1.はじめに
こんにちは、中2の**です。今回は2回目の研究を書かせていただきますが、前回の研究よりも進歩が見られればと思います。温かい目で見守っていただけると幸いです。今回は、2019年3月16日から東武東上線で運行を開始する、川越特急について考えていきたいと思います。
※執筆時は川越特急の運行が始まる前です
2.東武東上線の概要
東上線は池袋駅から川越駅、小川町駅を経由し、寄居駅までを結ぶ路線で現在、池袋駅から寄居駅までの直通電車はなく、小川町駅での乗り換えが必須となっています。また、東京メトロ副都心線、有楽町線、東急東横線、横浜高速鉄道みなとみらい線と直通運転をしています。
また、東上線は小川町、森林公園方面へのハイキング需要や、川越への観光需要を多く担っています。現在、快速急行が観光需要のある時間帯に運行されています。東急東横線との直通運転開始によって横浜方面から東上線沿線への需要も増えてきました。
上から Fライナー(東上線内急行)、川越特急、TJライナー、快速急行、快速、急行、準急、普通
3.川越特急の概要
川越特急は池袋駅―小川町駅を走行する、2019年3月16日の東武東上線のダイヤ改正で新しく作られる種別です。池袋駅―川越駅では途中武蔵野線と連絡する朝霞台駅のみに停車し、池袋駅から川越駅を26分で走破する速さをウリにしています。また、車両は普段TJライナーに使われ、ロングシートとクロスシートを切り替えられるデュアルシートを持つ50090型をクロスシートにして運用させていて快適性も重視していることが伺えます。
また川越特急は、指定券がいらず乗車券のみで乗車できるのも魅力の1つでしょう。平日は10時台から11時台に下り2本、上り3本で土休日は下り2本、上り4本が運行されると発表されています。
また、川越特急は東京メトロ副都心線、有楽町線との乗換駅の和光市駅を通過しますが、これに関しては元町・中華街駅から直通し、東上線内快速急行の森林公園行きの列車を3月16日のダイヤ改正で小川町行きに延長させることから問題ないでしょう。
川越特急やTJライナーに使用される50090型
実は東上線では川越特急のような種別としての特急はこれが初めてではなく、2008年まで運行されていましたが、当時のダイヤ改正によりTJライナーや快速急行に置き換わる形で廃止となりました。
4.対川越の競争
現在、川越に来る観光客数は増加傾向にあります。ただし、川越への高速バスは羽田空港や成田空港、東京ディズニーランド、他地方からのバスしかなく、東京や新宿からの高速バスは設定されていません。このような現在、川越への旅客輸送の多くを鉄道が担っています。
現在川越には3つの鉄道路線が乗り入れています。西武新宿線が本川越駅へ、JR川越線が川越駅へ、そして東武東上線が川越駅、川越市駅へ乗り入れています。新宿、池袋方面から川越のそれぞれの駅につく最速の時間、料金を表にまとめました。
表から見ると東武の川越特急がかなり速いことが伺えます。また、西武新宿線の特急「小江戸」は乗車券だけでなく特急券が別途必要になることから、乗車券のみで乗れる川越特急のほうが有利であると思われます。東武は川越特急に限らず、快速急行、快速、急行でも池袋駅―川越駅を30分程度で走破しています。クロスシートではなく快適性は川越特急に劣るものの速さ面では十分なためこれらの利用を推奨していけば対川越の輸送は東武が大きくアドバンテージを取れるでしょう。ただし、後にも触れますが川越特急は土休日でも下り2本と上り4本しかなく本数が少ないです。これに対し西武の特急「小江戸」は毎時1本あるので本数の点では劣っています。
*観光入込客数とは日常生活圏以外の場所へ行き、その場所での滞在が報酬を得ることを目的としない人の数のことです。
5.川越特急の不安な点
都心から川越方面への輸送においては川越特急を運行している東武がアドバンテージを取っていますが、不安な点もあります。それは混雑です。
川越特急は土休日でも下り2本と上り4本しかなく本数が少ないです。夕方の上りのTJライナーの送り込みは、あまり混雑しない夕方の上りの快速急行の運用なので、混雑は回避できそうです。ですが下りの快速急行はロングシート車で運行されているため、乗り心地のいいクロスシートの川越特急に人が集中する可能性があります。
また、川越特急は川越市駅止まりではなく小川町駅まで運行されています。小川町方面には川越への需要の他にも寄居や森林公園などへのハイキング需要があります。なので、川越への観光客と寄居方面のハイキング客のどちらの客も川越特急に集中し、混雑する可能性が高いです。また川越特急は小川町駅から運行されており、上りは川越市駅に着いた時点で席が埋まっている場合があります。実際、現在TJライナーの送り込みとして上りの快速急行や急行が土休日の夕方にクロスシートで運転されていますが川越市駅到着前に席が大方埋まっています。
6.解決策
では混雑に対してどのように対応すればよいのでしょうか。解決策をいくつか提示していきます。
①川越特急の増発
これは単純に川越特急を増発する案です。増発するのは朝の下りが妥当でしょう。現在、7.8.9時台に池袋駅00分発の快速急行が小川町駅まで運行されていますが、これはロングシートの通勤電車が使用され、50090型のクロスシートで運行されることはありません。朝、7.8時台に川越特急をそれぞれ増発するのが良いと思います。しかし、50090型が5編成しかないのでこれは難しいかもしれません。
②既存の編成にクロスシートを組み込む
これは東急のQ SEATやJRのグリーン車のような形です。既存の通勤車両にクロスシート車を1両ほど組み込むのが良いと思います。ただし、東上線の車両は快速急行と普通のどちらもこなす運用が多く、普通として運行する際、クロスシートがいらないという事態にもなります。また、50090型と同じデュアルシートを使用するにも導入コストが多くかかることから編成に組み込むには向いていません。よってこの案は現実的ではないと思います。
③既存の列車のアピール
これが一番現実的です。先ほども説明しましたが川越特急以外の快速急行、快速、急行も池袋駅と川越駅を30分程度で走破しています。これらでも西武やJRと対抗することができます。実際川越特急が走っていない執筆時点でも東武を利用する人が多いです。
このことから、快速急行などの利用を促し、客を分散させればよいと思います。促し方としては川越特急の宣伝と一緒に「快速急行、快速、急行もご利用ください」といったものを付け加えたり、放送などでも急行などの入線時、「この列車は川越駅まで先に参ります」などの放送を入れたりしていけばよいと思われます。この案は輸送量を増やすなどはしていませんが、客を分散させるという点で有効だと思われます。
①から③の案を見たとき、個人的に現時点で一番実現性があるのは③だと思います。そして整備などが進んでいけば①や②の実現も可能だと思います。
7.おわりに
自分はこういった種別が好きなのでこういう研究を書いていて非常に楽しかったです。川越へは何度か行ったことがありますが個人的に好きな場所なので観光客が増えてほしいです。最後にここまでお読み下った読者の方々に感謝を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました!
8.参考資料
・東上線に新種別「川越特急」が誕生します
http://www.tobu.co.jp/file/pdf/a22c9b7381aa0bcc3e364c1c4e71d8b3/190117_4.pdf
・3月16日(土)東武東上線でダイヤ改正を実施!
http://www.tobu.co.jp/file/pdf/8ec1b6cc91ef33effbea794955431a1f/190129_1.pdf?date=20190129171435
・川越市入込観光客数の推移
http://www.city.kawagoe.saitama.jp/welcome/kankobenrijoho/kankotokeishiryo/irikomi.files/30irekomi.pdf
おことわり:Web公開のため一部表現を変更させていただきました。掲載されている情報は研究公開当時のものです。現在とは若干異なる場合があります。
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