名鉄名古屋駅の4線化

1.はじめに

 皆さんこんにちは。本日は鉃道研究部の文化祭にお越しくださいまして、ありがとうございます。高一の〇〇です。今回は僕の好きな鉄道である名古屋鉄道の、名鉄名古屋駅の4線化について考えました。最後までお読みいただければ幸いです。

 皆さんは名古屋鉄道と聞いて何を思い浮かべますか?読者の皆さんの中には、新型車両9500系、1000系パノラマスーパー、ミュースカイ(空港特急)や特別停車などを考える人も多いでしょう。ただ、名鉄名古屋駅のことを考える人も少なからずいると思います。名鉄名古屋駅について知らない人もいるかもしれないので、現在の名鉄名古屋駅について少し説明します。

2.現在の名鉄名古屋駅

 現在、名鉄名古屋駅には、上りは名鉄岐阜、犬山、弥富方面から豊橋、中部国際空港、河和方面などに向かう列車が、下りは豊橋、中部国際空港、河和方面から名鉄岐阜、犬山、弥富方面に向かう列車が合わせて平日は920本、土休日は925本の電車が発着しています。しかし、そんな名鉄名古屋駅は現在、3面2線しかなく、1つの線路に上りは名鉄岐阜、犬山、弥富方面から豊橋、中部国際空港、河和方面に向かうすべての電車が、下りは豊橋、中部国際空港、河和方面から名鉄岐阜、犬山、弥富方面に向かうすべての電車が来ます。そのため、一つの線路あたりに発着する電車の本数が日本一です。また、折り返しができないため、名鉄名古屋駅止まりの特急やミュースカイは、名鉄名古屋駅から隣の栄生駅まで回送運転を行って栄生駅の車庫で折り返し、名鉄名古屋駅始発の特急やミュースカイは栄生駅から名鉄名古屋駅まで回送運転を行います。

駅の車庫を通過中の1700系(左)と栄生駅の車庫に停車中の1030系(右)

現在の名鉄名古屋駅の線路(四角形がホーム)

名鉄名古屋駅から一本で行けるもしくは名鉄名古屋駅まで一本で行ける電車の走行区間

(名鉄三河線や名鉄蒲郡線など、名鉄名古屋駅から一本で行けない区間は省略)

3.名鉄名古屋駅の4線化の概要

 名古屋鉄道は、プレスリリースにて、名鉄名古屋駅の線路を2線から4線に拡張することを発表しました。拡張する分のスペースは、現在の名鉄名古屋駅の南東側に設けられます。4線化後の名鉄名古屋駅のホームの数は決まっていません。この他にも、名古屋鉄道は、名鉄名古屋駅の上に、南北で400mにも及ぶ巨大な駅ビルをつくる予定です。2022年度に工事に着手する予定で完成はリニア中央新幹線の開通する2027年を見込んでいます。

南東側に移動した4線化後の名鉄名古屋駅の線路

4.拡張することのメリット

A.行先ごとに乗り場を分けられる

 名古屋鉄道からは正式には発表されていませんが、多くのニュースサイトでは、名鉄名古屋駅を4線化することによって、中部国際空港行きの電車専用の乗り場ができるのではないかと期待されています。というのも、国土交通省から中部国際空港行き専用乗り場の設置の要望があるからです。現在は、名鉄名古屋駅の上りホームには、豊橋、中部国際空港、河和方面とさまざまな方向に行く電車が来ていますが、中部国際空港行きの電車専用のホームができると、豊橋、河和方面に行く乗客と、中部国際空港方面へ行く乗客とで待機する番線を分けられて、駅ホームの一定の場所に乗客が集中することの防止につながります。また、中部国際空港方面の電車だけに、専用の乗り場から乗れるので、誤乗の防止にもつながります。そうすれば、名古屋鉄道に詳しくない利用客にとって名鉄名古屋駅を利用しやすくなります。下りのホームに関しても、名鉄岐阜、弥富方面に向かう電車と、犬山、新可児、新鵜沼方面に行く電車とで番線を分けられるかもしれません。これによって下りも駅ホームの一定の場所における乗客の集中を防止できると思います。

中部国際空港に行く準急(写真)や特急などの専用乗り場を設置することで

混雑緩和や誤乗の防止にもつながるだろう。(犬山駅にて撮影)

B.緩急接続が可能

 今まで名鉄名古屋駅は3面2線の駅で、緩急接続ができない駅でしたが、名鉄名古屋駅が4線化されたら、緩急接続ができるかもしれません。名鉄名古屋駅で緩急接続が可能になると、今まで二ツ杁駅や、西枇杷島駅(現在は通過待ちを行っていません)にて優等列車の通過待ちを行っていた普通電車の一部が名鉄名古屋駅で優等列車の待避をすることが可能になると考えられます。そうすると、普通電車から優等列車に、優等列車から普通電車に対面乗換をすることが可能になり、乗客にとっては利便性が向上します。ただ、項目Aのメリットを生かせるように、緩急接続は下りの電車同士と、上りの中部国際空港行きとほかの行先の電車同士のみでするといいと思います。

今まで二ツ杁駅や西枇杷島駅で通過待ちを行っていた普通(上)と追い越していた優等列車(下)

5.拡張する際の問題点

I.工事の費用が掛かる

 駅を拡張する際、工事にお金がかかるのは言うまでもありません。とはいっても、工事の費用はすべて名古屋鉄道が負担することも困難でしょう。これについては政府や自治体の支援を受ける必要があります。

II.工事の際の騒音

 駅の拡張時には、工事の騒音が名鉄名古屋駅に響くことがあります。あまりにも騒音がひどい場合は、名鉄名古屋駅だけでなく、隣接する近鉄名古屋駅やJR東海の駅ビルなどにも騒音が響くでしょう。その場合、名古屋鉄道に苦情が出るかもしれません。

III.列車の運行に支障が出る

 名鉄名古屋駅を4線化する際、線路の位置も変わるので、工事をしている間には電車が名鉄名古屋駅を通ることが不可能、もしくは名鉄名古屋駅を通れる電車が少なくなる期間があると考えられます。僕は、名鉄名古屋駅を通ることが不可能になった場合、折り返し設備の関係上、少なくとも金山駅~須ケ口駅、岩倉駅間が運転見合わせになると考えます。運転見合わせになると考えられる区間の中でも、例えば名鉄犬山線の西春駅は北名古屋市の中心駅であり快速急行、急行、準急が止まる駅で、この駅から小牧空港まではバスが走っています。また、名鉄犬山線の上小田井駅も快速急行、急行、準急が止まり、名鉄名古屋本線の栄生駅は急行、準急が、二ツ杁駅は準急が止まる駅であり、これらの駅に電車が通らなくなると多くの人にとっては不便になるでしょう。さらに、名鉄名古屋駅の1日の平均利用者数は2017年3月末の統計で289,203人とこれは名古屋鉄道の駅の中で最も多いです。その際、名鉄名古屋駅を経由する人たちにとっては大変不便になるでしょう。

黒色の区間が名鉄名古屋駅に電車が通れない時に運転見合わせになると思われる区間

(準急停車駅のみ表示)

6.対策

I.工事の費用の対策

 多くの鉄道会社では、鉄道の駅拡張工事やバリアフリー化の際、国土交通省の鉄道駅総合改善事業による支援を利用しています。その概要がこちらです。


①総合改善事業

 鉄道利用者の安全性や利便性の向上を図るために、市街地再開発事業、土地区画整理事業、自由通路の整備都市側の事業と一体的に鉄道駅のホームやコンコースの拡幅等を行い、駅機能を総合的に改善する。

②連携計画事業

 人にやさしく活力のある都市の実現をめざし、既存の鉄道駅の改良と一体となって地域のニーズに合った保育施設等の生活支援機能を有する鉄道駅空間の高度化(コミュニティ・ステーション化)を図る。


※[PDF]鉄道政策における鉄道駅総合改善事業の役割 - 国土交通省より引用

 実際に、この事業の対象となっている例の一つが、京浜急行電鉄の金沢八景駅です。これは、京浜急行電鉄との乗り換え路線であると横浜シーサイドラインの延伸に伴い、橋上駅舎化や自由通路による乗継ぎの円滑化などをした事業です。鉄道駅総合改善事業の対象になることで、国や自治体からの補助が出ます。名鉄名古屋駅もこの対象になることで、国や自治体から工事の費用の一部が補助されます。これによって、名古屋鉄道の負担額が軽くなるでしょう。

II.工事の際の騒音の対策

 工事をする際に騒音が出てしまうことは仕方ないと思われますが、名鉄名古屋駅や近鉄名古屋駅などの利用客に迷惑がかからないように、深夜もしくは終電後から始発前を中心に工事をするといいと思います。

III.列車の運行に支障が出る

 僕はこのことに関しては、電車が名鉄名古屋駅を通れない期間は名鉄名古屋線の金山駅~須ケ口駅、岩倉駅間を運転見合わせにして、岩倉駅~上小田井駅間は名古屋市営地下鉄鶴舞線への直通電車のみの運転をするといいと思います。そして、可能であれば金山駅~須ケ口駅、岩倉駅間で代行バスを運転すればいいと思います。

 ただ、名鉄名古屋駅は先ほども説明したように1日の平均利用客数が名古屋鉄道の中で一番多いので、代行バスだけだと大混雑が予想されます。そのため、名鉄犬山線に直通している鶴舞線をはじめとした名古屋市営地下鉄やJR東海などへの振替輸送や犬山駅から並行して走る名鉄小牧線の利用を推奨するといいと思います。

 工事期間中の振替輸送に関しては、京王電鉄でも京王井の頭線の下北沢駅付近の橋の架け替え工事により、2018年の5月13日の始発から午前9時30分まで運転を見合わせ、小田急電鉄や東急電鉄などへの振替輸送を実施しました。名鉄名古屋駅を通れない期間が決まったら早めに公式サイトや張り紙などで伝えるべきだと思います。

名鉄名古屋駅に電車が通れない場合はJR東海(上)や名古屋市営地下鉄鶴舞線(下)への振替輸送を推奨するとよい。

7.拡張後のダイヤ

 名鉄名古屋駅を拡張後、どのようなダイヤを作成すればいいかを考えてみました。名鉄名古屋駅を拡張することのメリットを利用しつつ、現行のものと変えたところだけダイヤを載せようと思います。現行ダイヤを上に、拡張後のダイヤを下に載せました。

<現行ダイヤ>

<改善ダイヤ>

 拡張後のダイヤを考えているとき、僕は、名鉄名古屋駅14時01分発の特急中部国際空港行きと、14時03分発の、特急豊橋行きに注目しました。名鉄名古屋駅は到着する電車の間隔が狭いですが、特急豊橋行きの後の名鉄名古屋駅14時07分発準急豊明行きは特急豊橋行きの4分後に名鉄名古屋駅を発車するので、比較的時間に余裕があります。名鉄名古屋駅は緩急接続が可能となり、中部国際空港行き専用の乗り場が設置されるということが期待されているため、これらの電車が名鉄名古屋駅で接続できないかを考え、ダイヤを考えました。

 このように、もともと14時01分発の特急中部国際空港行きが、名鉄名古屋駅でもともと14時03分発の特急豊橋行きに名鉄名古屋駅で追い抜かされるダイヤを作りました。この時、特急中部国際空港行きは、中部国際空港行き専用乗り場に、特急豊橋行きは4線化後の一般の乗り場に停車させます。これで、名鉄名古屋駅が、待避可能な駅になり、中部国際空港行き専用乗り場ができることのメリットを生かせていると思います。

 現行のダイヤは1時間サイクルのパターンダイヤとなっているので、改善ダイヤもパターンダイヤにするといいと思います。なお、このダイヤだと「特急が特急を追い越す」という現象が起こってしまいますが、名古屋鉄道では、平日の鳴海駅で7時55分発の急行吉良吉田行きが、7時51分に鳴海駅に着き、後ろの2両を切り離して、後ろの2両を普通豊明行きに変更している間に、7時53分発の急行豊橋行きに抜かされるという「急行が急行を抜かす」ダイヤも存在します。また、他の鉄道でも同じ種別で緩急接続を行うことがあります。そのため、特急が特急を抜かしてもあまり問題ないと思います。

8.終わりに

 今回の研究はいかがでしたか?令和時代初かつ僕が高校生になって初めての文化祭の研究に僕の好きな鉄道の研究を書くことができました。さて、概要にて説明したとおり、名鉄名古屋駅の4線化は、2027年に開業することから、これはリニア中央新幹線の開業に合わせて、乗客の利便性の向上のために行われていると考えられます。僕は現在の名鉄名古屋駅が見られなくなるのは少し残念に思いますが、新たに4線化した名鉄名古屋駅に期待しています。

 最後までお読みいただきありがとうございました!

9.参考サイト

・[PDF]名鉄名古屋駅4線化計画 - 名古屋鉄道

https://www.meitetsu.co.jp/profile/news/2018/__icsFiles/afieldfile/2019/03/25/release190325_nagoyaeki.pdf

・乗りものニュース

https://trafficnews.jp/

・東洋経済オンライン

https://toyokeizai.net/

・タビリス

https://tabiris.com/

・[PDF]名古屋鉄道株式会社

https://www.mintetsu.or.jp/activity/databook/pdf/17databook_p58-59.pdf

・[PDF]始発から井の頭線下北沢駅付近の橋の架け替え工事に伴い - 京王電鉄

https://www.keio.co.jp/news/update/news_release/news_release2017/nr180327_shimokitazawa.pdf

・[PDF]鉄道政策における鉄道駅総合改善事業の役割 - 国土交通省

https://www.mlit.go.jp/common/001000889.pdf


※Web公開のため一部表現を変更させていただきました。掲載されている情報は研究公開当時のものです。現在とは若干異なる場合があります。

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