ブルーラインのこの先を考える

1.はじめに

 みなさんこんにちは。今回はいつも乗っているブルーラインの設備の改善点や延伸開業などについて書きました。最後まで読んでいただけたら幸いです。

2.ブルーラインとは?

 ブルーラインの正式名称は、横浜市営地下鉄1・3号線で、新横浜駅、横浜駅、上大岡駅を経由し、あざみ野駅~湘南台駅間を結ぶ第三軌条の地下鉄です。途中のセンター北駅とセンター南駅で横浜市営地下鉄グリーンラインに接続しています。ちなみに第三軌条とは、パンタグラフを使わず、線路の横の第三の給電用レールから電気を得て運転する方式のことで、他の採用例には東京メトロ銀座線や大阪メトロ御堂筋線などがあります。地下鉄では珍しく、優等列車の種別には快速が採用されています。快速が運行されている他の地下鉄路線には、東京メトロ東西線があります。

3.車両設備の面

A.現状と予定

 現在ブルーラインでは、開業時から在籍していた1000形と2000形は引退していて、最古参の3000A形に、3000N形、3000R形、3000S形、最新型の3000V形が運行されています。2020年度から2022年度に向けて3000V形を増備し、3000A形を置き換える予定です。

 また、現在3000R形へのLCD車内案内表示機の設置を進めていて、3000R形と3000S形の方向幕のフルカラーLED化を予定しています。

3000N形


3000S形 方向幕がフルカラー化される予定

B.改善すべき点

 この中で、3000A形とほかの形式の6号車の車内を比べてみましょう。

3000A形


▲3000A形の座席配置


▲その他の形式の座席配置

(右があざみ野方面。黒色が普通の座席、灰色が優先席「ゆずりあいシート」)

6号車の優先席乗車位置案内。「一部車両では位置が異なります」と書かれている


 見ていただくと分かるように、3000A形の6号車の一番右側のシートはボックスシートになっているため、他の形式とでゆずりあいシートの位置が異なっています。現在では、ゆずりあいシートの乗車位置案内に、「一部車両では位置が異なります」と書いてありますが、3000A形は他の形式と共通運用なのでブルーラインに詳しくない人には分かりにくいと思います。


C.改善策

 3000A形は老朽化のため3000V形に置き換えられることが発表されていますが、現在3000V形は1編成のみの運行で、増備車の導入も2020年度~2022年度と予定されており、オリンピックの競技場への観客輸送のため利用客が急激に増えると予想される東京五輪までに改善ができない予定になっています。ただ、ブルーラインには下の表のように朝ラッシュの運用にもつかない予備車が3編成いるので、3000A形のボックスシート部分をゆずりあいシートにする、もしくは3000A形の一部編成を数日ごとに交代で予備車にするといいと思います。

 ただ、できれば3000V形の増備を早めたほうがいいと思います。

▲ブルーラインの運用車両


3000A形を置き換える新型の3000V形。

4.快速増発の面

A.現状

 ブルーラインの快速は2015年7月18日のダイヤ改正で運転が開始されました。停車駅は、あざみ野駅~新羽駅間の各駅と、新横浜駅、横浜駅、桜木町駅、関内駅、上大岡駅、上永谷駅、戸塚駅~湘南台駅間の各駅となっています。運転開始当初の運行時間帯は、平日は10時台~16時台、土休日は9時台~15時台で、本数は30分に一本でした。2017年3月4日のダイヤ改正からは土休日の快速の運転時間帯が20時台まで延長され、現在のダイヤとなっています。

ブルーラインの快速の案内


B.改善すべき点

 先述の通り、現在ブルーラインの快速は、土休日は9時台~20時台に30分に一本の頻度で走っていますが、平日は10時台から16時台のみ30分に一本と、本数はとても少ないです。しかし、ブルーラインの中で待避が可能な駅は新羽駅と上永谷駅の2駅のみで、快速の運行間隔を詰めることは困難です。ただ、僕は快速の運行時間帯を拡大することは可能ではないかと思います。

C.改善策

 まずは快速を運行できそうな時間帯を考えてみましょう。

 僕は平日の夜間がいいと思います。平日の朝ラッシュは、上下ともに電車が4分に一本あるので、快速を運転させる余裕はないでしょう。ただ深夜なら電車が6~9分に一本のみなので、快速を運転させやすいと思います。また、あざみ野駅で接続する東急田園都市線への乗り換え客にも対応したほうがいいと思います。

 これは現在のブルーラインの時刻表の一部です。


 改善ダイヤでは、次のように快速を運転させます。まず現行のあざみ野着22時41分の普通については、東武線の東武動物公園駅以遠へ向かう最終電車である、田園都市線あざみ野駅22時45分発の各駅停車南栗橋行に接続できるよう、快速に格上げします。

 また、日中と同じく快速は30分サイクルのパターンダイヤとするほか、快速の設定に合わせて踊場始発普通あざみ野行を運転させ、代わりに湘南台始発普通あざみ野行のうちのサイクル中一本を新羽行に変更します。下りの場合も同様に、新羽始発普通湘南台行を運転させ、代わりにあざみ野駅始発普通湘南台行のうちサイクル中1本を踊場行に変更します。

 快速は利用客から好評であり、利用客から「ラッシュ時にも運転させてほしい」とも要望が来ているので、夜間にも役に立つでしょう。


5.延伸開業の面

A.現状と予定

 実はブルーラインには延伸計画があります。それは、現在上り線の終着駅であるあざみ野駅から約7km先にある小田急線の新百合ヶ丘駅まで延伸するものです。事業費は1300億~1500億円を見込んでいて、開業してから27~31年目で黒字転換できるとのことです。なお、途中駅の設定などに関しては未定です。

 メリットとしては、まず時間の短縮が挙げられます。あざみ野駅~新百合ヶ丘駅間は今まではバスだと所要時間は約30分、あざみ野駅~新百合ヶ丘駅間を溝の口、登戸駅経由で東急田園都市線、JR南武線、小田急小田原線を乗り継いで行っても約30分かかっていましたが、ブルーラインが延伸すると乗り換えなしで約11分で行くことができるようになります。

 また、ブルーライン沿線から小田急線沿線へのアクセスも良くなるほか、小田急側にとっても、新幹線との乗換駅である新横浜までのアクセスが便利になり、東急線とのアクセスも良くなることから、小田急の社長も強い期待を示しています。

B.問題点

 問題点は、バスと競合してしまうという面です。

 実は、あざみ野駅から新百合ヶ丘駅までは、同区間で東急バスと小田急バスが走っています。では延伸開業後の平日のブルーラインと東急バス・小田急バスで特徴を比べてみましょう。


(※)ブルーラインでは、乗車区間が3kmを超して7km以内だと運賃は240円、7kmを超して11km以内だと270円となります。

 このように、現在バスは本数が多く運賃も安いため、あざみ野駅~新百合ヶ丘駅間だけを利用する場合は必ずしも全員がブルーラインを利用するとは限りません。そのため、黒字転換ができるまで31年以上はかかるのではないかと思います。

 また、延伸により、車両の増備が必要になります。そのため、その分3000V形を増備しなくてはなりません。


新百合ヶ丘駅を通る小田急電鉄の4000形

あざみ野駅~新百合ヶ丘駅間を結ぶ東急バス


C.改善策

 まず、運賃のことに関しては、値下げをすることはほぼ不可能だと思います。ただ、延伸区間を定期券で乗車する人に対しては値下げをすることが可能ではないかと思います。また、延伸区間で有効なお得な切符を作ることで乗客を集めることが可能ではないかと思います。

 さらに、途中駅の乗降客のことを考えて、延伸区間で通る予定のすすき野周辺に駅を設けるといいと思います。すすき野周辺は、住宅が立ち並び、王禅寺も近く、平成30年時点で一丁目、二丁目、三丁目と合わせて人口が8700人以上いるので、快速も停車させるといいと思います。


日中のダイヤはこのようにするといいと思います。


※新百合ヶ丘駅~あざみ野駅間にある「すすき野駅」は仮称です。

 続いて、車両の増備に関しては、順当に3000V形を増備するしかないでしょう。現在置き換え対象となっている3000A形をリニューアルすればいいと思う人もいるかもしれません。実は3000A形にはリニューアルの計画があったのですが、コストが予想以上にかかることが判明したことから3000A形をリニューアルするより3000V形を増備したほうが効率が良いという判断となったので、そうはなりません。ただ、コスト削減を考えて、増備する3000V形のつり革や手すりなどは3000A形から流用してもいいと思います。


6.終わりに

 今回の研究はいかがでしたか?僕にとってはこれが今まで書いた中で一番長い研究です。

 さて、今回はブルーラインの研究を書きましたが、ブルーラインに毎日乗っている僕も延伸計画があるなんてこの研究を書く前までは知りませんでした。また、僕は3000V形が好きで、何回乗っても車内の色調と乗り心地の良さを感じます。3000V形の増備、そして延伸開業とともにブルーラインは発展していくでしょう。その間に、快速も増発されてほしいです。

 読者の皆さん、最後までお読みいただきありがとうございました。

7.参考資料

・[PDF]ブルーライン車両の更新について

http://www.city.yokohama.lg.jp/shikai/pdf/siryo/j8-20170511-kt-11.pdf

・[PDF]市営交通 中期経営計画 - 横浜市

http://www.city.yokohama.lg.jp/koutuu/kigyo/plan/pdf/chuuki/chuuki2730soan2.pdf

・地下鉄ブルーライン延伸なるか さらなる計画も | 乗りものニュース

https://trafficnews.jp/post/35817

・えきから時刻表

http://www.ekikara.jp/top.htm

・横浜市交通局 地下鉄運賃などの検索

http://www.city.yokohama.lg.jp/koutuu/sub/kensaku.html

・[PDF]平成30年度交通局予算概要(PDF形式:1767KB - 横浜市

http://www.city.yokohama.lg.jp/koutuu/kigyo/zaimu/yosan/pdf/h30yosangaiyou.pdf

・横浜市営地下鉄の新百合ヶ丘乗り入れ「ものすごくプラス」 小田急社長が期待感 乗り物ニュース

https://trafficnews.jp/post/80567

・横浜市統計ポータルサイト 青葉区町別世帯と人口(平成30年5月31日現在)

http://www.city.yokohama.lg.jp/ex/stat/jinko/cho/new/aoba.html

・横浜市交通局 あゆみ

http://www.city.yokohama.lg.jp/koutuu/kigyo/gaiyou/ayumi.html


おことわり:Web公開に伴い、一部表現を変更させていただきました。また、この記事の情報は研究発表当時のものです。現在とは若干異なる場合があります。

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