成田エクスプレスについて

1.はじめに

 こんにちは。中学2年の〇〇です。だんだん研究を書くことに慣れてはきましたが、まだまだ未熟なところがあり、読みにくい・わかりにくいなどの至らない点も多々あると思いますが、最後までお読みいただけると幸いです。

 ところで、読者のみなさんは成田空港を利用したことがありますか?そのときに成田空港までの交通手段は、高速バスやスカイライナーなどたくさんありますが、そのうちの1つであるJR東日本の成田エクスプレスという特急列車を利用した人も多いと思います。今回は、その成田エクスプレスについて研究を書いていきたいと思います。

2.成田エクスプレスとは?

 成田エクスプレスは、関東各地域と成田空港を結ぶ空港アクセス特急です。通常列車は、高尾駅・大船駅・大宮駅まで運行し、臨時列車は横須賀線の横須賀駅まで延長運転することなどもあります。また、2019年3月16日のダイヤ改正までは、富士急行線の河口湖駅まで臨時列車が運行されていました。

成田エクスプレスの通常列車運行エリア 広範囲で運行されている

(凡例:〇 経由する全列車停車 △ 一部列車のみ停車)

 車両は、全列車E259系を使用しており、以前は253系が使用されていました(現在は東武線直通特急に使用されたり、長野電鉄に譲渡されたりして活躍しています)。また、E259系は余剰車が出ており、東海道線の臨時特急マリンエクスプレス踊り子の運用にも入っています。

成田エクスプレスに使用されるE259系

 同じ成田空港アクセス特急には、京成線のスカイライナーもあります。こちらは、京成上野駅および日暮里駅からのアクセスになっており、2駅のみとなっていますが、成田アクセス線経由で、最高時速160kmで走行し、日暮里駅から空港第2ビル駅まで最短36分で結びます。車両はAE形(2代目)を使用しています。

京成線のAE形(2代目) 営業の最高時速は160Km

 

 成田空港アクセスだけに絞れば、総武快速線(過去には成田空港行き列車には、エアポート成田という愛称がつけられていましたが、2018年のダイヤ改正で消滅しています)や京成線のアクセス特急・快速特急などの追加料金なしの列車も走っています。

3.成田エクスプレスの問題点

 ここから、成田エクスプレスの問題点について考えていきます。

(1)特急料金が高い

 JR各社では、特急料金は以下の2種類が設定されています。


A特急料金:郊外や地方交通線などの利用者数の少ない区間を走行する特急で料金を高く設定

B特急料金:大都市近郊の利用者数の多い区間を走行する特急で料金を安く設定


※具体的な料金体制についてはここでは割愛

 ここから考えると、首都圏から千葉県までの成田エクスプレスはB特急料金が設定されていると思われがちです(首都圏一帯はB特急料金になっています)が、実は、A特急料金で設定されています。B特急料金が設定されるべき都市部区間でA特急料金となっている列車は、成田エクスプレスのほかに、東海道線のスーパービュー踊り子と、成田エクスプレスと同じE259系を使用する臨時のマリンエクスプレス踊り子があります。B特急料金区間で、A特急料金を設定するのに特に制限はありませんが、それなりの車内サービスが求められます。

 スーパービュー踊り子は特別な仕様(窓が大きい、売店があるなど)になっているのに対し、成田エクスプレスとマリンエクスプレス踊り子はそれといった特徴がありません。せめて挙げるならば、無料Wi-Fiやコンセントがついているということです。

 しかし、同様の設備に関しては、中央線の新型特急列車であるE353系に、無料Wi-Fiの取り付けを実施しており、2019年度末までには全編成に無料Wi-Fiがつきます。またE353系にはコンセントはすでについています。そのほかにも、これから総武快速線・横須賀線に導入される新型車両E235系のグリーン車にも無料Wi‐Fiやコンセントがつくということから、成田エクスプレスはスーパービュー踊り子ほどA特急料金を設定するだけの魅力がある列車とは言えません。

 さらに、成田エクスプレスの座席指定方法には、常磐線のE657系、中央線のE353系と臨時列車のE257系、高崎線の651系と同じ座席指定券と座席未指定券が設定されています。両指定券は座席を指定した場合でもしていない場合でも同じ料金になります。座席未指定券は乗車する列車が決まっていないときでも、有効日内ならば使用でき、車内の空席を利用でき、乗車する列車が決まったら、券売機等で指定席特急券に変更することもできるという特徴もあります。

 料金についてですが、他の路線では指定席特急券と座席未指定券のどちらもB特急料金より安く設定されています(次ページの補足を参考)が、成田エクスプレスではどちらも元のA特急料金の指定席料金で設定されています。そうなると座席未指定券の料金の違う成田エクスプレスと中央線特急が併存する新宿駅~八王子駅の区間は、中央線特急の座席未指定券で、成田エクスプレスに誤乗してしまうという問題もあります(成田エクスプレスの座席未指定券で中央線特急に乗車することは誤乗ではありません)。

<補足>

(いずれもJR東日本の51㎞~100㎞の場合の料金)

(2)スカイライナーとの競合

 成田空港のアクセス列車であるスカイライナーとももちろん競合があります。次の表は、成田エクスプレスとスカイライナーを比較したものです。


 車内のサービスはほとんど変わりませんが、料金を見ると明らかに成田エクスプレスのほうが高くなります。スカイライナーは新宿駅や東京駅などの東京の中心エリアからではなく、日暮里駅(京浜東北線の快速は通過します)や京成上野駅(JRの上野駅からは多少距離があります)からしか乗車できないので不便そうに見えますが、成田エクスプレスより本数が多くなっているので、利便性はあまり変わらないといえます。よって、料金や本数で、成田エクスプレスはスカイライナーに客足を奪われているといえます。

 また、成田空港アクセスには、成田エクスプレスやスカイライナー、総武・成田線と京成線以外にも、高速バスがあります。高速バスは多くの会社で運行されており、運賃は900円から3000円と、幅が大きくなっています。所要時間は1時間15分程度で、成田エクスプレスやスカイライナーに大きく劣っているわけではないので、運賃の安い高速バスに乗客が流れているといえます。

(3)河口湖行き臨時列車の休止

 もともと臨時列車の設定されていた臨時成田エクスプレスの河口湖行きがあったのですが、中央線に新しく特急富士回遊が設定されたことにより、休止となったものです。これによって、ホリデー快速富士山などの列車も中止となりました。

 富士山は外国人観光客もよく行く観光名所となっています。成田空港から一本で行けたところが、新宿駅で大きな荷物を持ちながら成田エクスプレスから富士回遊に乗り換えることになったので、利便性が落ちているといえます。また、新宿駅で、成田エクスプレスのホームと中央線特急のホームはかなり離れているので、より利便性は低いともいえます。

富士回遊号の運用にあたるE353系

新宿寄りの3両編成が富士回遊号

富士回遊の臨時列車の運用に入る

E257系500番台

4.問題点の解決策

 ここから、先ほどあげた問題点の解決策について考えていきます。

(1)特急料金が高い

 特急料金の調整について、見ていきます。

 まず、この研究の最初のほうに載せた成田エクスプレスの路線図をご覧ください。東京駅と、空港第2ビル駅・成田空港駅の間にも一部列車が停車する駅があります(千葉駅、四街道駅、佐倉駅、成田駅)。これらの駅は、通勤時間帯の着席サービスを向上させるために停車しているのですが、通勤用の特急という観点からすると、A特急料金だと高いといえます(ほかの通勤用の特急のスワローあかぎ・はちおうじ・おうめなどは、B特急料金に準じた料金設定になっています)。また、2019年9月30日まで、「えきねっとトクだ値」というキャンペーンで、期間限定で東京駅・品川駅→横須賀線方面の停車駅や、渋谷駅・新宿駅→中央線方面の停車駅、渋谷駅・新宿駅・池袋駅→大宮駅の区間で、タラッシュの一部列車の特急料金の値引きが行われております(元の料金から35%から45%引きとなっています)。

 しかし、千葉方面の各駅までの特急料金に対しては、値引きがありません。そのため利用率はそこまで高くなっていません。

 よって、千葉方面の各駅から乗車し、東京方面へ向かう場合や、逆に東京側から乗車し、それらの駅で下車する場合の料金はB特急料金や、それを基準とした料金設定などにし、安く抑えるべきだと思います。

 利用率を高めるためには、告知の割引のイベントを導入すべきだと思います。ほかの区間でも、B特急料金に抑えれば利用率は上がると思いますが、千葉方面に比べれば料金を下げる必要性はあまりないといえます。

 次に、成田空港駅まで乗車したり、成田空港駅から乗車したりする場合を考えていきますが、そちらについては次の(2)の項目の内容と被るところが多くあるので、次の項目で考えていきます。

(2)他の交通手段との競合

 スカイライナーは、南側に遠回りする京成本線経由ではなく、比較的直線的な北総線・成田スカイアクセス線経由で運行されています。これに対し、成田エクスプレスは船橋駅や千葉駅を経由するなど迂回したコースで運行されるため、所要時間の面でスカイライナーよりも短くすることは厳しいと思われます。よって、料金面で勝負するしかないので、成田エクスプレスの料金は、スカイライナーとの競合という面で値下げするべきだと思います。価格についてですが、B特急料金の指定席料金にすると、東京駅から成田空港駅で2770円になり、スカイライナーと十分に勝負できる料金になります。

 高速バスとの競合についてですが、最安価のバスとの競合で、料金の面で勝つことは不可能でしょう(以下の表を参照)。

 ちなみに、成田エクスプレスやスカイライナーではなく、追加料金なしの列車であっても料金の面で東京シャトルに勝ることはできません(JR線東京駅~成田空港駅1320円、京成本線日暮里駅~成田空港駅1030円)。

 しかし、車内設備や乗り心地という観点においては圧倒的に鉄道のほうがよいので、そこを強調して勝負していくしかないと思われます。

(3)河口湖行き列車の休止

 富士山アクセスを向上させる方法について、河口湖行き列車を復活させるということが最もよいと考えられます。この方法は、富士回遊の登場によってダイヤを組むことが厳しいと思われますが、まず中央線の新宿駅から高尾駅の区間の列車本数の変動はないうえ、富士回遊の運転される時間帯と河口湖行き列車が運行されていた時間帯は全く別なので、ダイヤ上の問題はありません(以下の時刻表を参照)。

 次に、料金についてですが、(2)の項目でスカイライナーとの競合のためにB特急料金に準じた料金にすべきだ、と書きましたが、そちらに合わせたほうがJR線の富士急行に直通する特急列車の料金が同じになり、利用者にとってはわかりやすく、誤乗対策にもなると思うので河口湖行きの成田エクスプレスもB特急料金に準じた料金にすべきだと思います。

 この列車は人気観光地に空港から直行できるという素晴らしい要素を持っているので、復活させることで利便性が大きく向上すると思います。

臨時成田エクスプレスと富士回遊の時刻表 一部駅と普通・快速列車は省略

(都留文科大学前→都留文大前、富士急ハイランド→富士急ハイ)

5.まとめ

 スカイライナーや高速バスとの競合でより多くの乗客を獲得するために、特急料金はB特急料金を基準とした料金などに下げるべきだと思います。また、東京方面から成田空港駅・空港第2ビル駅を除く千葉方面の各駅までの利用客を増加させるための告知の割引サービスを導入すべきだと思います。

 また成田空港から富士山方面への利便性を向上させるために、河口湖行きの臨時列車は復活させるべきだと思います。

6.最後に

 いかがでしたか?初の文化祭号での研究だったので、今までの研究よりもわかりやすく、そして多く書けるように意識して執筆しました。今後もより良い研究を書けるように頑張っていきたいと思います。

 成田エクスプレスは多くの問題を抱えていますが、この問題を解決させれば、行き先が豊富で、もともと利便性が高い特急なので、現在よりも短距離利用も含めた利用率が上がると思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!

7.参考

・JR東日本

https://www.jreast.co.jp/

・京成電鉄

http://www.keisei.co.jp/

・えきねっと

https://www.eki-net.com/

・京成バス

http://www.keiseibus.co.jp/

・リムジンバス

https://www.limousinebus.co.jp/

おことわり:Web公開のため一部表現を変更させていただきました。掲載されている情報は研究公開当時のものです。現在とは若干異なる場合があります。

浅野学園鉃道研究部 『停車場』アーカイブ

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