢市の「湘南台駅」から横浜市青葉区の「あざみ野駅」までの32駅、約40.4kmを結びます。そのうち5駅間は地上を走ります。普通と快速の2種類の種別があり、全線走破には普通だと約68分、快速だと約60分かかります。途中駅には、京急線との乗換駅である「上大岡駅」、ターミナル駅の「横浜駅」、東海道新幹線の停車駅である「新横浜駅」などがあります。
(2)路線図
横浜市営地下鉄の路線図
(3)車両紹介
ブルーラインでは、現在6種類の車両が営業運転しています。過去には、1000形車両や2000形車両も運行されていました。
3000A形車両(3000形1次車)
3000N形車両(3000形2次車)
3000R形車両(3000形3次車)
3000S形車両(3000形4次車)
3000V形車両(3000形5次車)
4000形車両
ブルーラインには、令和4年5月2日から新型車両として4000系が導入されています。『海辺の先進的な都会感』をコンセプトとした車両で、バリアフリー機能の向上や座席幅の拡大、防犯カメラの設置などを行いました。令和5年度までに3000A形車両に代わる全8編成が導入される予定です。以下は4000形の内装などの写真です。
内装
車いす・ベビーカー
優先スペース(1号車)
防犯カメラと
デジタルサイネージ
(4)これまでの歩み
横浜市営地下鉄の歴史について紹介します。日本で最初の鉄道が開業してから100年目の年である1972年の12月16日、横浜市営地下鉄ブルーラインが伊勢佐木長者町駅~上大岡駅間で開業しました。同年まで走っていた横浜市営電車(横浜市電)の後継ぎとしての開業でした。その後、横浜駅、上永谷駅、新横浜駅、舞岡駅、戸塚駅、あざみ野駅、湘南台駅と延伸されていきました。2008年にはグリーンラインが中山駅~日吉駅間で開業し、「ブルーライン」・「グリーンライン」という名称も使われ始めました。2015年には、ブルーラインが快速運転を開始しました。そして2021年4月1日、横浜市営交通は100周年を迎えました。
3.延伸計画について
(1)概要
それでは、2030年(令和12年)開業予定の、あざみ野駅~新百合ヶ丘駅間延伸計画について紹介していきたいと思います。延伸区間は、横浜市青葉区の「あざみ野駅」から川崎市麻生区「新百合ヶ丘駅」の約6.5kmです。新駅は4駅設置する予定(※あざみ野駅を除く)で、事業費は約1,720億円です。
『横浜市高速鉄道3号線の延伸(あざみ野~新百合ヶ丘) 概略ルート・駅位置について』より
(2)ルート紹介
それでは、延伸区間について詳しく見ていきます。今回は、上記の図より、
の4つにわけて紹介します。
①あざみ野駅~嶮山付近
並木道にさまざまな店が立地しています。ファミレスやペットショップもあり、バスの通りが多いです。また、嶮山付近には大規模なあざみ野団地が広がっており、その周りには公園や学校が点在していて、子育て世代が住みやすい街づくりがされています。実際に、あざみ野団地の位置するあざみ野3丁目、4丁目は、年少人口が約1,200人、生産人口が約5,800人、老年人口が約2,500人で、老年人口が全体に対して約26%と低くなっています。
②嶮山付近~すすき野付近
あざみ野団地を通り過ぎると、あざみ野ガーデンズという、多くのショップやレストラン、ゴルフやテニスといったスポーツも楽しめる複合施設があり、多くの人が買い物や運動を楽しめる場所となっています。
③すすき野付近~ヨネッティー王禅寺付近
公園を含んだすすき野団地が広がっており、そこを抜けると、並木道の両側に一軒家が多く立地しています。あざみ野駅から徒歩で約40分かかり、バス移動か車移動が基本で、比較的お年寄り世代の居住が多いと考えられます。特に、すすき野周辺は、老年人口が全体に対して約36%と多くなっています。
④ヨネッティー王禅寺付近~新百合ヶ丘駅南口付近
ヨネッティー王禅寺の付近から川崎市麻生区に入ります。ヨネッティー王禅寺とは、プールやジム、シニア用休養施設を備えた複合スポーツセンターで、子どもからシニアまで幅広い客層での利用が考えられます。また、その周辺から尻手黒川道路と合流していて、ガソリンスタンドや防音壁が見られることから車通りの多さが窺えます。道路沿いにはスーパーマーケットや飲食店もあり、一歩抜け道を入ると住宅街が広がっています。
まとめると、嶮山付近ではあざみ野団地から子育て世代の客が、すすき野付近ではすすき野団地や閑静な住宅街からのお年寄り世代の客が、ヨネッティー王禅寺付近では幅広い世代での利用が考えられます。平日は団地周辺を中心に、休日はヨネッティー王禅寺付近での利用も考えられます。
4.効果
今回の延伸計画にはいくつかメリットがあります。まずは、時間の短縮です。新百合ヶ丘駅からあざみ野駅まで電車やバスを乗り継いで行こうとすると、以下のようになります。
※横浜市営地下鉄ブルーラインは、3kmまで210円、7kmまでは250円となっています。延伸区間は6.5kmなので、250円です。
この表からわかるように、新百合ヶ丘駅からあざみ野駅に行く場合、従来だと30分程度かかってしまい、新百合ヶ丘周辺から横浜方面へ行くのには時間がかかります。一方、今回の延伸計画ではわずか10分で結び、時間的にも金銭的にもとても便利になります。便利になるだけでなく、災害時などの代替路線としても役割を果たすでしょう。
また、新百合ヶ丘駅は、1日の平均乗降客数が128,155人(2019年度)で、小田急線の中では8番目の多さです。そのため、横浜方面への利用も一定数見込めます。ちなみに、あざみ野駅は、横浜市営地下鉄ブルーラインが80,055人/日(2019年度)、東急田園都市線が136,108人/日(2019年度)です。現在はコロナ禍ということもあり減少していますが、延伸開業が予定されている2030年には回復しているでしょう。
さらに、ブルーラインには東海道新幹線の停車駅である新横浜駅があるため、小田急線(特に新百合ヶ丘駅~新宿駅)からの新幹線へのアクセスが向上します。加えて、2023年3月には「相鉄東急直通線」の開業が予定されていますから、より新横浜駅の重要性は高まっていくでしょう。
5.課題
前述した通り利点は多数ありますが、一方で課題点もあります。それは、延伸区間を走っているバスとの競合です。現在、あざみ野駅から新百合ヶ丘駅までは東急バスと小田急バスの2本が走っています。以下の表で比較してみます。
*¹駅からバス停までの乗り換え時間を含みます。
*²あざみ野駅・新百合ヶ丘駅は除きます。
このように、ブルーラインは速達性に優れています。しかし、東急・小田急バスの方は運賃が少し安く、停留所の数が多いので目的地により近いところまで乗車することができます。よって、延伸区間のみの移動だと、バスを利用する人が延伸後も一定数いると思われます。
6.改善策
延伸区間のみの移動でもより多くの客がブルーラインを利用してくれるようにはどのようにすべきでしょうか。
一つ目は、駅の設置場所についてです。地上に駅舎が無い分、駅やその出入口の設置場所はよく検討するべきだと考えます。例えば、スーパーマーケットや飲食店、複合施設などの近くに駅を設置することで、少しは利用客を増やすことができるのではないでしょうか。
二つ目は、運行時間についてです。地下鉄は地上での騒音問題が発生しにくいため、朝早くから夜遅くまで列車を運行することができます。したがって、バスが運行していない朝の5時から夜の0時や1時まで運行することによって、出勤の早い客やバスの終電を逃してしまった客を拾うことができます。
7.ダイヤ考察
そこで、現在のダイヤを参考にして、あざみ野~新百合ヶ丘間延伸後のダイヤを作成してみます。ここでは、湘南台駅を12時台に出発する列車を例にとります。
湘南台駅を12時台に出発する列車
湘南台駅を12時台に出発する列車が新百合ヶ丘駅で折り返す場合(薄字は快速列車)
※図中の「嶮山」、「すすき野」、「ヨネッティー王禅寺前」、「新百合ヶ丘」は仮名です。
※新羽駅折り返しの列車については参考程度にご覧ください。
現在のダイヤ(あざみ野駅折り返し)を参考に作成すると、新百合ヶ丘駅での折り返し時間が、4-5分となります。ですから、延伸開業する際には、行先変更や待ち合わせを考慮した大規模なダイヤ改正が必要であると考えます。
8.まとめ
今回の延伸計画に関する改善案をまとめると以下の通りになります。
9.終わりに
今回は横浜市営地下鉄ブルーラインの新百合ヶ丘駅~あざみ野駅間の延伸事業について研究しました。横浜市営地下鉄は、新型車両の導入、延伸事業、グリーンライン6両化など大きな進歩を遂げているのでまだまだ目が離せませんね。
私としましては、文化祭号初の執筆で、写真や図を多めに使いました。まだまだわからないことも多く、読みにくい文章だったとは思いますが、最後までお読みいただきありがとうございました。
10.参考文献
・横浜市 ホームページ
https://www.city.yokohama.lg.jp
・株式会社リアルプロ・ホールディングス ホームページ
https://www.realprohd.jp/
・東急電鉄 ホームページ
https://www.tokyu.co.jp/
・東急バス ホームページ
https://www.tokyubus.co.jp/
・小田急バス ホームページ
https://www.odakyubus.co.jp/
おことわり:Web公開のため一部表現を変更させていただきました。掲載されている情報は研究公開当時のものです。現在とは若干異なる場合があります。
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