りんかい線の将来

1.はじめに

 中2の**です。初めての文化祭号ということでかなり頑張って書いてみたのですが、なかなかうまく書けていない場所が多く見受けられると思います。温かい目で見守っていただけると幸いです。さて、今回のテーマはりんかい線です。読者の皆さんもお台場に行くときに使ったことがあるのではないでしょうか。今回はりんかい線の将来について考えていきたいと思います。

2.りんかい線の概要


りんかい線の70-000系

 りんかい線に直通するE233系7000番台

りんかい線の路線図

 りんかい線は大崎駅と新木場駅を結ぶ12.2kmの路線です。第三セクター方式で運営されており筆頭株主は東京都で90%を出資しています。路線図を見ていただければわかりますが短い路線にもかかわらず乗り換え路線が多いです。また、りんかい線は大崎駅からJR埼京線、さらにその先のJR川越線へと直通運転していて、日中には20分に1本ずつ新木場駅から埼京・川越線へ直通する快速が運転されています。ただし、快速や平日の朝夕に運転される通勤快速はりんかい線内では通過運転を行いません。

 また、観光地として有名なお台場や毎年イベントが多数ある国際展示場、新木場駅で乗り換えてディズニーランドや幕張メッセのある京葉線方面へ行く客など多くの需要があります。お台場が観光地だけでなく住宅地としても人気になってきたことから、これからもりんかい線の需要は増えていくと予想できます。

3.りんかい線の抱える問題

・料金が高い

 需要は増えていくと思われるりんかい線ですが、運賃が高いです。大崎駅から新木場駅の12.2kmを乗り通すと切符を使った場合390円かかってしまいます。

 同区間で東京駅経由のJRを使った場合、切符料金で310円とりんかい線のほうが80円も高くなっています。

 また、定期券も新木場駅―新宿駅で新木場駅から大崎駅までりんかい線を利用する6か月の定期券は107,110円ですが、東京駅経由でJRを利用すると43,430円です。そこからもりんかい線がいかに高いかがわかります。

 なぜこのような事態になってしまったのかというと、りんかい線は建設費の多くを借金で賄っているからです。現在、りんかい線の運行収入は黒字ですが、莫大な借金がまだ残っているためこのような割高な運賃となっているのです。このような例は同じ第三セクターである北総鉄道や東葉高速鉄道にも見られます。お台場への観光、住宅需要が高まっているのでこの問題は解決するべきでしょう。



りんかい線と同じ第三セクターの東葉高速鉄道(上)と北総鉄道(下)

4.問題に対する解決策

・割引切符の発売

 料金が高いという問題に対しては、割引切符の販売が有効だと思います。現在、割引切符は大井町駅で接続する東急線からの「東急お台場パス」という切符が販売されています。この切符は東急電鉄の購入した駅から大井町駅までの往復分とりんかい線の大井町駅から新木場駅までの乗り放題がついたお得な切符です。


 これは横浜駅から東京テレポート駅まで使った際の往復運賃をまとめた表です。東急お台場パスが割安であることがうかがえます。また、このパスはりんかい線の大崎駅から大井町駅以外の部分が乗り放題なので国際展示場などにも行くことができます。

 このような割引切符には天王洲アイル駅で接続する東京モノレールとの割引切符である「モノレール&お台場ワクワクきっぷ」もあります。この切符は羽田空港からお台場までの運賃が安くなるもので、りんかい線内乗り放題などはありません。また、お台場内の16の施設で割引がきく特典がついています。現在、このような割引切符は東急と東京モノレールのみでJRや東京メトロとでは販売されていません。このような切符をメトロとJRでも発売すべきだと思います。また、先の「モノレール&お台場ワクワクきっぷ」のようにお台場での施設利用特典があるとよりお得になると思います。このように割引切符の発売によって高いというイメージを払拭できると考えています。

5.将来の計画

 また、りんかい線には多くの将来的計画があります。それを見ていきたいと思います。

①京葉線直通計画

 まず1つ目の計画がこちらです。この計画は京葉線の新木場駅―葛西臨海公園駅の間から伸びている連絡線を介してりんかい線の新木場駅に接続し、直通運転をするというものです。すでに線路は完成しており、臨時列車ではあるものの、貨物線を巡る旅で485系宴が通っており入線実績もあるため、設備面では完成にかなり近づいています。

 また、この計画ではりんかい線と直通運転を行う際、その先の埼京線との直通運転を行うことができ、渋谷、新宿、池袋方面に乗り換えなしで行くことができるようになります。


新木場駅蘇我方の配線図(簡略化しています)

 また、需要面はというと新宿や渋谷などに千葉県から乗り換えなしで行けるようになり、千葉県側としても便利になります。また、都心側からも東京ディズニーランドや幕張メッセなどに行きやすくなり、需要も大きいと考えられます。千葉市は平成26年度に、りんかい線と京葉線が直通運転した際に利用者、沿線などへの収益の増加がどれほどあるか試算したところ、りんかい線の利用者数が32000人~96000人増加すると発表しました。また、りんかい線沿線の商業の経済効果や京葉線、現在京葉線と直通運転を行っている武蔵野線沿線の地価の上昇など多くの範囲に好影響をもたらすのではと言われています。

②羽田空港アクセス線計画

 次に紹介するのは羽田空港アクセス線の計画です。この計画は東京、新宿、千葉方面と羽田空港を結ぶ計画で3つのルートが計画されています。どれも羽田空港から東京貨物ターミナル駅まで新設の路線を使用します。

 1つ目のルートは田町駅~浜松町駅間から大汐短絡線を新設し、大汐線の高架線と合流します。大汐線は東海道貨物線のうち浜松町駅から東京貨物ターミナル駅の部分の通称であり、現在休止中ですが、これを整備・活用します。大汐線で東京貨物ターミナル駅まで向かった後、他のルートと合流し羽田空港へ向かいます。このルートは主に上野東京ラインと直通運転を行い、埼玉や茨城方面と羽田空港のアクセスを向上させることができます。また、このルートは通称「東山手ルート」と呼ばれます。

 2つ目のルートは東京貨物ターミナル駅から大井町駅を経由し、大崎駅付近で湘南新宿ライン(山手貨物線)などと合流します。この計画では新宿駅での転線により中央線との直通運転も考えられており、そうした場合中央線方面から羽田空港へのアクセスが向上することが期待できます。このルートは通称「西山手ルート」と呼ばれます。

 3つ目のルートは東京貨物ターミナル駅に隣接するりんかい線の車両基地「八潮車両基地」とりんかい線本線を結ぶ連絡線に転線し、りんかい線との直通運転を行う計画です。このルートでは現在、天王洲アイル駅で乗り換えを行わないといけなかったところを、乗り換えなしでお台場方面へ行くことができます。また、前述したりんかい線と京葉線との直通運転を行うことによって千葉方面からのアクセスも向上させることができます。このルートは通称「臨海部ルート」と呼ばれます。


東山手ルートで直通を行う上野東京ライン


西山手ルートで直通を行う中央線


臨海部ルートなどで直通を行う京葉線

6.実現に向けての問題点とその解決策

①京葉線直通について

・保安装置について

 メリットばかりに思える京葉線直通ですがデメリットもあります。まず1つに保安装置の問題があります。現在埼京線ではATACSと呼ばれる保安装置を採用しています。仕組みは省きますがこの装置を使うことによって朝ラッシュ時に多くの列車を走らせることができます。この装置は池袋駅から大宮駅間で使用されています。仮に京葉線からの直通列車をATACSをつけずに増発する場合、埼京線の新宿駅での折り返し列車(以下の時刻表参照)の影響で、全列車を新宿駅で折り返すのには無理があります。そのため、新宿駅の次の駅である池袋駅で折り返さなければなりませんが、こちらも池袋行きの成田エクスプレスが留置線を多く使用しており、余裕があるとは言えません。そうなると、京葉線からの直通列車は、日中は基本的に使用していない埼京線の赤羽駅の留置線を使用して折り返し運転をするのではと考えられます。そうなると京葉線の車両にもATACSを積まなければいけなくなり、工事に対応するため予備車などを用意する必要が出てきます。


埼京線新宿駅の大宮方面の発車時刻 黒丸は新宿駅始発

 これを解決するにはやはり京葉線にATACSを導入するなどの改善をすることの他にないかと思われます。京葉線は現在葛西臨海公園駅―新木場駅間で173%の高い混雑率を記録しているため、混雑対策、特にATACSの導入は本数増加に伴う自路線の混雑緩和とそれによるりんかい・埼京線への直通のハードルを下げることになるため、一石二鳥ともいえるのではないかと思います。ただし、京葉線にATACSを導入するとなると東京駅―市川塩浜駅間などで線路を共有する武蔵野線にもATACSを設置する必要がありますが、現在武蔵野線は中央総武緩行線からE231系を投入して205系を淘汰しているため、転用工事の際にATACSを設置すればよいと思います。


武蔵野線を走る209系(上)と205系(下) 205系は置き換えが進んでいる

・運賃の問題

 また、別の大きな問題があります。それは運賃の問題です。りんかい線と京葉線が直通運転し、京葉線から埼京線への列車が設定された場合、乗車駅と降車駅がJR駅なのに、りんかい線を利用していることが起こりえます。このような事例は東京メトロ東西線でもありますが、そういった場合にICカードを使うと東京メトロより高いJRを使った場合の料金を自動的に支払います。差額として550円-308円で242円多く支払わなければいけません。これをりんかい線にも適用すると新宿駅から海浜幕張駅の時は945円-637円で308円も多く支払わなければいけなくなってしまいます。現在切符を使う場合はルートを選ぶことができるためこういった問題が起きません。しかしICカードでは自動的にルートが選ばれてしまいます。もしこれが自動で行われるならJRだけで移動した人にとって非常に不公平なものとなってしまいます。この問題も是正しなければいけないのです。

 解決策としてはJRがりんかい線を運行する東京臨海高速鉄道の筆頭株主となることで実質的に傘下におさめるというものです。これを行い、りんかい線の運賃をJRと同じにすることで運賃の均一化を図ります。ただし、利用者に大きな混乱が起こると予想されます。そのことへの対策は必須でしょう。

②羽田空港アクセス線について

 羽田空港アクセス線にも問題はあります。特に危惧しなければいけないのが遅延範囲の拡大です。前述したように羽田空港アクセス線がすべて開業すれば中央線や東海道線、京葉線などと直通運転を行うと考えられます。そうなるとどこかで遅延が起こったとき、羽田空港アクセス線を介して遅れが広がる可能性があります。このような例は湘南新宿ラインと横須賀線が筆頭であり、湘南新宿ラインは埼京線、京浜東北線、山手線、東海道線などの遅れを、横須賀線は総武緩行線、総武本線、内房・外房線などの遅れを受けてしまう上、両線の合流地点が平面交差となっているためお互いが遅れに干渉し、より遅れが広がっていってしまうという事例が発生しています。

 これの解決策としては直通運転中止の判断を早めることで自路線への被害を最小限に抑えることができます。また、東京貨物ターミナル駅の配線を工夫することも重要です。

7.終わりに

 ここまで読んでいただきありがとうございました。駆け足で書いたにもかかわらず8ページに約5000文字を詰め込んでしまいました…。写真が少なくかなり読みにくい研究になってしまいましたがここまで読んでくださった方々に感謝申し上げたいと思います。

本当にありがとうございました!

8.参考サイト

・りんかい線

https://www.twr.co.jp/

・JR京葉線・東京臨海高速鉄道りんかい線の相互直通運転促進に関する協議会|千葉市

https://www.city.chiba.jp/toshi/toshi/kotsu/keiyou-rinkai-souchoku-kyougikai.html

・羽田空港アクセス線(仮称)の環境影響評価手続きの実施について|JR東日本

https://www.jreast.co.jp/press/2018/20190220.pdf


おことわり:Web公開のため一部表現を変更させていただきました。掲載されている情報は研究公開当時のものです。現在とは若干異なる場合があります。

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