1.はじめに
こんにちは。中学3年の〇〇です。今回は開かずの踏切の改善というテーマで研究を行いたいと思います。COVID-19の影響で写真をなかなか撮影することができないため文字中心で読みにくいとは思いますが最後まで読んでいただければ幸いです。よろしくお願いします。
2.「開かずの踏切」とは
開かずの踏切とは遮断されている時間が1時間あたり40分以上にもなる踏切のことを言います。平成26年度末の時点で全国に500か所以上存在し、国土交通省が対策を呼びかけています。特に京王線や西武池袋線、東武東上線など本数がかなり多く、かつ地上を走る区間が多い路線に多く存在します。
3.開かずの踏切が与える影響
①歩行者の安全性の低下
開かずの踏切では踏切が開いている時間が短いため、場合によっては踏切が開いている間に渡り終えることができないことがあります。特に、歩くのが遅い児童や高齢者にとっては踏切の存在がかなり危険なものになっています。
②無謀横断の増加
無謀横断とは、遮断機が閉まっている間、それを無視して遮断機を飛び越えたり遮断機を勝手に上げたりして横断することです。無謀横断によって非常ボタンが作動し列車を停止させてしまうことや、人身事故に発展してしまうこともあります。
原因としては、付近に歩道橋などの迂回路がないか、それが使用しづらいため踏切を通らざるを得ないにも関わらず連続して長時間踏切が閉まっていることなどがあげられます。
たとえば、南武線平間駅付近にある平間駅前踏切では、連続して10分以上閉まっていることもある一方、歩道橋を使用すると5分以上余計にかかってしまうため無謀横断が多発しているため写真のような無謀横断をしないことを促す看板が多数設置されています。
③渋滞の多発
踏切が閉まっている時間が長くなれば、それを待つ自動車の列も長くなり渋滞を引き起こします。
平間駅前踏切に設置されている警告看板
(踏切外から安全に配慮して撮影)
無謀横断が多発している平間駅前踏切
4.開かずの踏切の解決策
踏切を除却したり、遮断時間を短くしたりする方法はいくつかあります。
①鉄道線を連続立体交差化する
鉄道を高架化または地下化することによって踏切の除却を行うというものです。この方法では、複数の踏切を同時に除却することが可能であるという側面がある一方で、事業費が高くなってしまうという側面もあります。また、鉄道会社にとっては多額の費用をかけて連続立体交差化を行っても特に新たな利益につながるものではないため、自治体の協力が必要不可欠です。
たとえば、現在開かずの踏切が40か所以上存在する京王線では笹塚駅と仙川駅の間で高架化が進められていて、完成すれば25か所の踏切(この全てが開かずの踏切に指定されています)が除却され効果は大きいです。
また、高架化では地下化に比べて事業費は安くなりますが、景観の問題や災害対策の観点から地下化を採用することもあります。(京急大師線など)
②道路を立体交差にする
①は鉄道側を高架化または地下化するという方法でしたが、こちらは陸橋・歩道橋や地下道を整備して道路側を高架化または地下化するというものです。①に比べると事業区間が短いことがほとんどで事業費が安くなりますが、多くの踏切を一度に除却できないという欠点もあります。
また、駅に近い踏切の場合は駅舎を橋上駅舎化して自由通路を整備することも有効です。この例としては南武線津田山駅や東海道本線(JR京都線)東淀川駅などがあります。この場合、老朽化が進んだ駅の跨線橋や駅舎を建て替えることやバリアフリー化も可能です。なお、東淀川駅では1時間の最大遮断時間が57分と当時JR西日本では最長だった南宮原踏切など駅の前後の3カ所の踏切が廃止されましたが、津田山駅では踏切が残されているなど駅によって踏切を廃止するかどうかの対応は異なっています。
橋上駅舎化工事が進められているJR稲田堤駅
③「賢い踏切」の導入
これは踏切を廃止するのではなく、列車の種別や速度に応じて遮断し始める地点を変える「賢い踏切」と呼ばれるシステムを導入するというものです。国土交通省は平成17年に全国の開かずの踏切22か所において実証実験を行い、現在各鉄道会社が導入を進めています。これにより一度にしまっている時間が30秒以上短縮されることがあるなどの効果を得られ、①や②よりも安価ですぐの対策が可能ですが、実際に踏切を除却したわけではないため効果は比較的薄いです。
賢い踏切導入前後の警報開始地点(上・導入前、下・導入後)
それぞれの方法の効果などをまとめると次のようになります。
5.このほかに実施すべき対策
①ダイヤの工夫(踏切付近ですれ違うようにする)
一つ目は、列車を踏切付近ですれ違うようにするということです。踏切から離れた位置ですれ違うダイヤにしてしまうと踏切の遮断時間が伸びてしまうからです。
言葉で説明しても理解しづらいと思うので、以下にA駅とC駅の間にB踏切があるという設定の架空の路線の時刻表を掲載します。
表の上側の時刻表では、踏切の前後で列車がすれ違うようなダイヤになっていて、踏切が通過時刻の1分前から10秒後まで遮断されるとした場合、7時1分ごろから7時16分ごろまでの間に踏切が開いている時間が約3分程度となっていて、1度に開いている時間は50秒ほどになっているのに対し、下側の時刻表では、ちょうど踏切付近ですれ違うようなダイヤになっていて、7時1分ごろから7時15分ごろまでの間に踏切が開いている時間が7分程度と、大きく変化しています。これは大げさな例ではありますが、実際に対策を実施する価値はあると思われます。
②踏切の分割
これは、付近の土地に余裕がある場合に限りますが、長い横断歩道では中央分離帯のところに待機スペースを設けているのと同様に、線路と線路の間隔を広げて間に待機スペースを設けるということです。これは、JR京浜東北線・東海道線・横須賀線鶴見駅~新子安駅間にある生見尾踏切などで実際に導入されています。
③迂回路の整備
これも付近の土地に余裕がある場合に限りますが、近くにアンダーパスや歩道橋などがある場合にそこまでの迂回路を整備するという方法です。これは、南武線向河原駅付近などで設置されています。
向河原駅に設置された迂回路のイメージ
6.結論
① 従来から行われている線路・道路の高架化や「賢い踏切」の導入などの対策を継続する。
②踏切の近くで列車がすれ違うようにする。
③踏切の近くの土地利用に余裕がある場合は踏切を複数に分けて中央に待機スペースを設けたり、迂回路を整備したりする。
7.終わりに
諸事情により1年ぶりの研究となりましたが、いかがだったでしょうか。コロナのせいで写真はあまり撮れなかったので読みにくかったかもしれませんが、ここまで読んでくださりありがとうございました。
8.参考資料
国土交通省HP
https://www.mlit.go.jp/
全国連続立体交差事業促進協議会
http://www.renritsukyo.jp/
おことわり:Web公開のため一部表現を変更させていただきました。掲載されている情報は研究公開当時のものです。現在とは若干異なる場合があります。
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