1.はじめに
こんにちは。早いものでもう中学最高学年です、〇〇と申します。今回は「駅名ネーミングライツ」について研究したいと思います。字ばかりの駄文ではありますが最後まで読んでいただけると幸いです。
2.ネーミングライツとは?
ネーミングライツとは一体なんでしょうか?簡潔に述べると、「施設名や駅名にある企業名やそのキャッチフレーズを付与することができる権利」のことです。
例えば「日産スタジアム」や「ニッパツ三ツ沢球技場」、「PayPayドーム」などのネーミングライツが適用された施設がありますが、これらの正式名称は「横浜市国際競技場」、「三ツ沢公園競技場」、「福岡ドーム」となっています。近年このようなネーミングライツ販売が増えてきています。
駅名のネーミングライツに関してですが、正式名称ごと変更される場合と正式名称の他に「副駅名」を命名するという場合があります。
3.ネーミングライツのメリットと問題点
それでは、何のためにネーミングライツを売買するのかということについて考えたいと思います。
Ⅰネーミングライツを購入し、駅名を命名する企業のメリット
➀列車内などで副駅名を案内したり、駅名標や駅舎などに会社名やキャッチフレーズを表示させたりすることができる
企業にとっての一番の目的です。駅名に自社の名前やキャッチフレーズを冠することによって、自社の存在を多くの利用者に発信することができます。列車内の案内放送で副駅名を読まれたり、駅名標や駅舎に副駅名を掲示したりすることによって、従来の列車内の中吊り広告や駅に掲示されている広告よりも遥かに高い広告効果を出すことができます。また駅名に自社の名前を冠することによって、企業のイメージアップも狙うことができます。
②話題になるようなインパクトのある駅名をつければ命名企業、鉄道会社のイメージアップ、認知度が上昇する
インパクトのある駅名をつけることにより、ネットなどにより知名度を上げることができます。自社・鉄道会社・ひいては地域の活性化につながります。
Ⅱネーミングライツを販売する鉄道会社のメリット
➀命名権の販売により、大きなまとまったお金を入手できる
ネーミングライツを販売するのは地方の中小私鉄という場合が多い(路線規模が小さく、改称してもそこまで大きな影響はない)ですが、これには理由があります。地方の中小私鉄は利用者の減少などにより金策に苦しんでいることがありますが、上記のメリットにより財政を助けることができます。
②「イオンタウン伊賀上野前」など、付近にある施設名を副駅名にすることにより、その施設名の最寄りが容易に分かる
正式な駅名の「四十九駅」という駅名では、この「イオンタウン伊賀上野」という施設へ行くのに便利であることは読み取ることができません。しかし、このような駅名にすることにより、付近の施設への利便性が高まります。
ネーミングライツにはこのようなメリットがありますが、一方で問題点もあります。
Ⅲネーミングライツを購入し、命名する企業の問題点
➀企業がその命名した駅の近隣にあると誤解されてしまう
この例は、前項で述べた「付近にある施設名を副駅名にすることにより、付近の施設の最寄りが容易にわかる」というメリットの逆です。銚子電鉄にこのような駅名があります。
「上り調子 本調子 京葉東和薬品駅」正式名称 本銚子駅
この本銚子駅の副駅名の命名企業である薬品製造会社の本社は、本銚子駅近隣にはありません。それどころか本銚子駅がある銚子市ですらなく、本社は千葉市に所在します。本銚子駅と当企業の本社は直線距離で約80㎞離れており、本社に用がある人がもしここを訪れてしまったら…。これは極端な例ですが、このような深刻な誤解を招くこともあるかもしれません。特に観光客などが訪れる飲食店などは、飲食店名を冠した駅名を聞いてフラッと下車することも十分に考えられて、より影響が大きいです。
➁多くの場合宣伝効果は地元にしか及ばない
ネーミングライツを販売するのは多くの場合地方の私鉄ですから、全国への宣伝は駅名が話題にならない限り地元だけに留まります。しかしこの問題点は「地元に密着した企業」であれば問題とはなりません。このような企業は地元だけに宣伝ができれば良いからです。
③従来から親しまれてきた駅名を改称するのは重みが伴い、住民からの反発も考えられる
ネーミングライツを販売するということは、従来から親しまれてきた駅名を改称し、宣伝のための駅名に改称してしまうということです。地域インフラである駅の名前を改称する責任は重いです。ですので、駅名改称に関して少なからず反対も起こると考えられます。また反対が起こってしまうと、ネーミングライツを購入した企業側のイメージ低下も起こりえます。
Ⅳネーミングライツを販売する鉄道会社の問題点
➀もし命名企業が不祥事を起こした場合、命名企業だけではなく鉄道会社にも飛び火する恐れがある
命名企業の不祥事により、駅、ひいてはネーミングライツを販売した鉄道会社のイメージダウンにも繋がりかねません。
②短期間に駅名変更を繰り返すことにより、駅名が認知されにくい
ネーミングライツの契約期間は概ね1年~5年程度と短期間ですが、これでは駅名が定着しません。また駅名が頻繁に変わってしまうと沿線の混乱を招くかもしれません。
4.改善策
Ⅰ企業側の改善策
➀についてですが、これは、ネーミングライツのメリットの一つである「施設の最寄り駅が容易にわかる」ということが裏目に出た形です。前述の本銚子駅のように、企業名を駅名に入れているにもかかわらず企業が近隣に所在しないと、誤解を招くのは言うまでもありません。本銚子駅の場合、誤解を生まないために「企業名を入れるのではなく、自社の開発した商品や、提供するサービスなどの名前を入れる」というように、社名の普及ではなく自社の商品やサービス名などの固有名詞の宣伝をするなどの、誤解を生まないための工夫は必要だと思います。社名や施設名などをつけたい場合には、遠方ではなくせめて自社の施設の近隣の駅に留めるべきだと思います。
➁についてですが、これはネーミングライツを販売する鉄道会社が主に地方私鉄であるということに起因します。ほとんどの地方私鉄は全国的な知名度を持っていませんから、他地方の人には当然駅名を知ってもらう機会がありません。ですが、何かインパクトのある・または面白い駅名を命名することができれば、インターネットなどの媒体によって全国的に有名になるかもしれません。インパクトのある駅名を命名することで知名度を格段に上げた例が、銚子電鉄だと考えます。「髪毛黒生」などのユニークな駅名により鉄道ファンだけでなく一般への知名度も格段に向上しました。企業側が付ける駅名が「企業と鉄道の知名度を上げる」ための鍵となるのです。
③について、「宣伝のためではなく鎌倉に恩返しがしたい」という考えで、この問題点を見事に回避した企業の例を挙げようと思います。
数年前、鎌倉市が市内の「材木座海水浴場」「由比ガ浜海水浴場」「腰越海水浴場」の三つの著名な海水浴場のネーミングライツを販売しました。ここでネーミングライツを獲得したのが、鳩サブレーなどを販売する地元・鎌倉の菓子メーカーの「豊島屋」でした。しかし、従来の名前は昔から親しんで来た名前であるという理由で、「海水浴場の名前は改名しない」という決断に至った理念の下、改称を行わなかった豊島屋には称讃の声が多く集まりました。結果的に、改称をしないという行為が企業イメージの上昇へと繋がったのです。しかし裏を返せば、古くから愛されている名前を変えることに対する利用者の抵抗感もあったということです。
この問題に対する改善策は、豊島屋のように古くからの名前を尊重し、敢えて改称をしないという決断をするか、自社名をあまり前面には出さない駅名に改称するということが挙げられます。
例えば銚子電鉄「ロズウェル駅」が挙げられます。ロズウェルとは地名から来ています。アメリカに1946年に落下したUFOの落下地点がロズウェルという場所でした。銚子市にもUFOにまつわる都市伝説があり、それとかけて命名されたそうです。銚子のUFO伝説を知らない人に知るきっかけを与えることができ、鉄道会社や地元の活性化につながる手本のような駅名です。このような「由来を調べさせたくなる駅名」に改称すると、命名した企業のことも知ってもらう機会ができ、普通に社名や商品名を駅名に冠すよりも高い知名度を得られる可能性すらあります。
Ⅱ鉄道会社の改善策
➀についてですが、これは鉄道会社側では具体的な対策を立てることはできません。問題が命名する企業側にあるからです。強いて言うなら、ネーミングライツを販売する企業への審査を行うぐらいでしょう。
②についてですが、これは単純に駅名適用期間を長くすればいいと思います。期間を長くすることによって、地元への駅名の定着とともに、社名や商品名の定着にもつながります。
5.改善策を実施した結果の問題点
Ⅰ命名企業
➀の改善策「企業名ではなく商品名やサービス名を入れる」を実施した結果です。企業名ではなく商品名を発信すると、直接的に商品名の知名度が上がります。しかしこの改善策はアピールできる商品やサービスがある企業、つまり製造業や一部のサービス業などの業種しか出来ないことが難点です。サービス業といっても、レストランや病院など、客が訪れる必要がある施設名は近隣でない限りは名前をつけられませんので、例えば家事代行などの客が訪れる必要のない業務形態に限られると思います。
➁の改善策「ユニークな駅名を命名し、ネット上で有名になる」を実施した結果です。これは完全に命名企業のセンスが問われますし、企業側は駅名を有名にさせるという賭けに出るよりも、確実に自社や自社商品の宣伝をしたほうがいいという行動に出ることも大いに考えられます。
Ⅱ鉄道会社
②の改善策「駅名適用期間を長くする」を実施した結果です。駅名適用期間を長くしてしまうと、駅名の定着には役立つ反面、ネーミングライツへの新たな企業の参入を阻害してしまう可能性があります。
6.結果的な改善策(まとめ)
以上の問題点や改善策をまとめた結果です。
結局私はネーミングライツを販売する対象の企業やその立地、その企業が命名した駅名をよく審議したほうがいいと考えました。下手に企業名を駅名に付けてしまったりなどの軽率な命名をしてしまうと、所在地を誤解するなどの問題を引き起こす可能性があります。近年ネーミングライツを販売する鉄道会社も増えてきており、ネーミングライツ販売の一般化が進んでいます。だからこそ命名するときは「駅名が周辺に及ぼす影響の大きさ」を考えて、よく推敲して駅名を決定してほしいと思います。
7.おわりに
近年増加しているネーミングライツ販売ですが、なんだか誤解を招くような駅名も多いと感じました。とはいえ、鉄道会社にとっては貴重な資金源でもあり、銚子電鉄など鉄道運営に欠かせない要素となっている所もあります。従ってこれからは、企業が命名に慎重になってよく考え抜かれた駅名にすることが重要だと思います。それにしても入部からもう2年経つのに研究が上達している気が全然しませんね。研究の構成もこれから考えていくべきだと思っています。字ばかりで自分でも読みにくい文章になってしまいましたが、ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございました。
8.参考サイト
銚子電鉄
https://www.choshi-dentetsu.jp/
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/
乗り物ニュース
https://trafficnews.jp/
いすみ鉄道
https://www.isumirail.co.jp/
タウンニュース
https://www.townnews.co.jp/
エキサイトニュース
https://www.excite.co.jp/
株式会社kadode ooigawa
https://kadode-ooigawa.jp/
おことわり:Web公開のため一部表現を変更させていただきました
掲載されている情報は研究公開当時(2021年)のものです。現在とは若干異なる場合があります
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