1.はじめに
こんにちは。高校二年に進級できまして、今回最後の研究ということで復帰しました**です。今回は筆者自身が萌えキャラやアニメの美少女キャラが好きなので、それに関連したこととして「鉄道むすめ」について書かせていただきます。筆者の性癖がかなり色濃く出ている内容となっておりますので、苦手な方は読み飛ばすことをお勧めします。
2.そもそも、鉄道むすめとは?
正式名称は「鉄道むすめ ~鉄道制服コレクション~」というもので、全国各地の鉄道会社や車両製作所の作業員、旅行会社のガイド等の制服を着ている美少女キャラクター達のことです。インターネット上では人気投票なども行われたことや、任天堂からゲームが発売されたことなどもあり、ご存知の方もいらっしゃることかと思います。このキャラクター達は、「着ている制服が可愛い!」という理由で女性からも人気を博しています。
また、キャラクターの名前はその各鉄道会社の駅名や列車名、沿線施設の名前が由来になっています。
3.鉄道むすめの歴史
ここで、鉄道むすめがどのようにして生まれて現在に至ったのかを紹介します。
元々、この鉄道むすめたちが生まれたのは鉄道会社ではなく、玩具メーカーであるタカラトミーの子会社にあたるトミーテックの商品として生まれました。(但し、商標は、当時トミーテックの親会社であったトミーが出願しています)
そして2005年(平成17年)11月に「コレクションフィギュアシリーズ」として発売されました。これこそが鉄道むすめ発祥の商品です。この商品は通常版とアニメイト限定版があり、どちらもかなり売れたようで、VOL.1からVOL.10まで生産されました。
そして最近では、鉄道むすめに関連した切符やグッズが各私鉄の売店や駅窓口などで販売されるようになりました。
4.各地で活躍する鉄道むすめ
鉄道むすめのキャラクターは日本の各地で、意外なところに存在しています。例えば浅野高校からほど近い横浜市を走る相模鉄道にも「星川みほし」がいます。苗字の由来は相鉄線の星川駅、名前は上星川(かみほしかわ)駅に由来します。
5.そもそも鉄道むすめに地域振興を期待する必要があるのか
ここで、本題に入る前に予め述べておきたいことがあるので、書かせて頂きます。正直申し上げると、この問いに関しては自信を持って肯定することはできません。というのも、もともと鉄道むすめは地域振興のために生まれたのではなく、先述の通りトミーテックの商品の一つとして生まれただけであり、それによって生まれた鉄道むすめに地域振興というものを担わせるのは、少し荷が重すぎるような気もします。
しかし、何事にも副産物は生まれるもので、多少なりとも地域振興、発展に彼女たちが役に立つ方法は必ずあると考えているので、今回はこの研究を書かせて頂くことにしました。
6.各地の鉄道むすめの背景
鉄道むすめは主に地方の鉄道に多くいます。もちろん、都心に近い鉄道会社にも彼女たちはいますが、かなりの割合でローカル線にいます。特に第3セクター路線に多いです。
例えば東北で言うと、阿武隈急行(丸森たかこ)、会津鉄道(大川まあや)(下記写真)、山形鉄道(鮎貝りんご)、仙台空港鉄道(杜みなせ)、青い森鉄道(八戸ときえ)、三陸鉄道(釜石まな、久慈ありす)がいます。
大川まあや
会津鉄道株式会社/アテンダント
・記憶力が抜群。沿線情報、乗り入れる他社鉄道の情報など、新しい情報は乗務員手帳に記録してどんな質問にも対応できる。
・湯野上温泉駅の足湯を紹介して仲良くなった、温泉が大好きな特急列車車掌の友人がいる。
・動物が大好きで、1番好きな動物はネコ。
2番目に好きな動物はウサギ。
※名前の由来は「大川ダム公園駅」と「あまや駅」から。
(鉄道むすめ公式HP キャラクター紹介より抜粋)
やはり、地方の鉄道の広告塔として、彼女たちは活躍しているようです。ちなみに、上記の説明にある「湯野上温泉駅の足湯を紹介して仲良くなった、温泉が大好きな特急列車車掌の友人」というのは、同じく鉄道むすめの「鬼怒川みやび」のことです。(鬼怒川みやびについては下記参照)
このように、キャラクター同士の関係があることもあり、掘り下げていくと結構面白いものがあります。しかし、それは面白いだけでなく、相互直通運転先の沿線の宣伝にも繋がります。
鬼怒川みやび
東武鉄道株式会社/特急スペーシア車掌
・子供の頃から温泉好きで、きれいな肌が自慢。
・温泉好きが高じて泉質を調べるのが趣味に。学生時代の得意科目は化学・物理。
・仲の良いスペーシア車内販売員の2人と、休日に東京スカイツリー周辺で買い物や、鬼怒川温泉へ旅行を楽しむことも。
※東武鉄道の特急乗務車掌。
※名前の由来は「鬼怒川温泉駅」と、「特急スペーシア雅」から。
(鉄道むすめ公式HP キャラクター紹介より抜粋)
(「仲の良いスペーシア車内販売員の2人」とは、「栗橋あかな」と「春日部しあ」です)
このように、地方の駅や公共施設などで広告塔の役割を果たしています。また、上記の「鬼怒川みやび」がいる東武鬼怒川線の鬼怒川温泉駅の窓口には(写真1)のようなグッズコーナーがあります。このように、彼女たちは経済を回しているのです。
(写真1)
7.鉄道むすめの今後
現在、日本各地にいる鉄道むすめですが、今後もこの人気が続くとは限りませんし、いつまでも彼女たちに頼り続けるわけにもいきません。
このようにアニメや会社のキャラなどで顧客を呼び込もうとするとよくあることですが、その人気が衰えた時の反動がとてつもないことになる可能性があります。このようなアニメなどを利用して地域復興を図る動きは最近に始まったことであるので、まだ前例が生まれるほどの期間も過ぎていないため何とも言えませんが、この可能性があることは念頭に置く必要があります。
とはいっても、現在「あつめて! 全国“鉄道むすめ”巡り」というスタンプラリーが行われていたり(2020年5月31日まで)グッズもまだ新作が発表され続けていたりするという点で、まだそこまで深刻に考える必要はなさそうです。しかし安心してはいられません。彼女たちの人気がある間は、地方の魅力を彼女たちを通じて発信していくことが、彼女たちの「鉄道むすめ」としての存在意義であり、彼女たちの役目でもあります。
たとえ「鉄道むすめ」というコンテンツが廃れても、鉄道会社に残すものがあれば、彼女たちは役目を果たすことができるのです。
8.鉄道むすめが廃れる前に鉄道会社がすべきこと
鉄道むすめに彼女たちの役目を果たすのを助けるために鉄道会社がすべきこと、それは簡潔に言えば「地方鉄道と沿線の魅力を彼女たちを通じて全力で推す」ことです。この鉄道むすめの活動が今後の鉄道会社の命運を左右することもあり得ます。
先述にもありますが、現在行われているようなスタンプラリーで遠方から来訪した方に、その地域の魅力を感じてもらい、リピーターになって頂く必要があります。たとえ観光客を集めることができても、それが一度きりでは効果が薄れてしまいます。
アニメやドラマ、ゲームなどには、モデルとなった場所、いわゆる「聖地」をめぐる「聖地巡礼」がありますが、鉄道むすめの場合、それが沿線地域一帯になります。筆者自身がアニメが好きだということもあり、聖地巡礼に行くこともありますが、大体同じ場所を何回も期間を空けて訪れます。おそらくこれは筆者に限ったことではないでしょう。つまり、この「聖地巡礼」はリピーターを生み、沿線振興に貢献できる可能性があります。このことを利用して、鉄道むすめの人気が衰える前に、できるだけ早く、地域を振興させることが不可欠になります。
しかし、これでは鉄道むすめの人気が衰えると観光客が減少する恐れがあります。そのことを防ぐために、先述の「沿線の魅力を彼女たちを通じて全力で推す」ことが必要になるのです。その沿線地域の魅力を感じていただけるようになれば、またその魅力に惹かれて来訪する方も増加し、そのための交通手段として鉄道会社にも収益を見込めるということです。
9.鉄道むすめを上手く活用できていない鉄道会社について
正直このような鉄道会社は数多くあるように感じます。たとえば群馬県の上毛電鉄には「北原ゆうき」(写真2)というキャラがいますが、正直筆者も現地でこのキャラクターの存在を初めて知りました。
ちなみに、このポスターは中央前橋駅の駅係員の出入口の扉に貼られていました。このポスターを見ても分かる通り、このキャラクターは上毛電鉄の魅力を伝えようとはしていますが、全く沿線についての言及をしていません。これでは「上毛電鉄ってどこ?」という程度の認識しかされないままです。
(写真2)
このように、どうしようもないほど活用されていない事例もあるという一例で上毛電鉄を紹介させていただきましたが、他にも挙げたらキリがないように思われます。
10.一種の「諦め」にどう立ち向かうか
筆者が旅行などで地方に行くと、寂れてしまった商店や鉄道の駅などをよく見かけます。過疎化が進み過ぎた村などでは、「もうこの村に未来はない」というような一種の「諦め」とも取れるような状態に陥ることがあります。それが地方のローカル線などでも同じような現象として発生し始めているように感じられることがあります。
辺り一面田園風景、整備されない駅、空白だらけの時刻表、次の列車は2時間後…このような状況で観光客が来るとはとても思えません。一部の秘境駅マニアなどは惹かれるかもしれませんが、大半の方ならこのような場所に行きたいとは思わないでしょう。魅力が皆無ですから当たり前のことです。
鉄道むすめはキャラクターであり、それ以上でもそれ以下でもありません。
「救いの女神」とは違うのです。このキャラクターとして生まれた彼女たちをどう利用して、どのようにその地域の振興、発展に寄与させていくかは鉄道会社とその沿線地域次第なのです。しかし、鉄道会社側がそれを諦めてしまっては元も子もありません。鉄道会社には、うまく鉄道むすめを活用し、魅力を感じさせる努力をする必要性を認識させることも重要になってくるのではないでしょうか。
11.沿線地域と鉄道むすめの共存~プロジェクトみやび~
ここで、栃木県で実際に行われているプロジェクトである、「プロジェクトみやび」について紹介します。
プロジェクトみやびとは?
『プロジェクトみやび』とは日光市観光協会 鬼怒川・川治支部と日光商工会議所に所属している商工事業者メンバーによって構成された鬼怒川みやびをこよなく愛する会です。㈱トミーテック様・東武鉄道㈱様・東武商事㈱様のご協力を得ながら、栃木県日光市鬼怒川温泉地区にて、地域活性化事業を展開しています。
(プロジェクトみやび | 鬼怒川温泉・鬼怒川みやび公式WEBサイトより引用)
このプロジェクトは上記の引用部分にも記載されている通り、自治体が運営する観光協会と鉄道むすめを商品化したトミーテック、東武鉄道が協力して、鉄道むすめである鬼怒川みやびを中心として行われている地域活性化事業です。イベント等も不定期ではあるものの行われており、鉄道むすめを利用した地域振興ではかなり成功した部類に入ると思います。
この成功した例から考えられる要因の一つに、東武に存在する鉄道むすめの多さが挙げられます。東武鉄道には上記で紹介した「鬼怒川みやび」の他にも数名、路線や活動している駅は違えど存在します。最近は「大桑じゅり」というSL大樹の機関士の制服を着た新キャラクターが、プロジェクトみやびによって催された「スプリングフェスタin鬼怒川温泉2019」で発表されました。また、「栗橋みなみ」がいる栗橋市には「栗橋みなみ実行委員会」という町おこし委員会が存在します。こちらの委員会も地域振興に大きく貢献していることが公式HPから読み取ることができました。つまり、鉄道むすめもうまく活用すれば地域振興を担える可能性は十分に存在するということです。
12.結論
これは、本文中で再三述べてきたことですが、鉄道むすめがいても鉄道会社が上手くそれを利用できなければ仕方ありません。しかし、「みやびプロジェクト」や「栗橋みなみ実行委員会」のように、鉄道会社や沿線自治体等が協力して町おこしに尽力することができれば地域振興に加担できる可能性がゼロではないということです。
とはいえ、地方のローカル線で同じようにうまくいくとは限りませんし、グッズ開発やイベントの開催にも費用が掛かります。このような催し物の失敗により赤字を増大させては本末転倒です。これらのことから、地域振興は難しい場合もあると考えられます。鉄道会社は、出資のバランスを考えて鉄道むすめと共存する必要があります。そして、活用の仕方によっては会社を救うことにもなるかもしれません。今後の鉄道むすめと鉄道会社の活躍に期待したいと思います。
13.おわりに
実は、鉄道むすめを題材にした研究の構想は1年ほど前からありましたが長い間放置していました。しかし今回、高二である私達の学年は最後の研究の執筆になるということだったので、このようなテーマで書かせていただきました。今思えばこの文章、我ながらよく書けました。読み返すと、拙い文章の上、筆者の趣味があからさまですね。鉄道むすめはみんな可愛い子ばかりなので、皆様もいろいろ調べてみると良いかもしれません。もしかしたらあなたの家の近くにいるかもしれません。
この研究をもって、私の鉃研部員としての活動は終わりを迎えます。これからは大学受験に向けて、本格的に勉強を始めていく時期となります。
最後になりますが、今までお世話になった顧問の先生、校閲に携わって下さった部員の方々、そして読者の皆様、
本当にありがとうございました!
14.参考サイト
鉄道むすめ~鉄道制服コレクション~公式HP
https://tetsudou-musume.net/
プロジェクトみやび | 鬼怒川温泉・鬼怒川みやび公式WEBサイト
http://www.kinugawa38b.jp/
町おこし委員会 ::: 栗橋みなみ実行委員会
http://www.kurihashi373.jp/
相鉄グループ公式HP 鉄道むすめ 星川みほし(新制服)および制服リニューアル記念入場券セット・グッズの発売について
https://www.sotetsu.co.jp/train/info/312.html
鹿島臨海鉄道 公式HP
https://www.rintetsu.co.jp/
(PDF)鉄道むすめ「大桑 じゅり」がデビューします!! - 東武鉄道
http://www.tobu.co.jp/file/pdf/9ce647e0110ad3468af8d194e865acff/190226_2.pdf?date=20190226115832
上毛電鉄友の会/オフィシャルサイト・ホームページ
http://www.jomorailway.com/
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