S-TRAINの今とこれから

1.はじめに

 みなさんはじめまして。中2の**です。初めての研究となりますので、温かい目でお読みいただけると幸いです。では、早速ですが、本題に入らせていただきます。

2.S-TRAINとは

 S-TRAINは、西武池袋線などを走る座席指定列車です。車両は西武鉄道のロングシート・クロスシート転換機能が付いた40000系を使用しています。運転区間は平日と土休日で異なります。


S-TRAINに使用される40000系


40000系の車内(写真はクロスシート時)

①平日

 平日に運転されているS-TRAINは、西武池袋線の所沢駅と東京メトロ有楽町線の豊洲駅との間を最速55分(S-TRAIN109号)で結んでいて、朝に豊洲行きが2本、夜間に所沢行きが5本運転されています。停車駅は、所沢駅、保谷駅、石神井公園駅、飯田橋駅、有楽町駅、豊洲駅で、途中の練馬駅で信号機器切り替えのために、小竹向原駅で乗務員交代のために運転停車をします。朝の豊洲行きの列車は飯田橋駅、有楽町駅からの、夜間の所沢行きの列車は石神井公園駅、保谷駅からの乗車ができなくなっています。このルートでは土休日の運行はありません。

②土休日

 土休日に運転されるS-TRAINは西武秩父線の西武秩父駅から東京メトロ副都心線・東急東横線を経由して横浜高速鉄道みなとみらい線の元町・中華街駅までの間を結んでいます。こちらは元町・中華街行きが2本、西武線方面行きが3本運転されており、西武池袋線・西武秩父線方面に向かう列車は朝の西武秩父行、夜間の飯能行、所沢行とすべて行先が異なっています。停車駅は、西武秩父駅、飯能駅、入間市駅、所沢駅、石神井公園駅、池袋駅(副都心線)、新宿三丁目駅、渋谷駅、自由が丘駅、横浜駅、みなとみらい駅、元町・中華街駅です。また、この他に信号機器切り替えのために練馬駅、乗務員交代のために小竹向原駅、信号機器の都合上中目黒駅・武蔵小杉駅・菊名駅に運転停車をします。全列車共に副都心線池袋駅、元町・中華街行きの列車は横浜駅・みなとみらい駅からの乗車が、西武線方面行きのS-TRAINはみなとみらい駅・横浜駅での降車ができなくなっています。このルートでは平日の運行はありません。


S-TRAINの路線図

3.問題点

①行先の分かりにくさ

 S-TRAINが走っている東急東横線ではただでさえ和光市行き・石神井公園行き・志木行き・川越市行きなどと多くの行先の列車が走っているのに、そこにさらに新しい行先が増えるとなると、利用者も困るでしょう。また、駅にある番線標にも「西武秩父」の文字は無いので、さらに利用者が戸惑ってしまうのではないでしょうか。


横浜駅の番線標 S-TRAINの行先である「西武秩父」や「飯能」などの表記がない

②土休日の乗車率の悪さ

 S-TRAINといえば必ずと言っていいほど話題になるのが乗車率の悪さです。実際、2019年3月16日のダイヤ改正で平日の夜間に運転されていた有楽町線直通豊洲行きの運転が廃止されています。しかし、この列車はもともと折り返しの所沢行きの送り込みとして運転されていたものなので、そこまで問題はないでしょう。

 しかし、問題なのは土休日の副都心線に直通するS-TRAINです。副都心線直通のS-TRAINは送り込みのために運転されているわけではないのに1両に数人ほどしか乗車しておらず、とても乗車率が悪くなっています。

③列車指定料金について

 平日に有楽町線に直通するS-TRAINの座席指定料金は全区間均一で510円となっており、着席指定列車としては少々高額な気がします。しかし走行距離が38.2Kmと着席指定列車としては長めです。

 他社の例では全区間において着席を保証していて、同様の目的で走っている東武鉄道の下り「TJライナー」は、着席が保証されている区間は東武東上線池袋駅~ふじみ野駅間24.2Kmのみで、座席指定券が360円となっていることから、この値段は妥当だと言えるでしょう。

 しかし、土休日の副都心線直通のS-TRAINは、所沢駅~池袋駅間で510円と、一部区間の近距離移動の際の列車指定料金が極端に高くなっています。同じく所沢駅~池袋駅を結ぶ西武池袋線の特急は、S-TRAINに使用されている40000系と違って特急専用車両であるのにもかかわらず、料金はS-TRAINの方が高くなっています。


↑西武線内の列車指定料金の比較 左はS-TRAINの料金 右の()は西武特急の料金↑

池袋駅まで行くと西武特急より指定料金が高くなる

※1 S-TRAINは副都心線池袋駅、西武特急は西武池袋駅の料金

※2 西武特急は石神井公園駅を全列車通過

④本数の少なさ

 さまざまな問題があるS-TRAINですが、本数の少なさも問題として挙げられるでしょう。平日の夕ラッシュに運転されている所沢行きは5本/日と、十分な本数が運転されていますが、平日の朝ラッシュに運転されている豊洲行きと土休日に運転されている元町・中華街行きは2本/日、土休日に運転されている西武線方面行きは3本/日と少なくなっています。

 同じような着席指定サービスとして運転されている京王電鉄の「京王ライナー」は、朝の上りが平日は4本/日、土休日は3本/日平日夜間の下りは10本/日、土休日夜間の下りは13本/日と、S-TRAINは大幅に本数が少ないことが分かります。

4.改善策

①行先の分かりにくさ

 これに対しては、駅にある番線標の更新を進めるべきでしょう。1年後には東京オリンピックも迫っている中、外国語に対応させるための工事と同時進行で進めていけばいいと思います。

②土休日の乗車率の悪さ ③列車指定料金について

 この問題に対しては、座席指定料金の値下げをすればよいと思いますが、4路線を直通する以上、これ以上の値下げは厳しいと思います。なぜなら、S-TRAINは西武鉄道、東京メトロ、東急電鉄、横浜高速鉄道の4社がそれぞれ座席指定料金を設定しており、一部区間ではその料金を合算して座席指定料金を設定しているからです。よって、座席指定券の割引ではなく、運賃の値引きなどをすればいいと思います。実際、現在でも東横線から西武線方面にお得に行くことができる「東急西武線まるごときっぷ」や、西武線から東横線・みなとみらい線方面にお得に行けて、なおかつ中華街で食事もできる「西武横濱中華街グルメきっぷ」といったものも発売されています。

 しかし、これらの切符はどちらかというと観光地へのアクセスに特化している切符であり、S-TRAINの利用を促進する切符はありません。なので、S-TRAINの座席指定券と秩父や中華街といった観光地を結ぶ往復券をセットにした切符を発売すればいいと思います。そうすれば、少なからずS-TRAINを利用する人も増えると思います。

④本数の少なさ

 この問題に対しては、既存のダイヤで運転されている時間帯ではなく、それ以外の時間帯に運転すべきだと思います。理由としては、

・ただでさえ4~5分間隔で走っている間に増発することは困難である

・車両数が不足する可能性がある

・そもそも既存に運転されている時間帯は現行の本数で十分である

といったことが挙げられます。これらのことを踏まえたうえで、僕は新規にこれらの時間帯にこの区間でS-TRAINを運転するべきだと思います。

Ⅰ 有楽町線直通 土休日 朝・夕時間帯 所沢駅↔新木場駅

 まずは有楽町線直通のS-TRAINから考えていきたいと思います。何故、土休日にこの区間で運転するべきだと考えたかというと、まず、有楽町線沿線には様々な観光地があり、その上、有楽町線の終点の新木場駅では東京ディズニーランドの最寄駅である舞浜駅も通る京葉線にも乗り換えることができるので、土休日でも一定の需要は見込めるからです。土休日と平日では需要が違うため、平日では通過している駅に停車させてもよいかもしれませんが、有楽町線内は各駅停車と平行ダイヤで運転するため、新たに停車駅を増減させるのは難しいでしょう。

Ⅱ 副都心線直通 平日 夕ラッシュ 所沢駅↔元町・中華街駅

 続いて、副都心線に直通するS-TRAINを増発するならば、平日の夕ラッシュが適していると考えました。なぜなら、夕ラッシュは朝ラッシュほどではないものの混雑しているので需要も十分にあり、なおかつ、朝ラッシュほどダイヤが詰められていないので増発しやすいからです。停車駅は東急東横線・みなとみらい線内は変更せず、副都心線内は池袋駅からの乗車を可能にしたうえで、西武線内は大泉学園駅に停車し、保谷駅を通過させるべきだと考えました。なぜなら、大泉学園駅は西武池袋線で4番目に乗降者数が多い駅であり、需要が見込めるからです。また、保谷駅を通過する理由は、現行の有楽町線直通のS-TRAINが停車しており、副都心線直通のS-TRAINまで停めると供給過剰になってしまうのではないかと考えたからです。

5.まとめ

・S-TRAINの着席指定券と観光地までの往復切符などをまとめた切符を発売する。

・駅にある番線標に西武秩父などの行先も対応させる。

・土休日の朝と夕方に有楽町線直通のS-TRAINを運転する。停車駅は平日に運行されているS-TRAINから変更しない。

・平日の夕方に副都心線・東急東横線直通のS-TRAINを運転する。また、停車駅は保谷駅を通過して大泉学園駅に停車させる。

6.おわりに

 いかがだったでしょうか。初めて書いた研究だったので、かなり読みにくい文章になってしまったような気がします。次回の研究はもっとわかりやすい構成で、読みやすい文章を書きたいと思います。ここまでお読みいただきありがとうございました。また次回の停車場でお会いしましょう。

7.参考サイト

・土休日のS-TRAINに乗る(元町・中華街→池袋、2018年初夏)

https://tetsudoulab.com/s-train-holiday/

・西武線Webサイト

https://www.seiburailway.jp/

・京王グループ

https://www.keio.co.jp/

・東急電鉄

https://www.tokyu.co.jp/

・TJライナー|東武鉄道

http://railway.tobu.co.jp/tj/

浅野学園鉃道研究部 『停車場』アーカイブ

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